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【観戦記事】 準決勝:Joel Larsson(スウェーデン) vs. Matthew Sperling(アメリカ)

【観戦記事】 準決勝:Joel Larsson(スウェーデン) vs. Matthew Sperling(アメリカ)

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Josh Bennett / Tr. Tetsuya Yabuki

2015年8月2日

原文はこちら

ヨエル・ラーション/Joel Larsson(赤アグロ) vs. マシュー・スパーリング/Matthew Sperling(アブザン・コントロール)

 栄光まで一歩近づいた両プレイヤーに、プレッシャーがのしかかる。この日の初戦を勝ち抜き勢いに乗る両者だが、今は緊張を落ち着けることはあまりできていないようだ。スパーリングは準々決勝で「赤アグロ」を相手に生き残ってきたが、ここでもう一度それを乗り越えることができるだろうか?

 「Ultra PRO」所属のマシュー・スパーリングはこの週末、チームの誇りとなった。彼はわずか1年の間に2度目のプロツアー・トップ8入賞を果たし、自身初の準決勝の席に座っている。彼の目は今、プロツアー・タイトルを見据えている。自身の栄誉のためだけでなく、来月開催される世界選手権2015にてチームメイトのポール・リーツェル/Paul Rietzlとともに戦うために。

 もう一方に座る、殿堂顕彰者ブライアン・キブラー/Brian Kiblerに匹敵するほど洗練された二枚目は、スウェーデン出身のヨエル・ラーション。プロツアー『ギルド門侵犯』にて戴冠をあと一歩のところで逃した彼は、それ以来再びトップ8に入る機会を虎視眈々と狙っていた。この週末、彼は先ほどの準々決勝を制したことで、来シーズンのプラチナ・レベルを確定させた。シーズン終盤まで遠かったその道のりを、彼はグランプリ・ダラス/フォートワース2015でのトップ8入賞と、そしてここバンクーバーでの激走で渡り切ったのだ。そんな彼は今大会、北欧およびヨーロッパ各国のトップ・プロが集まったチーム「Thommo」の一員として戦いを続けてきた。

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ヨエル・ラーションとマシュー・スパーリングの両名が、自身2度目のプロツアー・トップ8の舞台で勝利を繋ぐべく戦いに挑む。

ゲーム展開

 生放送の準備が整うまでの間に、ラーションがスパーリングに緊張しているかと声をかけた。

 スパーリングは少し考えてから答える。「少しね」

「僕もだ」

 先攻を選んだスパーリングが手札6枚でゲームを始める。ラーションは《火飲みのサテュロス》から《僧院の速槍》と展開し、続けてラーションの表向きの《棲み家の防御者》を《乱撃斬》で除去した。スパーリングは3ターン目《思考囲い》で《極上の炎技》を抜き去り、これでラーションの残り手札は《灼熱の血》と《乱撃斬》となった。

 ラーションがドローを迎えると、幸運が彼のもとへ降りた。《稲妻の狂戦士》が「疾駆」で彼の軍勢に加わり、スパーリングのライフは早くも残り8点となる。スパーリングは《クルフィックスの狩猟者》を繰り出して占術土地を置きライフを回復すると、ライブラリー・トップの《棲み家の防御者》をライブラリーの一番下へ送った。《クルフィックスの狩猟者》がさらなる《クルフィックスの狩猟者》を公開する。ラーションは手札に満載の火力を惜しみなく《クルフィックスの狩猟者》へ撃ち込み、《灼熱の血》とクリーチャーの攻撃によってスパーリングの残りライフは1点と追い詰められた。スパーリングは《クルフィックスの狩猟者》を出し直し、ライブラリーの一番上が《英雄の破滅》であることを確認すると、カードを片付け始めた。

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スパーリングのアブザン・デッキには除去が多く搭載されているが、ゲーム序盤に干渉する手段は少ない。

 スパーリングは2ゲーム目も初手を6枚にすることを迫られた。土地をタップ・インしてゲームを始める彼に対して、ラーションは《僧院の速槍》で1点のダメージを与える。スパーリングは《吹きさらしの荒野》を置いてターンを渡した。ラーションは2枚目の《僧院の速槍》を送り出し、スパーリングはフェッチ・ランドで《森》を持ってくると《究極の価格》を差し向けた。ラーションは《稲妻の狂戦士》を展開。スパーリングはもう1枚フェッチ・ランドを起動してライフを17点にしつつ、《クルフィックスの狩猟者》をプレイした。

 ラーションはさらに《僧院の速槍》を繰り出し、《クルフィックスの狩猟者》を《焙り焼き》するとスパーリングを攻撃し彼のライフを14点に落とした。しかしそのダメージは、スパーリングがタップ・アウトで繰り出した《包囲サイ》によって帳消しになった。それでもラーションの燃料は尽きない。2枚目の《焙り焼き》で道を開き、4点で攻撃する。

