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(翻訳記事) 特集: モダン形式への対策カード

(翻訳記事) 特集: モダン形式への対策カード

By Frank Karsten / Translated by YONEMURA "Pao" Kaoru

原文はこちら

 モダンのカードプールは広く、作れるデッキの種類も驚くべきほどだ。この新しい、完全に開かれた、多様な環境にどう対応していけばいいのか、そしてこの環境の多数派となる数あるデッキに対して一つだけ答えをだせばいいのか? このプロツアーのための調整のやり方を知りたい人、ここフィラデルフィアで見かけられたデッキに対する強力で驚くべき対策に興味がある人は、続きを読んでくれ!

 現時点で、モダン形式の多数派は3つ知られている。まず、最速のマナ・エンジンを積み込んだ、12ポスト・デッキ。2つめが、ズーや親和と言ったアグロデッキ。そして3つめが、《欠片の双子》や《紅蓮術士の昇天》、感染などの様々なコンボデッキだ。ほんの2〜3週間前には、この事実は知られておらず、この環境を特定するためには充分な調整が必要だった。この、調整の方法論が問題だ。私が、オランダとベルギーのプレイヤーからなるグループで取り組んだ方法は、以下のような手順を踏んだ。

第1段階: 最強でもっともわかりやすいアグロ・デッキを探す。これはズーだとすぐに分かった。

第2段階: ズーに勝てるデッキを探す。この形式でズーに勝てるデッキの筆頭は、私たちの調整によると12ポストだった。そしてこれは初期のMOでも確認できた。

第3段階: ズーと12ポストに勝てるデッキを探す。


 第3段階の答えを、私はコンボデッキに求めた。これとほとんど同じ調整手順を、殿堂者のオリヴィエ・ルーエル/Olivier Ruelも辿り、そして彼は自分のデッキを決めた。私も彼も、事前に相手のシナジーを破壊することに焦点を当てたデッキを使いたかった。プロツアーはモダン形式の開幕だったので、私たちは脅威に対処するようなコントロール・デッキを使う気にはなれなかった。メタゲームが読み切れていない時は、イベントに間違った答えを持って出かけてしまうことは非常に良くあることなのだ。

 今はこの環境も固まってきて、メタゲームに注力している人たちやデッキビルダーたちは12ポストとアグロとコンボを倒す方法を模索し始めているかもしれない。この質問をクリアするために、私はプレイヤーたちがフィラデルフィアに持ち込んだデッキの中にある対策カードを探し始めた。

 サイドボードのカードに興味がある? それとも、環境への答えになるようなコントロール・デッキのひらめきを求めている? それなら、どんな選択肢があるのか見ていくことにしよう!


12ポスト対策

 12ポストに対抗する一番わかりやすい方法は、《雲上の座》を破壊することだ。なるほど、12ポストのミラーマッチではしばしば《刈り取りと種まき》や《すき込み》、《内にいる獣》などで決着することがある。青デッキなら《広がりゆく海》や《併合》。《死せる生》デッキなら《大爆発の魔道士》が頼りになる。ズーは《溶鉄の雨》や、他にも《聖遺の騎士》で持ってくる《幽霊街》か《地盤の際》を使うことができる。

 しかし、《雲上の座》1枚を壊したところで解決するわけではない。《原始のタイタン》がすぐに代わりを持ってきてしまう。《血染めの月》や《月の大魔術師》はより強力な縛りをかけて、《雲上の座》で大量のマナを出すことを完全に防いでくれる。《塩まき》で《雲上の座》を完全に取り去ってしまっても良い。まだ足りなければ、《爆裂+破綻》や《荒廃の思考》を入れて12ポストの土地を完全に除去してしまおう。《出産の殻》や《召喚の調べ》が入っているデッキなら《塵を飲み込むもの、放粉痢》を出すこともできる。

 もう一つ、《雲上の座》対策によく使われているのが、相手の《引き裂かれし永劫、エムラクール》を《袖の下》で奪ってしまうという手だ。

 12ポストへの対策として、他には《原始のタイタン》に対策するというものもある。《瞬間凍結》や《バントの魔除け》で打ち消すなり殺すなりしてもいいが、より華麗な対策手段には《エイヴンの思考検閲者》や《疑念の影》がある。《緑の太陽の頂点》を無効化するとともに《原始のタイタン》の誘発型能力を弱めてしまうのだ。


ズー対策

 ズーはこれまでも何年も存在してきたデッキであり、それへの対策手段も何年も知られている通りだ。つまり『クリーチャーをどかしてライフを得ろ!』である。

 クリーチャー対策には山のような手段があるが、最善なのは最も軽いものである。《死の印》などはマナ効率が最も良い除去だ。また、《野生のナカティル》複数体を一気に《炎渦竜巻》や《仕組まれた爆薬》、《漸増爆弾》で片付けるのも挑戦しがいがあるだろう。《不忠の糸》で相手の《タルモゴイフ》を裏切らせてしまうのも最高だ。

