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【観戦記事】 第4回戦:Matej Zatlkaj(スロバキア) vs. Paul Cheon(アメリカ)

【観戦記事】 第4回戦:Matej Zatlkaj(スロバキア) vs. Paul Cheon(アメリカ)

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Josh Bennett / Tr. Tetsuya Yabuki

2016年4月22日

原文はこちら

マテイ・ザトルカイ/Matej Zatlkaj(赤緑ゴーグル・ランプ) vs. ポール・チェオン/Paul Cheon(黒緑アリストクラッツ)

 プロツアーの第4回戦は、いつも緊張するものだ。プレイヤーたちは未知なる敵に対して、自分の予想が当たっていることを祈りながらその作品を披露する。ドラフト・ラウンドを2勝1敗で終えた両者は、この週末の成功に向けて好発進を切っている。

 ポール・「Paul」・チェオンは、マジック界で最も人気の配信者のひとりだ。育児に熱心な父の顔と、敬愛する市民たちから寄せられる飽くなき期待に応える勤勉な男の顔を持つ彼は、今大会に向けて十分な練習ができなかったことを認める。それでもチーム「ChannelFireball」と「Ultra PRO」の強力な支援を受け、彼は油断こそしないものの今大会に自信を見せている。彼の操る革新的な「黒緑アリストクラッツ」デッキは、《集合した中隊》の力と《ナントゥーコの鞘虫》と《ズーラポートの殺し屋》の爆発力を組み合わせたものだ。

 マテイ・「Big Z」・ザトルカイはこの度、悩ましい決断を下した――彼はプロツアー・シーンから離れることにしたのだ。だが「Big Z」ファンの諸君、心配しないでくれ。彼の姿は今後、カバレージ・チームの一員としてヨーロッパのグランプリで見られることだろう。休止前最後のプロツアーとなった今大会、彼はチーム「EUreka」の仲間に支えられながら、《紅蓮術師のゴーグル》の力を頼りにした「赤緑ランプ」デッキを手に戦いに臨む。

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ドラフト部門を2勝1敗で切り抜け、良い形でスタンダード部門を迎えたポール・チェオンとマテイ・ザトルカイ。

ゲーム展開

 先に盤面を築いたのはチェオンだったが、ザトルカイも十分に除去を持っていた。《焦熱の衝動》が《壌土のドライアド》を焼き払い、その後に展開された2枚目の《壌土のドライアド》と《エルフの幻想家》も《コジレックの帰還》で一掃する。チェオンの《謎の石の儀式》によるマナ加速は許されなかった。さらに2枚目の《エルフの幻想家》と《ナントゥーコの鞘虫》もザトルカイの除去を受けたが、チェオンはついに《薄暮見の徴募兵》を盤面に残すことができた。

 ザトルカイは《紅蓮術師のゴーグル》を繰り出した。チェオンは《薄暮見の徴募兵》の能力を2回起動してターンを渡し、これを「変身」させる。《ニッサの巡礼》で土地を3枚持ってきたザトルカイは、《巨人の陥落》を放ち、《薄暮見の徴募兵》を除去するとともにチェオンのライフを14点に落とした。チェオンは《エルフの幻想家》と《壌土のドライアド》を展開し、ターン・エンド。

 ザトルカイは《紅蓮術師のゴーグル》をタップし、そのマナで《マグマの洞察力》。

「4枚?」

 続けて繰り出されたものはさらに凶悪な――《世界を壊すもの》だった。墓地にある《コジレックの帰還》の能力が誘発し再び盤面を一掃しながら、ザトルカイはチェオンの《ウェストヴェイルの修道院》を破壊する。それに追い打ちをかけるように、チェオンの放った《集合した中隊》は(《膨れ鞘》のみという)不発に終わった。

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ザトルカイのデッキは、《紅蓮術師のゴーグル》によるカード・アドバンテージを増幅させるための手段をよく理解している。

 チェオンは《ナントゥーコの鞘虫》と《地下墓地の選別者》を展開。ザトルカイは2枚目の《世界を壊すもの》で再び《コジレックの帰還》の能力を誘発させ、さらにチェオンの土地を破壊して勝負を決めにかかった。チェオンはこれに対応して《地下墓地の選別者》とトークンを生け贄に捧げ、《ナントゥーコの鞘虫》を6/6にする。だが《コジレックの帰還》の解決を促し《膨れ鞘》を墓地へ置こうとしたチェオンを、ザトルカイが止めた。彼は《コジレックの帰還》を追放しないことを選ぶという。チェオンは《コジレックの帰還》を手に取り、テキストを読んだ。

「なんだこれ......厄介だな」と、チェオン。

「わかるよ!」とザトルカイも渋い顔。

 チェオンは再び盤面を作り直し、一方のザトルカイは2枚目の《マグマの洞察力》で4枚のカードを引いた。ザトルカイはさらに《苦しめる声》で手札を潤沢にすると、《面晶体の記録庫》と《炎呼び、チャンドラ》をプレイ。[-X]能力で全体に3点のダメージを与え、チェオンの盤面を《ナントゥーコの鞘虫》とエルドラージ・末裔1体のみにした。《ズーラポートの殺し屋》がザトルカイのライフを削ったものの、チェオンの不利は変わらない。

