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(翻訳記事) 特集:ショックな触手

(翻訳記事) 特集:ショックな触手

by David Sutcliffe / Translated by YONEMURA "Pao" Kaoru

原文はこちら

 《引き裂かれし永劫、エムラクール》。エルドラージの神はモダン環境でも、到着するやいなやゲームを終わらせてしまう大ボスの座に着いた。善にして悪にして醜怪な、空を覆わんばかりに巨大な触手の塊である。触れるべからざるほどに強大で、想像を絶するほどに巨大で、マジック世界の他のクリーチャーがどれほど大きかろうと《引き裂かれし永劫、エムラクール》が近づけば恐れおののくのだ。望むなら、これはマジック世界のデススターなのである。

 モダンの長期戦には、《引き裂かれし永劫、エムラクール》の怪奇な影が広がっている。多くのマッチで、4ターン5ターンを過ぎると《引き裂かれし永劫、エムラクール》の破滅の影がじわじわと近づいてくる。彼はどこにでもいる。多くのカードと同じく、《引き裂かれし永劫、エムラクール》1枚の力は世界最高のプレイヤーたちを惹きつけて止まない。そして、魅せられたプレイヤーたちはこの15/15クリーチャーを戦場に呼び出すためにさまざまな新しい手段を考えるのだ。

 では、愛しき《引き裂かれし永劫、エムラクール》を呼び出す方法をご紹介しよう。


正攻法(「実際に15マナ支払う方法」)

 《引き裂かれし永劫、エムラクール》を唱える、最も多い方法は《雲上の座》や《微光地》を並べて大量の無色マナを出すことだ。これがモダン形式で最も人気のあるデッキの1つ、「12ポスト」の核心部分である。《原始のタイタン》《探検の地図》を使ってデッキから神座を探し、神座の数と同じだけのマナを出す《雲上の座》から大量のマナを並べていく。ターボ・バージョンでは、《風景の変容》から《雲上の座》を一度に4枚出し、しかも《精力の護符》の力でアンタップ状態で出すことで即座に《引き裂かれし永劫、エムラクール》を呼び出すのだ!

 「12ポスト」デッキの最大の急所は土地破壊に弱いことだ。戦場に《微光地》1枚だけを残し、手札の《引き裂かれし永劫、エムラクール》が沈黙するという光景はよくある話である。《引き裂かれし永劫、エムラクール》デッキには《草茂る胸壁》など、他に15マナを出す方法が追加されている。このバージョンはスタンダードに存在したエルドラージ・デッキとよく似た動きを見せるが、「12ポスト」デッキに含まれている防御用の打ち消し呪文をかなぐり捨ててマナを安定させている。


飽和攻撃(「無限マナがあるんだからエムラクールも呼べる方法」)

 このプロツアーでも1ダースほどのプレイヤーが選んだエルフ・コンボデッキは、《イラクサの歩哨》と《遺産のドルイド》、《雲石の工芸品》を組み合わせて無限の緑マナを出せるようにするデッキだ。《エルフの幻想家》を組み合わせると、無限にカードを引くこともできるようになる。状況さえ整えれば無尽蔵のマナと好きなカードを手にできるのだから、《引き裂かれし永劫、エムラクール》を唱えるのが一番おもしろいと決めるのはそれほど困難なことではない。エルフデッキにおいては触手付き《Time Walk》に成り下がってしまうかもしれないが、それでも十二分に役目を果たしてくれるだろう。

 何とかして{15}を出すための方法を探し尽くした後で、プレイヤーたちはより創造的なことをしはじめた......。


4割引(「お買い上げの方にはもう1個プレゼント」)

 青の打ち消し呪文を回避して緑のカードを追加した「12ポスト」デッキでは、《引き裂かれし永劫、エムラクール》をより安く出すための方法として《歯と爪》を採用したものもある。わずか{5}{G}{G}でデッキから《引き裂かれし永劫、エムラクール》とその仲間を探すこともできるし、すでに手札に《引き裂かれし永劫、エムラクール》があったならそれを戦場に出してしまうこともできる。さらに双呪の{2}を支払うと両方ができてしまう。《引き裂かれし永劫、エムラクール》とその仲間を探してきて、それらをそのまま戦場に投入できるのだ! {7}{G}{G}は{15}に比べ、なんと40%もお得です!