 ライフを得るほうについては、《台所の嫌がらせ屋》や《強情なベイロス》、《機を見た援軍》などが見受けられた。


親和対策

 アーティファクトを中心としたデッキが、アーティファクトを破壊するカードに弱いのは自明の理だ。使い捨てのアーティファクト破壊呪文はいくらもあるが、ここフィラデルフィアでゲームに最も影響を与えている呪文は《破壊放題》《ハーキルの召還術》《古えの遺恨》《忍び寄る腐食》といったところだろう。もちろん、《クァーサルの群れ魔道士》《自然の要求》《無効》《バントの魔除け》と言ったカードも完璧に役目を果たせるが、それだけではゲームに勝つことは出来ない。

 単発型のアーティファクト破壊を除いても、様々なパーマネント対策が存在する。《戦争の報い、禍汰奇》は以前から使われていたが、《渋面の溶岩使い》も親和プレイヤーにとっては頭の痛い話で、クリーチャーが1体ずつ除去されてしまうことになる。

 《魂の裏切りの夜》がサイドボードに入っているデッキもいくつかあった。コンボデッキ対策だろうが、このエンチャントは親和にも非常によく効く。《墨蛾の生息地》や《ちらつき蛾の生息地》は役立たずになり、《メムナイト》や《大霊堂のスカージ》は即死だ。《電結の荒廃者》は――大きくなる前に墓地に送られてしまうだろう。


コンボデッキ対策

 《荒廃の思考》《翻弄する魔道士》《頭蓋の摘出》《ヴェンディリオン三人衆》《呪文貫き》あたりはコンボデッキ対策の万能薬となる。ここで、この形式に存在する各種のコンボデッキにそれぞれ対応する、よりおもしろい特効薬を見ていこう。


《欠片の双子》デッキ対策

 対戦相手が3ターン目に《詐欺師の総督》を出し、4ターン目に《欠片の双子》を出そうとしている。いったいどう対策する?

 すぐに思いつくのは、0マナか1マナのインスタントだ。《自然の要求》《無効》《四肢切断》《応じ返し》《流刑への道》。この方向性で問題になるのは《払拭》の存在である。相手は《払拭》のマナを残して《欠片の双子》が唱えられるようになるまで待ち、それからこちらの妨害を蹴散らすことになる。

 《払拭》を回避するには、打ち消されないインスタントを使えば良い。《焼却》や《突然の死》だ。目的は果たせるが、これらのカードには大量のマナが必要で、そしていつでも3〜4マナ立てておくというのはあまりに非現実的だ。まして、《詐欺師の総督》は土地をタップすることもできるのだから。

 次の手は、パーマネントを使うことだ。そうすれば《払拭》を躱すことにもなる(パーマネントで対策するのなら、そんなにマナを立てておく必要はない)。《ガドック・ティーグ》《呪文滑り》《原基の印章》あたりが使えるし、《クァーサルの群れ魔道士》でもいい。ただし、これにも問題があって、これらのカードは《欠片の双子》対策にはなるものの、《鏡割りのキキジキ》には手が出せないということだ。

 《欠片の双子》デッキの多くには、安定化のためにこの赤の伝説のクリーチャーが入っており、《原基の印章》で手詰まりになった盤面もさらりと解決されてしまう。《欠片の双子》と《鏡割りのキキジキ》の両方に対処できるのが、《倦怠の宝珠》や《減衰のマトリックス》、《魂の裏切りの夜》《炎樹族のシャーマン》《静寂の守り手、リンヴァーラ》といったところだ。しかも、最後の2つは、《召喚の調べ》や《出産の殻》で使えるクリーチャーなのである。

 やがて、メタゲームが《倦怠の宝珠》に進んだら、《欠片の双子》デッキの《払拭》は《残響する真実》に交換されるだろうし、そしていたちごっこが始まることになる。

 しかし、私が見た中でもっともイカした《詐欺師の総督》対策カードは、《闘技場》だった。《ファイレクシアの闘技場》ではなく、元祖の《闘技場》の方だ。《聖遺の騎士》がその能力で《闘技場》を出してきたら、おそらくは4/4かそれ以上になっているだろう。そして彼は勇壮に叫ぶのだ、「《詐欺師の総督》? かかってこい!」と。


紅蓮術士デッキ対策

 ここでは、《紅蓮術士の昇天》と《紅蓮術士の刈り痕》の両コンボデッキを扱う。《紅蓮術士の昇天》と《紅蓮術士の刈り痕》のどちらのデッキも、《思案》《炎の儀式》《魔力変》などを使って大量の呪文を使い、《ぶどう弾》で勝負を決めるという構造は同じだ。

 この種のデッキへの攻撃の第一歩は、一つのターンにそれほど多くの呪文が唱えられないようにすることだ。そのためにサイドボードでよく使われていたカードには《エーテル宣誓会の法学者》や《法の定め》、《三なる宝球》《アメジストのとげ》《磁石のゴーレム》がある。