 ターンを迎えたチェオンは《異端の癒し手、リリアナ》を繰り出した。《ナントゥーコの鞘虫》でクリーチャーを生け贄に捧げてリリアナを「変身」させると、[-X]能力で《ズーラポートの殺し屋》を復活させる。だがそれも、大勢に影響を与えない。ザトルカイは再度《コジレックの帰還》を放ってチェオンのブロッカーを排除すると、《炎呼び、チャンドラ》の[+1]能力で速攻を持つエレメンタルを2体生み出し、さらに2枚目の《炎呼び、チャンドラ》でエレメンタルをもう2体加え、チェオンに致死量のダメージを与えたのだった。

 2ゲーム目、チェオンが序盤に繰り出した《ズーラポートの殺し屋》は《焦熱の衝動》を受けたものの、ザトルカイが《ニッサの巡礼》でマナ加速をしている間、《異端の癒し手、リリアナ》が生き残った。チェオンは2点で攻撃し、《ナントゥーコの鞘虫》を盤面に加える。だがザトルカイが《マグマの洞察力》から続けて《巨人の陥落》を「怒濤」で放つと、チェオンは《ナントゥーコの鞘虫》を生け贄に捧げて《異端の癒し手、リリアナ》を「変身」させざるを得なくなった。

 ターンを迎えたチェオンは《精神背信》を唱えた。ザトルカイが手札を公開すると、そこには《コジレックの帰還》と《苦しめる声》、《世界を壊すもの》、《炎呼び、チャンドラ》があった。チェオンは《コジレックの帰還》を取り去ると、2枚目の《ナントゥーコの鞘虫》を展開し、さらに《反抗する屍術師、リリアナ》の能力で《ズーラポートの殺し屋》を戦場に戻した。こうしてチェオンが優位を確立する。

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今大会に向けて、チェオンはチームメイトの力を頼った。そのおかげで、マジック・プレイヤーとしての自分とふたりの息子を持つ父親としての自分を両立させたのだ。

 ザトルカイは《苦しめる声》でライブラリーを掘り進め、《世界を壊すもの》を繰り出したが、しかしその後が続かない。チェオンは5点のダメージを通し、《反抗する屍術師、リリアナ》の能力を起動せずにターンを渡した。

「良いカードを引いたんだね」とザトルカイが言う。

 チェオンは芝居がかった調子で「しまった!忘れてた!」と言うものの、それに騙される者はいないだろう。事実、彼が引き込んだカードは《集合した中隊》であり、それはこの試合を3ゲーム目に向かわせるだけの威力を発揮したのだった。

 ザトルカイは初手を見るなりライブラリーに戻した。一方のチェオンは7枚でキープ。ザトルカイは2ターン目に《苦しめる声》を唱えると、3ターン目は3マナを構えてターンを渡した。チェオンは《膨れ鞘》と《エルフの幻想家》で攻撃し、《薄暮見の徴募兵》を追加する。ザトルカイは立てていた3マナを使って先ほど捨てた《溺墓の寺院》を戦場に戻した。

 ターンを迎えたザトルカイは《世界を壊すもの》を捨てて2枚目の《苦しめる声》を唱え、《焦熱の衝動》で《薄暮見の徴募兵》を除去。チェオンは攻撃後、4マナを残してターンを返した。ザトルカイは《紅蓮術師のゴーグル》を置き、《マグマの洞察力》で4枚ドロー。しかし不幸にも、ターンの終わりに放たれた《集合した中隊》で《地下墓地の選別者》と《ナントゥーコの鞘虫》が揃ってしまった。チェオンがそこから勝利を掴むのは、難しいことではなかった。

ザトルカイ 1-2 チェオン

 試合後、両者はこのマッチアップについて語った。「試合には負けたけど相性は良かったと思うよ」とザトルカイは言う。そしてその点についてはチェオンも同意する。「彼のランプ・デッキは普通のものとは違って除去が豊富だ。こちらは《ナントゥーコの鞘虫》がキー・カードだからね」

 さらに、チームメイトの元へ戻ろうとするチェオンを引き止め、限られた練習時間でこのデッキを使用していることについて尋ねてみた。

「練習は全然足りていないね」とチェオンは答える。「さっきの《コジレックの帰還》のやり取りを見ればわかるかな。それでも、手順を間違えずにきちんと《ナントゥーコの鞘虫》の能力をスタックに積めたし、それが一番大事だよ。デッキについては、ふたつ前のプロツアーでマット・ナス/Matt Nassが『先祖の結集』デッキを使えと勧めてくれたんだけど、それを蹴って『アブザン』で出たら5勝5敗だった。今回はそんなミスはしない。それからもちろん、チームからはデッキごとのアドバイスももらっているよ」

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