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(翻訳記事) 特集: 絶えない贈り物

(翻訳記事) 特集: 絶えない贈り物

by Blake Rasmussen / Translated by Masashiro Kuroda

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モダン環境のFrank Karstenと、《けちな贈り物/Gifts Ungiven》よりも優れた唯一のモノ

 6年前、石油の価格は暴騰していた。 New England PatriotsとPhiladelphia Eaglesは、NFLで最も優れたチームであった。

 ハリー・ポッターは年間で最も売上の高い映画の1つであったし、Jon Finkelは殿堂入りプレイヤーに名を連ねることとなった。

 そして、Frank Karstenは世界に向けて、《けちな贈り物/Gifts Ungiven》がどれほど優れたカードであるかを説いていたのだった。

 多くのものは変化する。そうだよな?

 Karstenは、今やまぎれも無い殿堂入りプレイヤーあるが、この強力な青のインスタント呪文の使い手として、《紅蓮術士の昇天/Pyromancer Ascension》を《けちな贈り物/Gifts Ungiven》でバックアップするオリジナルデッキを携え、プロツアー・フィラデルフィアに乗り込んできた。しかし一ヶ月前、このオランダ人のプロは、プロツアーのためにアメリカ旅行をするつもりなど毛頭なかったのだった。

 しかしプロツアーのフォーマットがエクステンデッドではなく、第8版及びミラディンブロック以降のカードを使う、未開拓のモダン環境になったことにより、話はまったく別物になった。

「それはデッキビルダーにとっては楽園みたいなもので、俺にはその環境をぶっ壊すチャンスがあるかもしれない、と思ったね」Karstenは言う。

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この《けちな贈り物》マスターは、「《けちな贈り物/Gifts Ungiven》より優れているものは何?」と自問自答する。「それは『二倍の贈り物』だ。」

 過去6年相当のデッキを振り返り、お気に入りのカードをプレイできるという見通しが立ったとき、彼はいてもたってもいられず安い航空券を手に入れ、たくらみを始めたのだった。

 Karstenと他のオランダ人プロは、まずZooを相手に調整を始めた。というのは、一目でこのデッキの強さは明らかであり、対策する必要があるからということだ。

 その後、彼らは《雲上の座/Cloudpost》と《微光地》の入った、《引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul, the Aeons Torn》が4ターン目に出てくるデッキとの調整に入った。そして、こういったビッグマナ系のデッキと、速攻のアグロデッキの両方に勝てるかどうか?という問題に取り組んだのだった。

 Karstenが最もお気に入りのカード、《けちな贈り物/Gifts Ungiven》に行き着いたということに対して、驚く人はほとんどいないだろう。

「俺の生涯で最高の実績は、《けちな贈り物/Gifts Ungiven》を使ったときなんだ。」

 Karstenは、2005年の世界選手権で準優勝したときのことを振り返りながらこう言った。

「今回は思い出を探る、懐かしい旅になるね。」

 また、モダンのフォーマットは研究されていない、新鮮なものだと彼は指摘している。あまりテストされていないフォーマットであると同時に、本当に多様なデッキリストがMO上で確認できる。ということはデッキビルダーの魂に火をつけるものだ。

「このフォーマットは、本当にあなたに合ったデッキを見つけ、調整することができるフォーマットだよ」とKarstenは言う。

 フィラデルフィアに持ち込まれた彼のデッキは、彼が2005年の世界選手権で使用した《けち》デッキとは大きく様相が異なっている。あのときのデッキは、《よりよい品物/Greater Good》と《明けの星、陽星/Yosei, the Morning Star》のコンボで相手の土地をロックするためのバックアップとして、《けちな贈り物/Gifts Ungiven》を活用するものだった。

 Karstenのモダン環境デッキは、《けちな贈り物/Gifts Ungiven》で《紅蓮術士の昇天/Pyromancer Ascension》を強化するものである。同じ青赤というくくりではあるが、《集団意識/Hive Mind》、《紅蓮術士の刈り痕/Pyromancer's Swath》、《欠片の双子/Splinter Twin》のような単純なコンボと比較すると、勝ちに結びつくルートが何本もあり、非常に複雑なものとなっている。

 今日になっても、Karstenは自身のデッキを使いながら、新しい世代のプロプレイヤーに対してマジックのスキルを見せ付けている。彼はラウンド2でGaudenis Vidugirisの《紅蓮術士の刈り痕/Pyromancer's Swath》デッキに負けこそしたものの、《有毒の蘇生/Noxious Revival》を対戦相手に使うことで有効なドローを遅らせ、ほとんどのプレイヤーが掴み損ねるであろう、ラストチャンスの1ターンを作り出したのだった。その場にいた大半のプレイヤーは、《有毒の蘇生/Noxious Revival》が対戦相手を対象に取れる、ということすら気付いていなかったのだ。

 負けたにも関わらず、Karstenは自身の選択に満足しているようだった。

 何がそんなにも彼を惹きつけるのか?

 Karstenは言う。

「『二倍の贈り物』さ」

 《けちな贈り物/Gifts Ungiven》+《紅蓮術士の昇天/Pyromancer Ascension》のことを指して言う。この2枚は、もしかすると何百万人もの頭を同時に爆発させてしまうかもしれない。」

「このデッキは、勝つために考え抜くことが嫌いなプレイヤーにとって、あまりにもわかりにくく、込み入ったものだ。」

 そう言ったKarstenは、ちょっと考えて、もう一度2枚のカードを指した。

「だからこそ、二倍なんだよ。」

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