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【観戦記事】 決勝:Joel Larsson(スウェーデン) vs. Mike Sigrist(アメリカ)

【観戦記事】 決勝:Joel Larsson(スウェーデン) vs. Mike Sigrist(アメリカ)

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Corbin Hosler / Tr. Tetsuya Yabuki

2015年8月2日

原文はこちら

ヨエル・ラーション/Joel Larsson(赤アグロ) vs. マイク・シグリスト/Mike Sigrist(世界ランキング20位/青赤《アーティファクトの魂込め》)

 ある意味、このプロツアー『マジック・オリジン』決勝に挑むマイク・シグリストとヨエル・ラーションの両名は、肩の荷が降りた状態と言えるだろう。この決勝の舞台まで勝ち上がった時点で、シグリストの方は新たにプレイヤー・オブ・ザ・イヤーを戴冠し(年間を通して首位を走り続けたエリック・フローリッヒ/Eric Froehlichを僅差で超える、奇跡的な走りを見せた)、ラーションの方は準決勝進出の時点で来シーズンのプラチナ・レベルを確定させているのだ。

 だがもちろん、この場にいる両名がその成功にどれだけ喜びを感じていても、トロフィー・ショットを撮られるのは格別なことだ。

 このふたりのプロが今大会にベスト・デッキを持ってきたことは疑いようがない。2日目に10人以上を送り込んだアーキタイプの中でも、「青赤《アーティファクトの魂込め》」と「赤アグロ」は突出した勝率を誇っている。『マジック・オリジン』で登場したカードを搭載した両者のデッキは、彼らを決勝の舞台までまっすぐ導いたのだ。

「いつものマジックさ」今大会最後となる五番勝負を前に、シグリストがつぶやいた。「大したことじゃないよ」

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マイク・シグリストは、今大会で可能な限りのものをほぼすべて勝ち取ってきた。残るはプロツアー優勝トロフィーのみだ。一方のラーションも決意を新たにする。プロツアー『ギルド門侵犯』決勝での敗北を、繰り返さぬように。

 すまない、マイク。「大したことじゃない」という君の言葉は、私たちには到底信じられないよ。

ゲーム展開

 「青赤《アーティファクトの魂込め》」というデッキには、使い手に際どい判断を迫る場面が多い。そしてそのうちのひとつは、ゲームが始まる前からやって来る。このデッキはマッチアップによって初手のキープ基準が様々であり、スタンダードでは珍しい土地1枚のキープもときには正解になる、という一面も忘れるわけにはいかないのだ。今大会に適用されている「バンクーバー・マリガン・ルール」を頼りに、シグリストは1ゲーム目、《天啓の神殿》と《羽ばたき飛行機械》、それから《バネ葉の太鼓》を含む土地1枚の手札をキープした。この手札の内容なら、2枚目の土地を見つけるチャンスは何度かあるし、もし見つからなくとも《バネ葉の太鼓》からマナを生み出せるだろう。

 だが不運にも、シグリストのデッキは彼の力になれず、この試合の第1ゲームはラーションの雷速の攻めが奪っていったのだった。

 2ゲーム目、今度はラーションの動きが鈍る番だった。このゲーム彼は、最初の数ターンを《山》1枚と1マナ域の呪文で過ごすことになった。《搭載歩行機械》と《鋳造所の隊長》2枚でビートダウンを始めたシグリストはそこへ《ファイレクシアの破棄者》も加えてフタをし、ラーションが土地を引き込こんだ後の反撃の芽までもを摘み取ったのだった。

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この週末にプレイヤー・オブ・ザ・イヤーを獲得できたその理由を、これでもかと見せるシグリスト。

 ゲーム・カウントが並んだところで、再び先手番を得たラーション。ここで彼は最大のチャンスを迎えた。初手から《僧院の速槍》が攻撃し、《大歓楽の幻霊》がそこへ続く。一方のシグリストも、《幽霊火の刃》と《羽ばたき飛行機械》を1ターン目に繰り出す強力なスタートだ。《幽霊火の刃》はシグリストのデッキが擁する恐ろしい装備品だが、そこへ《アーティファクトの魂込め》が付けられると、それ自体がより強力なアタッカーへと変貌した。

 5/5アタッカーの出現にラーションも思わず後ずさり、シグリストの攻勢を止めるために自身の持つ《大歓楽の幻霊》によってダメージを受けることを余儀なくされた。残りライフを11点まで落として《搭載歩行機械》へ《稲妻の一撃》を撃ち込んだラーションだが、そこへ魂を込められた《幽霊火の刃》と残りの飛行機械が押し寄せ、《爆片破》で止めを刺されたのだった。こうして、今シーズンのプレイヤー・オブ・ザ・イヤーがその驚くべき経歴に「プロツアー王者」の文言を加えるまで、あと1ゲームとなった。

