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【観戦記事】 準々決勝:山本 賢太郎(日本) vs. Mike Sigrist(アメリカ)

【観戦記事】 準々決勝:山本 賢太郎(日本) vs. Mike Sigrist(アメリカ)

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Corbin Hosler / Tr. Tetsuya Yabuki

2015年8月2日

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山本 賢太郎(アブザン・大変異) vs. マイク・シグリスト/Mike Sigrist(世界ランキング20位/青赤《アーティファクトの魂込め》)

 ここ準々決勝最終戦にて対峙する両プレイヤーは、プロツアー・トップ8の栄光を知らぬ者たちではない。山本はこれで3回目となり、シグリストは昨年10月に行われたプロツアー『タルキール覇王譚』でのプロツアー・サンデーに続き、今シーズン2回目のトップ8入賞となる。

 この試合にかかっているのは、プロツアー『マジック・オリジン』優勝トロフィーへの道だけではない。シグリストはプロツアー・トップ8入賞を果たしてなお、いまだ別の競争のさなかにある。彼は恐らく、プロツアーよりさらに重大なものを追っているのだ――プレイヤー・オブ・ザ・イヤーという栄誉を。

 ランキング・トップで今大会を迎えたエリック・フローリッヒ/Eric Froehlichは、スタートにつまずいたものの体勢を立て直し、好成績でリードを広げた。その結果、シグリストがプレイヤー・オブ・ザ・イヤーのタイトルを奪うには、今大会で決勝まで駒を進めることが必要になる。そのための第一歩として、彼は山本を打ち倒すべくこの日最初の試合に挑む。

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山本が目指すはワールド・マジック・カップ代表のキャプテンの座。一方のマイク・シグリストは、エリック・フローリッヒを追い抜きプレイヤー・オブ・ザ・イヤーのタイトル獲得を狙う。

 シグリストが操るデッキは、今大会一気に頭角を現した「青赤《アーティファクトの魂込め》」。デッキ名に冠される《アーティファクトの魂込め》はこのデッキ最強のツールのひとつであるが、無論それだけではない。《幽霊火の刃》はあらゆるクリーチャーを脅威と化し、また一見無害な《羽ばたき飛行機械》や《バネ葉の太鼓》でさえ、マナ加速と《爆片破》による「コンボ・フィニッシュ」のためのエサという役割を持っているのだ。このデッキ自体は《アーティファクトの魂込め》が登場したときから存在していたが、『マジック・オリジン』で《飛行機械の諜報網》や《つむじ風のならず者》といった粘り強さを獲得し、ついに今大会でその殻を破ったのだった。今大会ではトップ・チームの多くがこのデッキを携え、使用者の80%以上が2日目に進出したのだ。

 山本の選択した「アブザン・大変異」は新しいものではないが、こちらもまた間違いなく強力だ。《棲み家の防御者》と《死霧の猛禽》という「大変異」クリーチャーを存分に活かしたこのデッキは、粘り強さについて他の追随を許さない。また豊富な除去呪文と決め手の《太陽の勇者、エルズペス》を擁することで、ゲーム後半での強さも環境随一だ。

ゲーム展開

 第1ゲーム、シグリストは初手6枚からゲームを始め、その枚数も2ターン目に山本が《思考囲い》を放つとさらに減った。シグリストが公開した手札は、《島》、《つむじ風のならず者》、《幽霊火の刃》、《爆片破》、《ファイレクシアの破棄者》。山本はしばし考え、シグリストが1ターン目に繰り出した《羽ばたき飛行機械》が装備して攻撃するのを防ぐため《幽霊火の刃》を落とした。

 動きは鈍ったものの、シグリストは歩みを止めない。彼は続くターンに《ファイレクシアの破棄者》を唱え、《棲み家の防御者》で相討ちに取られる前に1度攻撃を通した。また同時に、《棲み家の防御者》が回収した《思考囲い》も《頑固な否認》で打ち消す。

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すでに驚異的なシーズンの中にあって、さらに上を目指し続けるシグリスト。

 ここから両プレイヤーとも土地が3枚で止まるが、その状況でより良い展開を見せたのはシグリストの方だった。山本は状況を打開するため《アブザンの魔除け》でカードを2枚引くが、これで彼のライフは残り12点へと落ち込んだ。それでも4枚目の土地を手に入れた山本は、同じく4枚目の土地を引き込んだシグリストの繰り出した《つむじ風のならず者》を、《究極の価格》で対処した。

