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【観戦記事】 第14回戦:William Jensen(アメリカ) vs. Patrick Cox(アメリカ)

【観戦記事】 第14回戦:William Jensen(アメリカ) vs. Patrick Cox(アメリカ)

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Adam Styborski / Tr. Yusuke Yoshikawa

2014年8月2日

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 世界選手権の参加権の価値は何だろうか? 殿堂顕彰者にして世界ランキング20位、ウィリアム・ジェンセン/William Jensenにとっては、開幕11連勝という快進撃の過程で、彼のチームメイトで世界ランキング5位のプレイヤー、オーウェン・ツァーテンヴァルド/Owen Turtenwaldを倒すだけの価値があった。完璧にプレイすることが、そこへたどり着くための道だ。今までのところ、彼はただ一度、構築ラウンドに切り替わった瞬間の「King of the Hill」の席でしか敗れていなかった。トップ8をほぼ手中に収め、ジェンセンは1年で最大のトーナメントの枠を確保すべく、手にできる全てのマッチ・ポイントを得るために戦っていた。

 パトリック・コックス/Patrick Coxにとっては、トップ16に入ればプロ・プレイヤーズ・クラブのゴールド・レベルを維持できることになる。しかしながら、このマッチ次第ではさらなる高みを狙うことになるだろう。このラウンドを迎えて11勝2敗ということは、ここから連勝すればトップ8を達成できるのだ。ゴールド・レベルは彼が最も欲したものかもしれないが、トップ8、そしてさらなる勝利の可能性は、彼にもっと大きなものをもたらすだろう。

それぞれのデッキ

 ジェンセンがプレイしているのは、今週末で最も着実なデッキのひとつ、白黒ミッドレンジだ。この2日にわたってメタゲームで優位を保つこのデッキは、クリーチャーを、プレインズウォーカーを、対戦相手が繰り出すあらゆるものを殺し、《群れネズミ/Pack Rat(RTR)》や《ヴィズコーパの血男爵/Blood Baron of Vizkopa(DGM)》の軍勢を組み上げていくように組まれている。《太陽の勇者、エルズペス/Elspeth, Sun's Champion(THS)》は多くのゲームを抑えこみ、大きな展開、広い展開、またはその両方を必要に応じて提供して、終わらせることを保証してくれる。その欠点のひとつは、一連の除去で盤面を築く時間を得られるかどうかへの依存による、ゲームの立ち上がりの遅さになるかもしれない。

 コックスのデッキは、彼の十八番のものである。彼はこう説明する。「プロツアー『テーロス』以来ずっと、白のアグロ系デッキを使ってきたんだ。その後テストを続け、何回かグランプリでプレイした。デッキはボロスからオルゾフになった。でも《マナの合流点/Mana Confluence(JOU)》が出たとき、緑を試してみることに決めた。すべてのクリーチャーに色マナ2点のコストが必要で、《変わり谷/Mutavault(M14)》をプレイできなかったんだけど、ジョシュ・アター=レイトン/Josh Utter-Leyton(世界ランキング4位、2013プレイヤー・オブ・ザ・イヤーにしてコックスのチームメイト)が赤をタッチして《ゴーア族の暴行者/Ghor-Clan Rampager(GTC)》はどうかと提案してくれた。ナヤは既存のデッキだったから、それと白ウィニーのアプローチとを組み合わせる作業になった。相手がタップアウトしようものなら、第4ターンに倒してしまうこともたくさんあるよ」

 コックスのプランは、小型で効果的なクリーチャーで埋め尽くし、最速であれというものだ。それが、避けられぬ白黒の壁を乗り越える唯一の方法だと思われる。

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世界ランキング20位のウィリアム・ジェンセンは視界にプロツアー・トップ8を捉えた。しかしパトリック・コックスも簡単に勝利を諦めることはないだろう。ゴールド・レベルを獲得するためにプロ・ポイントが必要で、トップ8も狙うならなおさらだ。

ゲーム展開

 そのデッキが望むとおり、コックスは《羊毛鬣のライオン/Fleecemane Lion(THS)》《復活の声/Voice of Resurgence(DGM)》で素早いスタートを切った。《生命散らしのゾンビ/Lifebane Zombie(M14)》と《群れネズミ/Pack Rat(RTR)》で何度もブロックされながらも、手札から止めどなく流れ出るコックスの色とりどりのクリーチャーは、ジェンセンの守りを迅速に圧倒した。

