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【戦略記事】 プロツアー『マジック・オリジン』スタンダードメタゲーム・ブレイクダウン

【戦略記事】 プロツアー『マジック・オリジン』スタンダードメタゲーム・ブレイクダウン

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Corbin Hosler / Tr. Tetsuya Yabuki

2015年7月31日

原文はこちら

 およそ400人のプレイヤーがカナダの地へ足を踏み入れ、プロツアー『マジック・オリジン』の戦いに臨んでいる。それぞれが現環境のスタンダードのメタゲームを制するべく正しい道を探り、考えや意見をまとめ携えてきた。『マジック・オリジン』の影響は小さなものから大きなものまで様々だが(大きなものとしては《搭載歩行機械》が思い浮かぶ)、スタンダードはここ数か月と比べてより広い余地のあるフォーマットになったと言えるだろう。つまり、ここバンクーバーの地には、非常に多くのデッキが姿を見せているのだ。

 今大会に目を向けると、いたるところで見受けられた「アブザン・コントロール」や急伸の「《先祖の結集》」デッキとの戦いの末に、現在のスタンダードに君臨したのは《龍王アタルカ》や《女王スズメバチ》を目指してマナ加速を狙う「赤緑信心」、という結果になっていた。

 『マジック・オリジン』から影響力のあるカードが大挙して押し寄せ、スタンダード・シーンは変動を迎えつつある。ここバンクーバーの地で行われているプロツアーにて、スタンダードのメタゲームは大きく動くことになったのか。それが最初に解き明かすべき命題だ。

 その答えがやってきた。以下に示すことにしよう。

メタゲーム・ブレイクダウン――1日目

デッキ名使用者数使用割合
赤緑信心5915.01%
赤アグロ5413.74%
アブザン・コントロール4711.96%
青赤《アーティファクトの魂込め》338.40%
青黒コントロール317.89%
スゥルタイ・コントロール256.36%
アブザン・ラリー246.11%
ジェスカイ174.33%
アタルカ・レッド153.82%
アブザン・アグロ92.29%
ジェスカイ・トークン71.78%
白青「英雄的」71.78%
ゴブリン51.27%
エスパー・ドラゴン41.02%
4色結集41.02%
シディシ・ウイップ41.02%
マルドゥ・ドラゴン41.02%
マルドゥ・ゴーグル41.02%
その他(使用者3人以下のもの)10.16%

「赤緑信心」――使用者59名(15.01%)

 今大会のベスト・デッキと言い切るにはまだ早いが、このマナ加速戦略は今大会初日に最も多く見受けられた。多くのチームが「いざというときの頼みの綱」のひとつと見なしていたこの戦略だが、安定して結果を残せる手堅いデッキであることが明らかになった形だ。

 もちろん、このデッキとの対戦は十分に想定されている、という不利な点はある。それでも、今大会で最も人気を集めたこのデッキが数の有利を活かして勝利を重ねれば、この先もまだ姿を見せることになるだろう。

「赤アグロ」――使用者54名(13.74%)

 その「信心」デッキを打ち破る主な手段のひとつが、速さで上回ることだ。そしてこの「赤アグロ」デッキは、まさにそれを狙っている。中には《一日のやり直し》を用いて手札を補充する形や、《雷破の執政》を採用してサイズを上げた形もある。

「アブザン・コントロール」――使用者47名(11.96%)

 《包囲サイ》の登場以来、この典型的なアブザン・デッキはメタゲームの一角を占め続けてきた。今大会でも3番目に多く使用されているのは、驚くことではないだろう。

 このデッキは未だに発展を続けている。『マジック・オリジン』は《搭載歩行機械》や《衰滅》、そして《悲劇的な傲慢》といったカードを輩出し、それらはすべてこの金曜日に姿を見せているのだ。

「青赤《アーティファクトの魂込め》」――使用者33名(8.40%)

 意外なデッキの登場となったが、これも多くのチームがプロツアーに向けて独自に研究を進めてきたもののひとつだ。『マジック・オリジン』の新カードを迎え入れたこのデッキは(ようこそ《つむじ風のならず者》)、純粋な実力も複数のゲーム・プランも持ち併せている。

『基本セット2015』と『マジック・オリジン』が合わさり、極めて強力なアーティファクト戦略が生まれた

 ある形では、《羽ばたき飛行機械》はもとより《水晶の番人》まで用いて《アーティファクトの魂込め》や《満月の呼び声》を活かし、可能な限り素早く大量のダメージを与えるアグレッシブな戦略に寄せている。また別の形では、攻撃力をやや失いつつも安定した力を求め、《ピア・ナラーとキラン・ナラー》や《飛行機械の諜報網》を用いてカード・アドバンテージを得ていくものもある。もちろんこの形でも、《アーティファクトの魂込め》と《幽霊火の刃》による爆発力は健在だ。

「青黒コントロール」――使用者31名(7.89%。《飛行機械の諜報網》を用いた形8つを含む)

『マジック・オリジン』は既存のアーキタイプを洗い直し、「青黒コントロール」を使用した31名のうち8名が、《搭載歩行機械》と共に《飛行機械の諜報網》という力を加えることになった。またどの形でも、《衰滅》という新たな力を得たのは大きい。決して少なくない人数が、新機軸のものや純粋なコントロールを携えて今大会に攻め入ってきたのだ。

「スゥルタイ・コントロール」――使用者25名(6.36%。《悪魔の契約》を用いた形5つを含む)

 もうひとつのコントロール側のデッキである「スゥルタイ・コントロール」は、ひとつ大きな分岐点を抱えている。《悪魔の契約》を採用するか否かだ。

代償を支払う覚悟はあるか?

 5人のプレイヤーがこの強力なエンチャントを採用し、《スゥルタイの魔除け》や《分散》、果ては《侵入する生物種》まで駆使して(《森林の怒声吠え》から持ってくることもある)、破滅を迎える前に《悪魔の契約》を手札に戻している。

 その他のプレイヤーたちはこれまでの形を踏襲し、ゲーム序盤への干渉力ではなく後半の力を取った。

「アブザン・ラリー」――使用者24名(6.11%)

 この新デッキ(少なくとも「飛行機械」デッキが現れるまでは)が登場するなり、《先祖の結集》はスタンダードに居場所を見つけた。そして今大会でも、なかなかの人数がこのデッキを選択したのだ。

 《先祖の結集》と《集合した中隊》という強力なインスタントを合わせて8枚採用したこのデッキは、どれだけ不利な状況に陥ろうとわずか1枚で勝負を覆す力がある。その爆発的な力こそ今大会でプレイヤーを惹きつけたものであり、私たちもこの週末を通して多くの《先祖の結集》を見ることになるだろう。

ささやかなコンボのひとつであった《先祖の結集》が、『マジック・オリジン』と手を組み真の輝きを発することになった

 以上のようにこの週末を象徴するデッキはいくつかあるものの、どれも「一強」にはほど遠い。使用率15%を超えるデッキはひとつもなく、この週末に予想外の活躍を見せるデッキが現れる可能性は十分にある。そして、その可能性を求めて戦いを続けるプレイヤーたちが、この会場を埋め尽くしているのだ。

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