「デジャヴは勘弁してくれ」とラーションが漏らす。彼はプロツアー『ギルド門侵犯』のときも最初のゲームを勝ち取り、その後3連敗で終わったのだ。

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ワールド・マジック・カップの代表チーム・キャプテンの座は決まった。プラチナ・レベル到達も確定した。ラーションは今、念願のプロツアー・タイトルと世界選手権への出場権まで、あと1試合のところまで来ている。

 ラーションの心配は杞憂に終わった。マリガンを繰り返したシグリストは、ラーションのライフを10点まで削り取ったところで燃料切れとなる。《アーティファクトの魂込め》が姿を見せ、シグリストに除去不能なアタッカーをもたらしたものの、ラーションはそれをブロックし続けられるだけのクリーチャーを用意しながら、火力呪文を本体へ撃ち込んでいった。何度かの攻撃を経たのちに《極上の炎技》が飛び出すと、両者は最後の決戦へと向かうのだった。

「先手で」とシグリストは宣言する。

「いい選択だ」ラーションはそう返した。

「これもまたいつものマジック、そうだろ?」

 最終ゲームはシグリストにとって厳しいものとなった。彼はマリガンを繰り返し、手札は3枚まで減った。それでもその3枚の中に《羽ばたき飛行機械》と《幽霊火の刃》を見つけると、彼は希望を捨てずに戦いへ赴いた。《乱撃斬》が《羽ばたき飛行機械》を倒し、形勢が完全にラーションの方へ傾いても、シグリストは胸を張り続けた。

 シグリストは2体の《大歓楽の幻霊》から4点のダメージを受けつつ、《ダークスティールの城塞》へ《アーティファクトの魂込め》をエンチャントし最善を尽くした。破壊不能の壁がラーションの攻撃を止め、両者はここから突破口を求めてドロー・ゴーを続けた。

 先に道を見出したのはラーションの方だった。《大歓楽の幻霊》によるダメージで自身のライフを残り8点としながらもクリーチャーを2体展開すると、5/5の壁をものともせず致死量となる攻撃に向かった。敗北を悟ったシグリストは、最後に《爆片破》を自身に向けて放ち、自らこのゲームを終わらせるという茶目っ気を見せたのだった。

 プレイヤー・オブ・ザ・イヤーもこの上ない栄誉だ。だがこの週末の「プレイヤー・オブ・ザ・ウィークエンド」の座には、ラーションがつくことになった。彼こそが、プロツアー『マジック・オリジン』王者だ。

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ヨエル・ラーションがマイク・シグリストを3勝2敗で下し、プロツアー『マジック・オリジン』王者の座を獲得!
Joel Larsson - 「赤アグロ」
プロツアー『マジック・オリジン』 優勝 / スタンダード
21 《山》

-土地(21)-

4 《稲妻の狂戦士》
4 《僧院の速槍》
3 《火飲みのサテュロス》
3 《鐘突きのズルゴ》
4 《ケラル砦の修道院長》

-クリーチャー(18)-
4 《乱撃斬》
1 《焦熱の衝動》
4 《稲妻の一撃》
4 《灼熱の血》
4 《極上の炎技》
4 《かき立てる炎》

-呪文(21)-
3 《サテュロスの火踊り》
4 《大歓楽の幻霊》
4 《焙り焼き》
2 《弧状の稲妻》
2 《紅蓮の達人チャンドラ》

-サイドボード(15)-
Mike Sigrist - 「青赤・アーティファクトの魂込め」
プロツアー『マジック・オリジン』 準優勝 / スタンダード
6 《島》
1 《山》
4 《シヴの浅瀬》
4 《天啓の神殿》
1 《マナの合流点》
4 《ダークスティールの城塞》
1 《領事の鋳造所》

-土地(21)-

4 《羽ばたき飛行機械》
4 《搭載歩行機械》
4 《ファイレクシアの破棄者》
4 《鋳造所の隊長》
4 《つむじ風のならず者》

-クリーチャー(20)-
4 《幽霊火の刃》
3 《バネ葉の太鼓》
3 《頑固な否認》
1 《巻き添え被害》
4 《アーティファクトの魂込め》
4 《爆片破》

-呪文(19)-
1 《引き裂く流弾》
4 《焙り焼き》
3 《軽蔑的な一撃》
1 《否認》
3 《大地の断裂》
3 《飛行機械の諜報網》

-サイドボード(15)-

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