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【観戦記事】 第4回戦:八十岡 翔太(日本) vs. Matej Zatlkaj(スロバキア)

【観戦記事】 第4回戦:八十岡 翔太(日本) vs. Matej Zatlkaj(スロバキア)

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Corbin Hosler / Tr. Tetsuya Yabuki

2016年2月5日

原文はこちら

八十岡 翔太(親和) vs. マテイ・ザトルカイ/Matej Zatlkaj(「死の影」アグロ)

 プロツアー『ゲートウォッチの誓い』第4回戦のフィーチャー・マッチ・エリアにて、プロツアー・トップ8入賞経験者同士が対峙した。プロツアー・ベルリン2008と2013年のプロツアー『ドラゴンの迷路』、2大会でトップ8に入賞したマテイ・ザトルカイと、プロツアー・チャールストン2006での優勝を含む2回のトップ8入賞経験を持つ殿堂顕彰者、八十岡 翔太。全勝街道を進み続けるための戦いの役者として、不足はないだろう。

 既知の間柄である両者はここまでの成功も相まり、全勝継続が懸かっているにも関わらずリラックスした様子で、試合前のトークも弾む。少なくともザトルカイの方はいつもの調子だ。

「最初の3戦を勝った翔太とはやりたくないよ」と、彼は冗談を交えつつシャッフルを行う。「調子良いってことでしょ!」

それぞれのデッキ

 八十岡との対戦を大いに楽しむザトルカイだが、対戦相手のデッキ選択については「ちょっと物足りなかった」と告白する――八十岡の選択は「親和」だった。モダンのイベントの至るところに姿を見せるこのデッキは安定感と力強さを両方持ち合わせており、今大会でも多くのプレイヤーがこのデッキを選択したのは驚くことではない。だが「至高の革新者」たる八十岡までもがこのデッキを選択したのには、少々驚かざるを得ないだろう。

 ザトルカイの方は、チーム「EUreka」に所属するメンバーの多くも使用している「『死の影』アグロ」だ。見た目は《野生のナカティル》や《僧院の速槍》といったアグレッシブなカードを用いた典型的な「Zoo」デッキによく似ている。しかしこのデッキは「アグレッシブさ」に全力を尽くしたものであり、《ギタクシア派の調査》や《変異原性の成長》などを用いて自身のライフを削り、1マナの巨大アタッカー《死の影》へと繋ぐ形になっているのだ。さらにスタンダードで恐れられる《ティムールの激闘》と《強大化》のコンボも搭載されており、このデッキを完成させている。

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ここに座るふたりのプロ・マジック・プレイヤーは、互いに互いのことを十二分に知っている。だがとりわけマテイ・ザトルカイにとって、トーナメントの早い段階で殿堂顕彰者八十岡 翔太と対峙するのは望まぬところだっただろう。

ゲーム展開

 アグレッシブなデッキ同士の対決では、瞬きをする間に決着する可能性が大いにある。そしてこの試合最初のゲームも、その予感を裏切らない展開になった。デッキの爆発力を見せつけるように、ザトルカイは《僧院の速槍》からゲームを始める。《僧院の速槍》は繰り出した最初のターンは1点の攻撃に留まるのが普通だが、ザトルカイは《ギタクシア派の調査》に《ミシュラのガラクタ》2枚を続けてプレイし、一気にダメージを稼ぎ出した。

 これに対して八十岡は《大霊堂のスカージ》を展開するのみに留まり、彼は最初のターンを終えた時点でもう14点までライフを減らした。続くザトルカイのターンに《死の影》が着地すると、もう手に負えない状況に思えた。八十岡は《羽ばたき飛行機械》と《電結の荒廃者》2枚で対抗する。

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能動的な戦略が有効であることに惹かれ、今大会では青をベースにしたコントロール・デッキから離れた八十岡。

 《羽ばたき飛行機械》は攻撃を1回受け止めて《電結の荒廃者》のエネルギーとなった。ライフは心許ないものの、八十岡は体勢を立て直す光明を見出した。

 だがそれも、ザトルカイが自身のライフを4点まで減らした後に《死の影》へ《変異原性の成長》と《ティムールの激闘》を唱えるまでのことだった。トランプルまで付与された《死の影》は、1ゲーム目を奪うのに十分過ぎるほどだった。

 1ゲーム目はザトルカイのデッキがその爆発力と粘り強さを見せつける結果になったが、2ゲーム目は八十岡のデッキが同じことをやり返した。1ターン目《電結の荒廃者》が(《溶接の壺》を糧にしてパワーを増し)素早いクロックを刻んでいく。《稲妻》もまた《溶接の壺》が防ぎ、ザトルカイが自身のマナ基盤からもダメージを受けていくと、彼がカードを片付けるのに時間はかからなかった。

 勝負を決する最終ゲーム、今度は両者ともに爆発的なスタートを切れなかった。ザトルカイは1ターン目《野生のナカティル》、対する八十岡は《大霊堂のスカージ》を繰り出す。八十岡の手札には《頭蓋囲い》があるため、《大霊堂のスカージ》は勝利への道を切り開く一手だと思われた。しかしその道は《紅蓮地獄》によって早々に断ち切られ、戦場に残った《野生のナカティル》がレッド・ゾーンへ送り込まれた。

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今大会、ザトルカイとチーム「EUreka」は極めてアグレッシブな戦略をとっている。

 装備先がいないまま《頭蓋囲い》を繰り出した八十岡は、劣勢に立たされることになった。そしてザトルカイのライブラリー・トップからタイミングよく《石のような静寂》が繰り出されると、八十岡の《ダークスティールの城塞》2枚が機能不全に陥り、悲惨な状況になる。それでも、ザトルカイが自らライフを犠牲にしていくところへ《感電破》を撃ち込み、彼のライフを4点まで落とした。次のドロー・ステップでもう1枚《感電破》を引き込めば、八十岡が最終ゲームを勝ち取れる。

 しかし、そのドローは空振り。そしてザトルカイは《強大化》を放ち、八十岡に再びのチャンスを与えなかった。殿堂顕彰者の残りライフを0点にすると、ザトルカイは全勝を継続したのだった。

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