 ここでスパーリングは守勢に回った。彼は《羊毛鬣のライオン》と、それから《棲み家の防御者》を表向きで展開する。ラーションは《稲妻の一撃》で《羊毛鬣のライオン》を除去し、さらに2枚目の《稲妻の狂戦士》を「疾駆」で繰り出し攻撃した。《棲み家の防御者》が1枚目の《稲妻の狂戦士》を相討ちで止めたが、スパーリングのライフは10点まで落ち込んだ。スパーリングがこの形勢を五分に持ち込むためには、もうひとつビッグ・プレイが必要だ。

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この週末を通して、ラーションのゲームは燃え上がり続けた。

 スパーリングは占術土地をプレイし、ターンを返した。ラーションは再び《稲妻の狂戦士》を「疾駆」させ、恐れることなく残るマナを注ぎ込み、スパーリングのライフを残り5点まで持っていった。スパーリングはアンタップとドロー後、《クルフィックスの狩猟者》をプレイ。ライブラリー・トップの《吹きさらしの荒野》が彼のライフを6点に戻すが、彼はすぐにフェッチ・ランドを起動し、ライブラリーの一番上に続けて見えた土地を追い払った。シャッフル後にめくれたカードは、《砂草原の城塞》。そこまでだった。

 とはいえ、まだスパーリングの手にはカードが1枚残り、マナも3マナ残っている。ラーションは《クルフィックスの狩猟者》に向けて4マナで《かき立てる炎》を放った。スパーリングがそれに対応して動くことはなく、クリーチャーを墓地へ置いた。手札に残る1枚は除去で、それは《僧院の速槍》を退場させたが、彼のライブラリーの一番上で待っているのは《砂草原の城塞》であることがわかっていた。それは、スパーリングの手詰まりを意味していた。

ヨエル・ラーションがマット・スパーリングを2連勝で下し、決勝へ!

「おめでとう」とスパーリングが口を開く。「決勝、頑張ってくれ」

 ラーションは安堵と興奮が混じった表情を見せた。「ありがとう。今回は勝たせてもらうよ」

 ラーションがポール・ジャクソン/Paul Jacksonとマイク・シグリスト/Mike Sigristによるもうひとつの準決勝のために席を離れると、ネイト・ホルト/Nate Holtの「Walking the Planes」からクイック・インタビューの協力を求められた。

「もちろん。友人たちとハイタッチをしてくるから、ちょっと待ってて」

 彼とハイタッチをしたうちのひとりであるマテイ・ザトルカイ/Matej Zatlkajが、私に教えてくれた。「彼のデッキの名前は、『レッド・デック・ウィンズ:アゲイン』っていうんだ」

Joel Larsson - 「レッド・デック・ウィンズ:アゲイン」
プロツアー『マジック・オリジン』 トップ8 / スタンダード
21 《山》

-土地(21)-

4 《稲妻の狂戦士》
4 《僧院の速槍》
3 《火飲みのサテュロス》
3 《鐘突きのズルゴ》
4 《ケラル砦の修道院長》

-クリーチャー(18)-
4 《乱撃斬》
1 《焦熱の衝動》
4 《稲妻の一撃》
4 《灼熱の血》
4 《極上の炎技》
4 《かき立てる炎》

-呪文(21)-
3 《サテュロスの火踊り》
4 《大歓楽の幻霊》
4 《焙り焼き》
2 《弧状の稲妻》
2 《紅蓮の達人チャンドラ》

-サイドボード(15)-
Matthew Sperling - 「アブザン・コントロール」
プロツアー『マジック・オリジン』 トップ8 / スタンダード
4 《森》
1 《平地》
4 《吹きさらしの荒野》
4 《砂草原の城塞》
2 《ラノワールの荒原》
4 《疾病の神殿》
2 《コイロスの洞窟》
4 《静寂の神殿》
1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》

-土地(26)-

3 《棲み家の防御者》
4 《クルフィックスの狩猟者》
3 《巨森の予見者、ニッサ》
4 《包囲サイ》
1 《黄金牙、タシグル》

-クリーチャー(15)-
4 《思考囲い》
2 《究極の価格》
4 《アブザンの魔除け》
3 《英雄の破滅》
2 《衰滅》
3 《太陽の勇者、エルズペス》
1 《精霊龍、ウギン》

-呪文(19)-
3 《羊毛鬣のライオン》
1 《黄金牙、タシグル》
1 《強迫》
2 《ドロモカの命令》
1 《ファリカの療法》
1 《究極の価格》
2 《悲哀まみれ》
2 《骨読み》
1 《完全なる終わり》
1 《対立の終結》

-サイドボード(15)-

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