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【観戦記事】 決勝:Ivan Floch(スロバキア) vs. Jackson Cunningham(カナダ)

【観戦記事】 決勝:Ivan Floch(スロバキア) vs. Jackson Cunningham(カナダ)

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Adam Styborski / Tr. Tetsuya Yabuki

2014年8月3日

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 プロツアーで優勝するということは、いくつかのものを勝ち取るということでもある。翌シーズン中に参加褒賞を得られるプラチナ・レベルへの即昇進、40,000ドルの賞金、そして年末に行われる世界選手権の椅子。

 うん、そんな大したものじゃないよね?

プレイヤーとそれぞれのデッキ

 イヴァン・フロック/Ivan Flochはプロツアー・トップ8入賞経験こそないものの、長らく最強のプレイヤーのひとりと評されてきた。彼にとって、その経歴に「プロツアー・サンデー進出」の名誉を加えることは、長年の目標だったのだ。彼の用いた「白青コントロール」デッキは、使い手に効率的で正確なプレイが試される――このデッキは勝利するまでに多大な時間がかかり、素早く動かなければ試合時間内に間に合わないのだ。フロックは、単体除去の数々と《次元の浄化》や《至高の評決》のような《急かし》の後押しを受けたソーサリー、そして必要なときにはいつもどんなことでも実現してくれた《不死の霊薬》を駆使して、数多の脅威を巧みに手懐けてきた。

 ジャクソン・カニングハム/Jackson Cunninghamは、プロツアー初参戦のプレイヤーたちが夢見るものをはるかに超えた成功を収めた。この決勝まで勝ち進んだことで、彼はプロ・プレイヤーズ・クラブのシルバー・レベルを確定させている。ここからカニングハムができる最高のことは、この試合に勝ち一気にプラチナ・レベルまで登り詰め、今年最大のトーナメントの席を手に入れることだけだ。彼の操る「白緑アグロ」デッキは、《復活の声》と《群れの統率者アジャニ》による復帰力を証明してきた。除去を受けても変わらないパワーと爆発的なダメージ源をもって、対戦相手が安全だと感じるところから勝利をもぎとっているのだ。

 両プレイヤーとも、このプロツアー『マジック2015』最後の試合にふさわしい勝負を繰り広げた。多くのゲームで予想外の逆転が起こり、競い合うふたりのプレイヤーまでもがお互いに声援を送った。

「《ラクドスの復活》を3枚も入れた『ジャンド・プレインズウォーカーズ』にどうやって勝とうか考えていたら、急に君の方を応援したくなったんだよ」と、フロックが言う。

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カニングハムにとって最初のプロツアー参戦は、忘れがたいものになった。しかしフロックもここで引き下がれるほど簡単な道のりを来たわけではない。

 カニングハムは笑顔を見せた。決勝の舞台で見せるその笑顔は両者の緊張を和らげ、やがてふたりは同じものを求めて戦いに身を投じた。プロツアーのタイトルと栄光を、そして世界選手権の席を求めて。

ゲーム展開

 ここまで多くのゲームでそうしてきたように、カニングハムは素早く動き出した。《マナの合流点》2枚から完璧にマナを引き出し、《万神殿の兵士》、《羊毛鬣のライオン》、《復活の声》と立て続けに唱える。《羊毛鬣のライオン》は打ち消されたが《復活の声》が通り、フロックを厳しい状態に持っていった。フロックのデッキは相手のターンに呪文を使いたいものであり、《復活の声》を対処するまでは不利な状況が続くのだ。

 カニングハムはフロックのライフを12点まで落とすものの、その後数ターンにわたって土地が止まってしまう。《思考を築く者、ジェイス》がカニングハムの攻勢を緩めると思われたが、《セレズニアの魔除け》から騎士トークンが、さらに《復活の声》がもう1枚続き、カニングハムはその歩みを止めなかった。

 続くターン、カニングハムが《思考を築く者、ジェイス》へ攻撃すると、フロックはついに《急かし》から《至高の評決》を放ち、エレメンタル・トークン2体を残して盤面をリセットした。そこへ戦闘後《羊毛鬣のライオン》が加わる。フロックは《思考を築く者、ジェイス》の忠誠度を1まで下げ、分けられた束から《スフィンクスの啓示》を「引く」と、続けて2枚目の《至高の評決》を放ちカニングハムをふりだしに戻した。

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フロックは今大会を通してかなりの数の「啓示」を受けた。

 その後もフロックは何度となく《スフィンクスの啓示》を放ちアドバンテージ差を広げていくと、カニングハムが繰り出すあらゆる脅威――《羊毛鬣のライオン》、《実験体》、《陽刃のエルフ》など――に解答を用意した。やがて、カニングハムはもう十分だと判断し、次の先手に挑むことを決めた。

フロック 1-0 カニングハム

 カニングハムは《実験体》から《万神殿の兵士》と素早い展開を狙う。フロックは《今わの際》を複数用意していたが、しかし1体を追放した頃には《群れの統率者アジャニ》がカニングハムの軍勢を強化し始めていた。

 《ニクス毛の雄羊》がブロッカーとなり、カニングハムがクリーチャーをさらに戦場へ送るのを待つフロックを、堅く守る。カニングハムは《万神殿の兵士》の強化を続け、ブロックできないほどのサイズになった。カニングハムが1ターンに2枚の《群れの統率者アジャニ》を使い6/5飛行、二段攻撃の《万神殿の兵士》を作り上げたそのとき、意外なことが起きた――フロックはそれに対応できなかったのだ。