 ジェンセンとコックスは、シーズンの道すがらで何度も出会っていることから仲が良く、ゲームの合間にお喋りを始めた。

「トップ8に入ったことある?」 ジェンセンが聞く。プロツアーについて、だ。

「ええ。名古屋で」

「そのときCFB(チーム ChannelFireball)にいた?」

「いいえ」 コックスは答えた。「ルイス(・スコット=ヴァーガス)がトップ8で、(デイヴィッド・)シャーフマンが勝って、そのとき僕らは考えだした《純鋼の聖騎士/Puresteel Paladin(NPH)》デッキをプレイしていましたね。ドラフトでトップ8をやったのはあれが最後ですね」

「マジで?」 ジェンセンは眉を上げて驚き、コックスにもう少し詳しく語るよう頼んだ。ある人がゲームに戻ってきたとき、最近の変化でもすぐに忘れてしまっていることは、よくあることだ。

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パトリック・コックスは、シーズンを通じて白いアグロデッキを使い続けてきた。

 第2ゲームでもコックスの出足は変わらず速かったが、今回はジェンセンが十分な除去を持っていた。《生命散らしのゾンビ/Lifebane Zombie(M14)》と何種類かのクリーチャー除去呪文が、《ヴィズコーパの血男爵/Blood Baron of Vizkopa(DGM)》の到着までコックスの軍勢を抑えこんだ。コックスは手札を素早く繰りながら考えに沈んだ。

 そして2体目が戦場に現れた。

 コックスは強力な《ボロスの反攻者/Boros Reckoner(GTC)》と、《復活の声/Voice of Resurgence(DGM)》から出た3/3のエレメンタル・トークンも持っていたが、すべてのクリーチャーは白だった。この事実は、ライフが十分に膨れ上がるまで、ジェンセンの攻撃が通り続けることを意味していた。結局5体のクリーチャーが、しかも攻撃できる状態で並んだのだが、コックスは第3ゲームに移ることになった。

「《ヴィズコーパの血男爵/Blood Baron of Vizkopa(DGM)》までの動きがすべて素晴らしかった。確かに、こっちのクリーチャーを殺す呪文が満載なんだけど...」 コックスが言い、次第に声を潜めて考えに沈む。ジェンセンはただ、頷いた。

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ジェンセンの《ヴィズコーパの血男爵/Blood Baron of Vizkopa(DGM)》たちは、白のアグロデッキにとって最大の悪夢だ。

 第3ゲームは、それまでの2つとは違う立ち上がりを見せた。コックスはより遅いペースでクリーチャーの戦列を組み立てていき、ジェンセンも多くの除去呪文をプレイしなかった。ジェンセンが4枚目の土地を置けないでいると、コックスはそこを目がけて一斉に攻撃し、ジェンセンのライフを10に落とした。《英雄の破滅/Hero's Downfall(THS)》は《精霊への挑戦/Brave the Elements(M14)》で阻むと、コックスは次の攻撃でジェンセンをライフ1に追い詰めた。もう1ターンを稼ぐために自分の《群れネズミ/Pack Rat(RTR)》に《今わの際/Last Breath(THS)》を使いはしたものの、ジェンセンはその次の攻撃の前に投了を余儀なくされた。

「なぜ自分のターンに《英雄の破滅/Hero's Downfall(THS)》を使わなかったんですか?」 コックスはゲームが終わるとすぐに、ジェンセンがそのターンのドローをして、土地をチェックして、それを唱えずにターンを返した瞬間に言及して、質問した。

「そのカードには、すっかり参ったよ」 ジェンセンは、《精霊への挑戦/Brave the Elements(M14)》を指して言った。「でも、怪物化には対応できたはずなんだ」と、コックスが最後まで持っていた《羊毛鬣のライオン/Fleecemane Lion(THS)》をめくった。コックスをタップアウトさせるまでもうひと押しで、怪物化が使われていたならジェンセンはブロックに回れていただろう。

「ええ、わかります」 コックスは少しの後に言った。「トップ8でお会いできますように」

「こちらこそ」

コックス 2-1 ジェンセン

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