 だがそれでも、『マジック・オリジン』の飛行機械・トークンによるダメージが山本を襲う。1/1クリーチャーたちが山本の残りライフを10点とし、シグリストの手札にある《爆片破》2枚の射程圏に入れた。《クルフィックスの狩猟者》が土地をめくり山本のライフを11点に戻したが、さらなる飛行機械の攻撃と《爆片破》でゲームは終わりを迎えたのだった。

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この試合、山本の勝利を予想した人は少ないかもしれない。だが最も対峙したくないプレイヤーのひとり、という彼の評価は揺るがない。

 2ゲーム目は、両者ともスロー・スタートとなった。シグリストの動きは《バネ葉の太鼓》を設置して、山本の《ニクス毛の雄羊》と《包囲サイ》を前に《焙り焼き》を使うくらいで、ライフも24対17と有利を譲っていた。

 シグリストの動きの鈍さの理由は、山本が《強迫》を撃ち込むと明らかになった。彼の手札で詰まっていたのは、《つむじ風のならず者》と《飛行機械の諜報網》、それから2枚目の《焙り焼き》だ。山本は《飛行機械の諜報網》を取り去りゲームが膠着することを願ったが、《焙り焼き》が《ニクス毛の雄羊》を退場させて道を開くと、続く《鋳造所の隊長》と《ファイレクシアの破棄者》(指定は《太陽の勇者、エルズペス》)が攻撃を始めた。それでも《英雄の破滅》が《鋳造所の隊長》に当てられ、ダメージは抑えられた。

 《つむじ風のならず者》が盤面に追加され、さらに《幽霊火の刃》が飛行機械・トークンに装備される。一方の山本にできたのは、《先頭に立つもの、アナフェンザ》と《サテュロスの道探し》を呼び出すだけだ。どちらも《アーティファクトの魂込め》が加わったシグリストの猛攻を止める手立てにはならず、山本が築いたライフは瞬く間に9点まで落ち込んだ。ドロー・ステップを迎えた山本は《アブザンの魔除け》を引き込み、パワー5となった飛行機械の追放に成功するが、《爆片破》を止めるすべはなく、残り4点となったライフはシグリストの次なる攻撃で底をついたのだった。

 こうして、プレイヤー・オブ・ザ・イヤー・レースをめぐるドラマは最終局面を迎えた。シグリストの次なる戦いは、「赤緑信心」デッキを操るポール・ジャクソン/Paul Jacksonとの準決勝。プレイヤー・オブ・ザ・イヤーは、この戦いにかかっている。

マイク・シグリストが山本 賢太郎を2連勝で下し、準決勝へ!
山本 賢太郎 - 「アブザン・大変異」
プロツアー『マジック・オリジン』 トップ8 / スタンダード
2 《森》
2 《平地》
4 《吹きさらしの荒野》
4 《砂草原の城塞》
4 《ラノワールの荒原》
4 《疾病の神殿》
3 《静寂の神殿》
1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》

-土地(24)-

4 《棲み家の防御者》
4 《サテュロスの道探し》
4 《クルフィックスの狩猟者》
4 《死霧の猛禽》
4 《包囲サイ》

-クリーチャー(20)-
4 《思考囲い》
2 《究極の価格》
4 《アブザンの魔除け》
2 《英雄の破滅》
2 《衰滅》
2 《太陽の勇者、エルズペス》

-呪文(16)-
2 《ニクス毛の雄羊》
3 《先頭に立つもの、アナフェンザ》
2 《責め苦の伝令》
2 《風番いのロック》
1 《強迫》
2 《ドロモカの命令》
2 《究極の価格》
1 《衰滅》

-サイドボード(15)-
Mike Sigrist - 「青赤・アーティファクトの魂込め」
プロツアー『マジック・オリジン』 トップ8 / スタンダード
6 《島》
1 《山》
4 《シヴの浅瀬》
4 《天啓の神殿》
1 《マナの合流点》
4 《ダークスティールの城塞》
1 《領事の鋳造所》

-土地(21)-

4 《羽ばたき飛行機械》
4 《搭載歩行機械》
4 《ファイレクシアの破棄者》
4 《鋳造所の隊長》
4 《つむじ風のならず者》

-クリーチャー(20)-
4 《幽霊火の刃》
3 《バネ葉の太鼓》
3 《頑固な否認》
1 《巻き添え被害》
4 《アーティファクトの魂込め》
4 《爆片破》

-呪文(19)-
1 《引き裂く流弾》
4 《焙り焼き》
3 《軽蔑的な一撃》
1 《否認》
3 《大地の断裂》
3 《飛行機械の諜報網》

-サイドボード(15)-

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