 一方、儀式を打ち消すだけということもできる(《瞬間凍結》《バントの魔除け》《虚空の杯》などが頭に浮かぶ)。

 もう一つの対策が、《ぶどう弾》を止めることだ。《神聖の力線》が最適の手段だろう。なんと言っても、プロツアーで実質0ターンキルも発生した。第1ターン開始前にこのカードを出された《ぶどう弾》側は、エンチャント対策が入っていなかったらしく、さっさとカードを片付けて次のゲームに向かったのだった。他にも《ぶどう弾》を止める方法はありうる。《計略縛り》で《ぶどう弾》のストームの誘発型能力を止めてしまっても良いし、《紅蓮術士の刈り痕》に対応して《沈黙》を唱えても良い。「驚きの対策で賞」は《精神壊しの罠》に差し上げよう。

 デッキ名になっているエンチャントを直接対策しても良い。《無効》《自然の要求》《クァーサルの群れ魔道士》《原基の印章》あたりが候補になる。《仕組まれた爆薬》や《漸増爆弾》でも行けるかも知れないが、少しばかり遅いのが気にかかる。それでも、おそらくは《紅蓮術士の昇天》を止めるのには間に合うだろう。


感染コンボ対策

 《猛火の群れ》で《墨蛾の生息地》をパワー10以上の感染クリーチャーにする、というのは強力だが脆弱なコンボだ。これへの対策には2つの方法が考えられる。つまり、感染クリーチャーを殺すか、《猛火の群れ》を止めるかである。

 ではまず、感染クリーチャーを殺す方を考えてみよう。《四肢切断》や《流刑への道》が第一級のクリーチャー除去だが、《稲妻》や《罰する火》でも脆弱な感染クリーチャーを倒すには事足りる。《応じ返し》はクリーチャーを殺すことは出来ないが、《猛火の群れ》に対応して使えばそれでも除去と同じような働きをする。しかし、対戦相手にも《否定の契約》などで対応してくる準備が整っているだろう。

 《否定の契約》を回避するために、《渋面の溶岩使い》や《闘技場》はどうだろうか? 《聖遺の騎士》は嬉々として小さな1/1感染クリーチャーを潰してくれるだろう。残念ながら、それらのクリーチャーをすぐに除去できる《殺戮の契約》が《猛火の群れ》デッキにはよく見かけられる。

 《炎の印章》や《幽霊街》なら、どちらの契約にも縛られることはない。だが、感染デッキの中にはクリーチャーを守るための《呪文滑り》が入っているものもあるので、《炎の印章》は役に立たないこともある。

 止めることが出来ないコンボへの解決策はあるのだろうか? もちろん! 時のらせんの刹那メカニズムを覚えているだろうか。《拭い捨て》や《突然の死》が助けてくれる。《残響する真実》に線が引かれて《拭い捨て》が入っているデッキリストも何枚かあった。おそらくだが、最後の最後に感染デッキのことを考えて差し替えたのではないだろうか。

 4マナを出す余裕が充分にあると思うなら、《魂の裏切りの夜》は完璧な解決策になる。それが戦場に出てしまえば、もう《墨蛾の生息地》に悩まされる心配はない。

 最後に、《猛火の群れ》を止めようと思うなら、《呪文滑り》《払拭》《ガドック・ティーグ》《瞬間凍結》などが最適な候補になるだろう。


結論

 モダンの上位デッキにも、いろいろな対策カードが存在する。問題は、どれをサイドボードに入れるか、だ。どれだけのデッキに対して有効になるか。複数のアーキタイプに効くカードを入れたいものだ。その完璧な例として挙げられるのが、ブライアン・キブラー/Brian Kiblerのカウンターキャット・デッキだ。《瞬間凍結》《バントの魔除け》《クァーサルの群れ魔道士》といったカードが入っている。

 おそらく、「環境への対策カード」というようなデッキが存在していると思う。その一つのたたき台として、黒青の、メインデッキに入れられる対策カードを詰め込んだデッキを提案しておこう。《疑念の影》はメインデッキに入るいぶし銀の対策カードで、12ポストの《緑の太陽の頂点》やフェッチ土地の対策になる。加えて、《欠片の双子》デッキや感染コンボデッキを止められるように、そういった「対策」デッキには《応じ返し》や《魂の裏切りの夜》、《呪文滑り》を入れる。これらのカードはズーや親和にもよく効く。《仕組まれた爆薬》はズーや紅蓮術士系のデッキを押さえられるだろう。そして、サイドボードには《無効》や《瞬間凍結》を入れておく。相手にとどめを刺すには、《雲上の座》や《引き裂かれし永劫、エムラクール》を入れておくといいだろう。

 この形式はデッキビルダーにとっての天国だ。そして、倒したいデッキへの対策カードは必ず存在するのだ。

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