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【戦略記事】 デッキテク:白緑「星座」

【戦略記事】 デッキテク:白緑「星座」

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Marc Calderaro / Tr. Tetsuya Yabuki

2015年8月1日

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 君たちはエンチャントのことがどれだけ好きだろうか? つまり「本当に」エンチャントが好きかい? この問いに「いまさらそんなこと聞くなよ!『エンチャントレス』の一員に向かってさ!」と答えた君に、このデッキをご紹介しよう。アナーバー/Ann Arborの地で結成された、その名も「Team Ann Arbor」というチームが――メインデッキの31枚がエンチャントで、残りは《クルフィックスの洞察力》4枚、そして土地25枚というデッキを今大会に持ち込んだのだ。

 スチュアート・パーンズ/Stuart Parnes、マックス・マクヴィティ/Max McVety、そしてグランプリ・シンシナティ2014優勝とプロツアー・サンディエゴ2010準優勝の成績を持つカイル・ボージェム/Kyle Boggemesは、この「白緑『星座』」デッキを携えてプロツアーへやって来た。その強さに首を傾げるプレイヤーはいたものの、彼らは今大会で実に見事な立ち回りを見せたのだ。残念なことにチーム・メンバーのひとりであるタイラー・ヒル/Tyler Hillはこのデッキへの変更を最後まで拒み、構築ラウンドをうまく乗り切れなかったのだった。

 最初にこのデッキを使い出したのはパーンズで、それはパスカル・メイナード/Pascal Maynardが「ChannelFireball」にて実験的リストとして紹介していたものに、少し手を加えたものだった。「ひと目見たとき、『僕が使いたいのはまさにこれだ』とつぶやいたんだ......緑白のコントロールだってね」彼はそのデッキが実際に素晴らしいものだと早々に気づき、すぐさまマックス・マクヴィティを仲間に誘った。

 マクヴィティはその話に乗ったときのことを語る。「そのデッキがほぼすべてのデッキに対して有利にゲームを進めたところと、特定のカードで簡単に負けるところを見て、乗ったんだ」(彼の言う特定のカードとは、《自然に帰れ》や《悲劇的な傲慢》、《危険な櫃》、そして《精霊龍、ウギン》のことである。詳しくは後述する)。

 マクヴィティはサイドボードの作成に取りかかった。すると今週のはじめに、ふたりは新たな仲間を加えた。ボージェムだ。デッキを乗りかえた理由を、ボージェムは次のように語る。「『緑信心』を使っていたのだが、先週の『StarCityGames.com Open』で活躍したデッキがそれに強いものばかりだった」そこで彼はデッキの変更を決め、「白緑『星座』」使いが3人になった。

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この週末、少人数のチームが完全に予想外の角度からスタンダード環境に攻勢をかけた。

(《万神殿の伝令》や《開花の幻霊》、《クルフィックスの洞察力》、そして《空位の玉座の印章》など、エンチャント必須のカードがあまりに重要なため)3人は力を合わせてデッキ内のエンチャントの枚数を減らさないサイドボードを研究した。そして苦手なマッチアップへの対策を補強し、準備を進めていったのだった。

 では、その中身を見てみよう。このデッキの持つプランはどんなものだろうか? パーンズは「基本的にはライフを大量に得て、それから《空位の玉座の印章》を設置します」と言う。この言葉はややまとめ過ぎなところがあるものの、このデッキの要点を押さえている。《ニクス毛の雄羊》や《クルフィックスの狩猟者》、《花咲く砂地》といったカードは、このデッキのエンジンが機能するまでの時間を稼ぐ助けになる。それから、《万神殿の伝令》や《開花の幻霊》、《開拓地の包囲》、そして《クルフィックスの洞察力》で準備を整え、そして《ニクスの星原》や《空位の玉座の印章》で対戦相手を打ち倒すのだ。無限に生まれ出る4/4の天使を駆使し、《払拭の光》を何度も放てば(このとき《開花の幻霊》でカードを引くこともできるということもお忘れなく)、勝利を得るのは容易なことだろう。

 マクヴィティは、このデッキでお気に入りの動きを見せてくれた。「ブン回れば、2ターン目に《万神殿の伝令》、3ターン目の第1メインで《開拓地の包囲》、第2メインで《クルフィックスの狩猟者》、そして4ターン目を迎えれば何でもできる。6マナある上に、呪文のコストがすべて1マナ減るんだから」