一撃必殺(「突破少年」)

 プロツアーぎりぎりの調整の中で、《裂け目の突破》が12ポストに入るという情報が駆け巡ると、昨日まで注目されていなかった神河物語のレアが飛ぶように売れていった。《引き裂かれし永劫、エムラクール》のコストを《歯と爪》よりもさらに大きく、15マナからなんと5マナにまで割り引くことができるのだ。この場合、《引き裂かれし永劫、エムラクール》が戦場に残ることはないが、1回の攻撃でもゲームを終わらせるのには充分だと言えるだろう。対戦相手に15点のダメージを与え、滅殺でパーマネントを6個生け贄に捧げさせるのだ! これ以上、何を望む?

 それでは次を見てみよう。



古き神は死なない(「生きてるよー!」)

 《引き裂かれし永劫、エムラクール》を出す方法の中でも最もズルくて速いこの方法を使うと、なんと第2ターンに出すことができてしまうのだ! そんな、あり得ないほどに有利な方法はいったい何なのか? そのためにはまず《引き裂かれし永劫、エムラクール》を《稲妻の斧》を唱えることで手札から墓地に捨て――もちろん、対象にできるような好都合なクリーチャーがいなければ無理だ。その場合には他にいろいろと入っている、カードを引いたり捨てたりする効果を使えばいい。何にせよ重要なのは、《引き裂かれし永劫、エムラクール》を墓地に送り、そして蘇らせることだ。

 ......? 《引き裂かれし永劫、エムラクール》が墓地に行ったら、墓地全体をライブラリーに混ぜて切り直すはず。そう思うのが普通だけれど、ここで重要になるのはマジックのお約束、タイミングという奴だ。《御霊の復讐》はインスタントなので、ライブラリーに混ぜて切り直すという《引き裂かれし永劫、エムラクール》の能力がスタックにある間に対応して《御霊の復讐》を使えば死せる神の再臨だ!



7つの方法(「罠だ!」)

 ここで再び古典的な緑のカードに目を向けよう。なんと、タダで《引き裂かれし永劫、エムラクール》を戦場に出せるのだ。そう、タダだ。必要なのは親切な対戦相手と少しの運、それから《召喚の罠》だ。対戦相手が打ち消したくなるようなクリーチャーを唱え、《召喚の罠》なんか持ってないよという顔をして打ち消してもらえれば万々歳。デッキの上から7枚の中に《引き裂かれし永劫、エムラクール》がいれば、相手は逃げ惑うのに必死で、卑怯だ嘘つきだなんて罵るひまもないはずさ。

 これらが、マジック史上最強のクリーチャーを呼び出して悪用するための方法として使われている。しかし、世の中には他にもう一つの方法がある。なんとこの場合、《引き裂かれし永劫、エムラクール》をデッキに入れておく必要すらないのだ。



おとり(「こんな巧くいくとは思わなかった」)

 《袖の下》。{3}{U}{U}のソーサリー。対戦相手1人を対象とする。そのプレイヤーのライブラリーからクリーチャー・カードを1枚探し、それをあなたのコントロール下で戦場に出す。その後、そのプレイヤーは自分のライブラリーを切りなおす。

 多くのプレイヤーが《引き裂かれし永劫、エムラクール》をデッキに入れて何とかして呼び出そうとしているのなら、このカードが解決策になる。《引き裂かれし永劫、エムラクール》を打ち消すことは出来ないし、戦場に出てしまえば相手がこちらを無力化してゲームを決めてしまう前に対処することはかなり難しい。この脅威への解決策が、《袖の下》だ。《引き裂かれし永劫、エムラクール》だろうがなんだろうが、金で転ばない奴はいない。《袖の下》はこのプロツアーでも多くのデッキのサイドボードに見かけられる。これは12ポスト同士のミラーマッチでは決定力を持つし、コントロール・デッキには最大の敵への完璧な対処になる。他の青デッキでも、相手の最強のカードを奪ってしまうという強力な選択肢になる。モダンのように広大なカードプールを持つ環境では、あらゆるデッキには回答が存在する。そして、《引き裂かれし永劫、エムラクール》を出したいと狙っていたデッキはその決定を嘆くことになるかもしれない。

 モダン環境が《引き裂かれし永劫、エムラクール》の王国になるかどうかを決めつけるのはまだ早いが、《引き裂かれし永劫、エムラクール》がこのプロツアーへのプレイヤーの想像力を集める点の一つになっていたことは間違いない。そして、プロツアー・フィラデルフィアの王者を決めるまでに、エルドラージの巨獣の姿をたくさん見ることになるだろう!

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