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カニングハムは強力なプレインズウォーカーを呼び出し、フロックの無限とも思えるようなインスタントの数々と戦う。

「ああ......オーケー」 フロックはつぶやき、カードを片付け始めた。

フロック 1-1 カニングハム

 3ゲーム目の序盤はプレインズウォーカー同士がにらみ合う展開になった。カニングハムは《群れの統率者アジャニ》の忠誠度を上げ、フロックは《思考を築く者、ジェイス》の[-2]能力を使っていく。《至高の評決》が《ロクソドンの強打者》1体に対して使われ時間を稼ぎ、続く2体目には《アゾリウスの魔除け》が使われた。

 《ワームの到来》が《群れの統率者アジャニ》と手を組み脅威になることを警告したが、フロックはここで《次元の浄化》を放った。カニングハムは、《ロクソドンの強打者》と2枚目の《群れの統率者アジャニ》を再び繰り出す。フロックが2枚目の《至高の評決》を唱えると、次のターン、カニングハムの手札からクリーチャーが出されなかった。《スフィンクスの啓示》が仕事を始め、フロックの手札を補充し、ライフはカニングハムが追いつける量を越えていった。カニングハムが《群れの統率者アジャニ》の最終奥義を放ち21体の2/2猫・トークンを生み出しても、フロックのライフを0にはできなかった。

 《至高の評決》はそこに何体クリーチャーがいようと関係ないのだから。

 やがて、フロックが《太陽の勇者、エルズペス》を戦場に投入し、今度は彼が軍勢を組み始めた。カニングハムのあらゆる攻撃からエルズペスを守ったフロックは、彼女の最終奥義を起動し、カニングハムのライフを19から一気に削り切ったのだった。

フロック 2-1 カニングハム

 カニングハムは再び、《万神殿の兵士》から《羊毛鬣のライオン》という動き出しで勢い良くゲートから飛び出した。そこへ《群れの統率者アジャニ》の献身的な働きも加わり、フロックは続く2回の攻撃でライフを11点まで落とした。

「また現れたな!」 カニングハムの手札から《群れの統率者アジャニ》が時計仕掛けのように正確に繰り出されると、フロックは声を上げた。とはいえカニングハムはタップ・アウトの状態だ。《至高の評決》が《羊毛鬣のライオン》を処理するが、そこに《ロクソドンの強打者》が取って代わった。フロックは、トップ8・ラウンド中ここまでほとんど姿を見せなかった《テューンの大天使》を引き込んだ。カニングハムがサイズで勝る《ロクソドンの強打者》で攻撃すると、その攻撃は通り、フロックのライフは残り5点になった。《思考を築く者、ジェイス》でライブラリーを掘り進めたフロックだが、土地を置けず、タップ・アウトに近い状態でターンを渡した。《払拭の光》がブロッカーである《テューンの大天使》を取り去り、カニングハムは致命傷となる攻撃を加えたのだった。

フロック 2-2 カニングハム

「このマッチアップはあなたの引きの良さが勝負の分かれ目ですね」 カニングハムはフロックのデッキを手で示してそう言った。

「君のドローにもかかってるさ」 フロックが答える。

「確かに。ドロー勝負ですね」

 最終戦が始まれば、もうあれこれ考える時間は終わりだ。カニングハムの《実験体》がゲームの始まりを告げ、間もなくして《羊毛鬣のライオン》が続いた。一方フロックは《ニクス毛の雄羊》を2枚展開し、ブロッカーを任せた。カニングハムは自身を奮い立たせ、3/3になった《実験体》と2体の《羊毛鬣のライオン》で攻撃を始める。しかし、毎ターン2点のライフを得る効果が《テューンの大天使》と組み合わされば、あっという間に力を増していくだろう。

 カニングハムはフロックのターン終了時に《ワームの到来》で対抗するが、《実験体》の「進化」を忘れてしまった。彼は先ほどの陣容に緑の5/5のワーム・トークンを加えて、攻撃に向かう。0/5の《ニクス毛の雄羊》にブロックされた《実験体》を5/5にするチャンスを逃したカニングハムは、戦闘後にもう1枚《ワームの到来》をプレイした。フロックがアップキープを迎えると、彼のクリーチャーにはすべて+1/+1カウンターがふたつ乗せられた。さらに《テューンの大天使》がカニングハムに攻撃し彼のライフを11点にすると、もうひとつ+1/+1カウンターが追加された。フロックの戦場は、3/8の羊2体が守っていた。

 カニングハムは再び全軍で攻撃し、ブロックされた《羊毛鬣のライオン》を《アジャニの存在》で「破壊不能」にした。《アゾリウスの魔除け》が《実験体》をカニングハムのライブラリーに戻し、フロックのライフは10点残った。再びアップキープを迎えた彼はクリーチャーたちにさらなる+1/+1カウンターを置く。カニングハムはタップ・アウトの状態で、フロックは《ニクス毛の雄羊》と《テューンの大天使》を横向きに倒した。5/10となった《ニクス毛の雄羊》2体と8/9の《テューンの大天使》が、カニングハムの手を上げさせた。

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フロックは差し出された手を取り、握手を交わす。

 イヴァン・フロックがジャクソン・カニングハムを3勝2敗で下し、プロツアー『マジック2015』を制した!

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イヴァン・フロック、プロツアー『マジック2015』優勝おめでとう!

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