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【観戦記事】 準々決勝:中村 修平(日本) vs. Jiachen Tao(アメリカ)

【観戦記事】 準々決勝:中村 修平(日本) vs. Jiachen Tao(アメリカ)

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Corbin Hosler / Tr. Tetsuya Yabuki

2016年2月7日

原文はこちら

中村 修平(無色エルドラージ) vs.ジャアチェン・タオ/Jiachen Tao(青赤エルドラージ)

 ビッグ・ネーム揃いとなった今回のトップ8だが、ジャアチェン・タオはその例外であった。彼はこれまで、グランプリやプロツアーで決勝ラウンドまで進出した経験がない。今大会、プロツアー『ゲートウォッチの誓い』にて彼のデッキは旋風を巻き起こしているものの、それでもこれだけ恐ろしいトップ8を相手にして勝ち残るには分が悪いと多くの者が思っていることだろう。

 その対戦相手である殿堂顕彰者の中村 修平は、これで6度目のプロツアー・トップ8入賞を、グランプリ・トップ8入賞27回、うち7度優勝という華々しい戦績に加えることとなった。チーム「ChannelFireball」の主力メンバーのひとりとして今大会も会場全体を制圧した彼は、プロツアー・サンデーの舞台で戦うことの緊張感には慣れたものだ。なお、スイス・ラウンドでタオが喫した唯一の敗北は、中村が与えたものである。

 だがその敗北の影響は、どうやらないらしい。試合前、タオは中村とジョークを絡めて言葉を交わした。見たところ、この大舞台での戦いに強張っているようには思えない。

それぞれのデッキ

 両プレイヤーとも、今大会で大ブレイクを果たしたアーキタイプを使用している。中村はチーム「ChannelFireball」と「Face-to-Face Games」が生み出した、無色に統一した「エルドラージ」を選択。《虚空の杯》をメインから投入することでアグレッシブなデッキとのマッチアップを補強しつつ、《難題の予見者》や《現実を砕くもの》、《忘却蒔き》といった最上級の性能を持ったクリーチャー群を擁した形だ。また《ウギンの目》と《エルドラージの寺院》による強烈なマナ加速に支えられたこの「エルドラージ」デッキは、今大会で最速のものでもある。

 タオはよりユニークな形のデッキを使用している。《空中生成エルドラージ》や《不快な集合体》といった、ドラフト以外で見かけることは滅多にないようなカードを採用したものだ。だがこのデッキの爆発的なマナ基盤のおかげで、これらのカードは《エルドラージのミミック》や《エルドラージの寸借者》などと並んで極めてアグレッシブな戦略を実現している。さらにマナ域の頂点には《希望を溺れさせるもの》を採用しており、盤面が膠着した際の決定打となっている。チーム「East West Bowl」謹製のこのデッキは、トップ8へふたりのプレイヤーを送り込んだ。現在の環境においてより警戒すべきデッキのひとつになったと言えるだろう。

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プロツアー『ゲートウォッチの誓い』トップ8ラウンドにて最初に対峙する中村 修平とジャアチェン・タオ。

ゲーム展開

 この日最初の「エルドラージ」同士の激突は、早々に流れが決まった。両者とも1ターン目《エルドラージの寺院》をセットし、タオはそのまま《エルドラージのミミック》を展開。中村は続くターンに2枚目の《エルドラージの寺院》から、《難題の予見者》を繰り出す。《難題の予見者》がタオの手札を公開すると、そこには《不快な集合体》2枚と2枚目の《エルドラージのミミック》の姿が。それは、タオのこれからの動きの強さをはっきりと示していた。中村は《不快な集合体》を1枚追放すると、ターンを渡した。タオは2枚目の《エルドラージのミミック》を展開して終了。攻撃に出ることはできなかったが、続くターンに向けて凶悪な盤面を築き上げる。

 だが不幸にも、タオにチャンスは訪れなかった。中村が《ウギンの目》から《難題の予見者》をさらに2枚連打し、タオの手札から2枚目の《不快な集合体》と《希望を溺れさせるもの》を抜き去ると、タオは笑うしかなかった。

「オーライ、次いきましょう」 タオはカードを片付け、そう言った。

 2ゲーム目はゆっくりとした立ち上がりとなったが、それはあくまで「比較的」だ。タオの2ターン目《空中生成エルドラージ》に対し中村の《作り変えるもの》という展開は、十分に速いと言える。

 そして両者はそこから、さらにアクセルを踏み込む。《ウギンの目》とエルドラージ・末裔・トークンを用いたタオは3ターン目に《現実を砕くもの》を繰り出し、攻勢に出た。中村はそこへ《四肢切断》を差し向け、こちらも《現実を砕くもの》で攻撃。残りライフが両者ともに12点となる。タオは2枚目の《空中生成エルドラージ》を戦線に追加したものの、エルドラージ・末裔は《漸増爆弾》で吹き飛ばされた。

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中村はこのゲームの達人のひとりだ。

 続く2ターンにわたって両者はクリーチャー同士の交換を行い、中村の盤面に《呪文滑り》、タオの盤面には末裔・トークンのみという状況になった。だがこの状況は、タオが繰り出した「エルドラージ」同士の対決における最強の切り札、《希望を溺れさせるもの》によって一変する。タオは中村のターンの終わりに末裔・トークンを生け贄に捧げて《ウギンの目》の能力を起動すると、《現実を砕くもの》が両者のゲームを1-1のタイに引き戻したのだった。