 また「青赤《アーティファクトの魂込め》」のようなアグロ・デッキに対するプランについても、マクヴィティは語ってくれた。「大量にライフを回復して、相手のカードを全部追放してやれば勝つよ」このチームがアグレッシブな戦略に対して大きく勝ち越しているところを見ると、そのプランは確かなものであるようだ。(ただし世界ランキング3位のリー・シー・ティエン/Lee Shi Tianの使う、もう少し重くクリーチャーに寄せた形のものは厳しいことも明らかになっている)。

 一方、アブザン・コントロールのような重コントロール・デッキ相手にはプランも変わるものの、相変わらずシンプルだ。「可能な限り早く相手を倒す。《悲劇的な傲慢》や《精霊龍、ウギン》に届く前に」。このマッチアップでは、サイドボードの《加護のサテュロス》が大きな役目を果たすという。

「《加護のサテュロス》は今回予想以上の活躍だったよ」とマクヴィティ。「《精霊龍、ウギン》が[X=5]で盤面を流した直後に《加護のサテュロス》を瞬速で繰り出して、《精霊龍、ウギン》を攻撃で倒したのがベスト・プレイのひとつかな」

 パーンズは「うん、でも3ターン目だったらもっと他に出したいものがあるよね」とそう評価したものの、わずか3マナで1ゲーム目は難攻不落だった盤面を五分に持っていけるという事実は、驚くべきことだろう。

 パーンズは、対戦相手が除去を多く搭載していたらせっかくの《ニクスの星原》はサイドアウトすることになる、と皮肉めいた口調で言う。「《払拭の光》に《胆汁病》を撃たれたら目も当てられないからね」と。君たちも他人事じゃないぞ、気をつけよう。

 メインデッキについては、全員が「まさに求めていた形だ」と口を揃えた。変えたいところは全くないという。一方サイドボードについては、《トーモッドの墓所》に無駄に枠を割いてしまった、とパーンズが述べた。《先祖の結集》の脅威が想定していたほどではなかったためだ。それから《世界を目覚めさせる者、ニッサ》も、実戦で使った者はいなかった。それでもマクヴィティは、ほとんどのサイドカードが間違いじゃなかったと断言した。「《停止の場》も《加護のサテュロス》も最高だったし、《垂直落下》は天敵の《嵐の息吹のドラゴン》を除去してくれたよ」

 このデッキをぜひ組んでみてほしいかマクヴィティに尋ねると、彼はこう答えた。「それは僕らの結果を見てもらえばいいんじゃないかな。ちなみに《自然に帰れ》に対しては、運命を受け入れる以外に本当に何もできないよ」つまり、このデッキが優れたものだと知られれば知られるほど、状況は悪くなっていくわけだ。

 するとボージェムがその後を続けた。「恐らくもうこのデッキを使うことはないだろう。だがそれはこのデッキの出来が悪い、という意味ではない。とてつもなく楽しいし、まったく別の角度から攻めることができる。ただ、来るのが知られていれば、まずうまくいかないだろう」

「運命を受け入れる」覚悟があり、白緑のコントロールを愛し、そして心にエンチャントレスを宿しているなら、皆さんもぜひこいつをスリーブに入れて回してみてほしい。誓って言うが、《クルフィックスの洞察力》で3枚のカードを手に入れ、それらのコストを減らして唱え、さらに多くのカードを引いて戦うなんてことは、まず他じゃ味わえないのだから。

Max McVety - 緑白「星座」
プロツアー『マジック・オリジン』 / スタンダード
8 《森》
5 《平地》
4 《花咲く砂地》
4 《豊潤の神殿》
4 《吹きさらしの荒野》

-土地(25)-

4 《万神殿の伝令》
4 《ニクス毛の雄羊》
4 《クルフィックスの狩猟者》
4 《開花の幻霊》

-クリーチャー(16)-
4 《絹包み》
4 《払拭の光》
4 《クルフィックスの洞察力》
2 《開拓地の包囲》
3 《空位の玉座の印章》
2 《ニクスの星原》

-呪文(19)-
4 《加護のサテュロス》
2 《トーモッドの墓所》
4 《停止の場》
3 《垂直落下》
1 《空位の玉座の印章》
1 《世界を目覚めさせる者、ニッサ》

-サイドボード(15)-

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