 3ゲーム目は、中村が除去満載ではあるものの盤面への脅威に欠けた手札をキープ。このキープはしっかりと噛み合い、中村は《はらわた撃ち》で《エルドラージの寸借者》を除去したのちに、続く《現実を砕くもの》2体も《四肢切断》で捌き切った。中村は代わりにライフを失ったものの、これでタオはプレッシャーをかけられなくなった。

 待望の5枚目の土地を引き込むと、中村は《猿人の指導霊》も使用して《忘却蒔き》を展開。《島》と《沸騰する小湖》が中村の土地に加わり、続けて6/6の《果てしなきもの》が戦線に加わると、彼がこのゲームを完全に掌握したと思われた。

 その運命を変えたのはタオの《希望を溺れさせるもの》だった。しかし続く中村の攻撃で、残りライフは8点まで落とされる。タオの反撃で中村のライフも5点まで減るが、盤面に2体目の《果てしなきもの》を加えた彼は強烈な軍勢で攻撃し、《精霊龍の墓》で3点回復したタオのライフを残り6点まで追い詰めた。

 と、ここで中村が興味深い決断を下した。《忘却蒔き》から得た《沸騰する小湖》は中村のデッキでは使用できず、彼が実際に生み出せるマナは4マナという状況。タオの盤面には《希望を溺れさせるもの》が2体あり、どちらの攻撃が通っても致命傷となるのだが、今はクリーチャー化する土地をふたつとも起動できるため、《エルドラージのミミック》と合わせてブロッカーを3体まで用意できる。しばらく盤面を吟味した中村は、《幽霊街》を起動してタオの《精霊龍の墓》を除去する選択をとった。これにより、クリーチャー化する土地を起動できるのがひとつまでとなった。

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タオの操るデッキは、この週末を通してプレイヤーたちの話題になった。

 そしてこの選択が、敗北を招く結果となる。タオは除去を握っており、《希望を溺れさせるもの》が彼にこの試合のリードをもたらしたのだった。

 これでタオが、プロツアー『ゲートウォッチの誓い』準決勝進出まであと一歩になった。過去のマジックの戦績に本人も「特筆すべきことなし」と書いた男が、殿堂顕彰者を打ち破っての快挙に手をかける。

 その最後のひとつを取るのが困難であるのを覚悟しているからこそ、タオは手札に《ウギンの目》と《エルドラージのミミック》2体の姿が見えたとき喜びを露わにした。タオの素早い切り込みに対して中村は《漸増爆弾》で脅威を一掃するのだが、その頃にはもう彼のライフは残り8点まで落ち込んでいた。それでも中村は4ターン目《忘却蒔き》で《エルドラージの寺院》と《魂の洞窟》を引き当て、次のビッグ・ターンにすべてを賭ける。

 だが、次のターンはやって来なかった。《エルドラージの寸借者》が中村の《忘却蒔き》を奪い取ると、全軍での攻撃は致命打となった。瞬く間に終わったこのゲームは、プロツアー・トップ8初入賞を遂げたタオを準決勝の舞台へ送り出したのだった。

ジャアチェン・タオが中村 修平を3勝1敗で下し、準決勝へ!

中村 修平 - 「無色エルドラージ」
プロツアー『ゲートウォッチの誓い』 トップ8 / モダン
4 《ちらつき蛾の生息地》
4 《エルドラージの寺院》
4 《ウギンの目》
4 《幽霊街》
3 《変わり谷》
3 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》
2 《荒地》

-土地(24)-

4 《果てしなきもの》
4 《エルドラージのミミック》
2 《呪文滑り》
4 《作り変えるもの》
4 《猿人の指導霊》
4 《難題の予見者》
4 《現実を砕くもの》

-クリーチャー(26)-
4 《虚空の杯》
2 《漸増爆弾》
4 《四肢切断》

-呪文(10)-
4 《大祖始の遺産》
3 《はらわた撃ち》
2 《真髄の針》
1 《漸増爆弾》
1 《呪文滑り》
1 《歪める嘆き》
3 《忘却蒔き》

-サイドボード(15)-
Jiachen Tao - 「青赤エルドラージ」
プロツアー『ゲートウォッチの誓い』 トップ8 / モダン
4 《エルドラージの寺院》
4 《ウギンの目》
4 《沸騰する小湖》
4 《シヴの浅瀬》
3 《魂の洞窟》
2 《島》
2 《蒸気孔》
1 《宝石の洞窟》

-土地(24)-

4 《果てしなきもの》
4 《エルドラージのミミック》
4 《空中生成エルドラージ》
4 《不快な集合体》
3 《エルドラージの寸借者》
2 《破滅を導くもの》
4 《難題の予見者》
4 《現実を砕くもの》
4 《希望を溺れさせるもの》

-クリーチャー(33)-
3 《四肢切断》

-呪文(3)-
1 《精霊龍の墓》
3 《頑固な否認》
2 《はらわた撃ち》
2 《大祖始の遺産》
3 《ハーキルの召還術》
2 《虚空の杯》
1 《漸増爆弾》
1 《呪文滑り》

-サイドボード(15)-

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