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【観戦記事】 第5回戦:八十岡 翔太(日本) vs. Matt Severa(アメリカ)

【観戦記事】 第5回戦:八十岡 翔太(日本) vs. Matt Severa(アメリカ)

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Tobi Henke / Tr. Tetsuya Yabuki

2016年4月22日

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八十岡 翔太(エスパー・ドラゴン) vs. マット・セヴェラ/Matt Severa(黒緑アリストクラッツ)

 第5回戦では、いまだ無傷の4連勝という同じ成績ながらも対照的なふたりが相見えることになった。アメリカのマット・セヴェラはこれまでプロツアーで大活躍する機会に恵まれておらず、一方、日本の八十岡 翔太は昨年殿堂顕彰を受けるほどの戦績を誇っている。八十岡はかつて、たったひとりでプレイテストを行いながらも衆目を集めるようなデッキを作り上げる「孤高のプレイヤー」として評判だったが、セヴェラは昔からチームとともにあり、今大会に向けてもチーム「Ultra PRO」と練習を行ってきた。

 今大会での「Ultra PRO」のデッキ選択は、「黒緑アリストクラッツ」。《膨れ鞘》や《エルフの幻想家》、《ズーラポートの殺し屋》、《ナントゥーコの鞘虫》、《地下墓地の選別者》、《異端の癒し手、リリアナ》といった生け贄テーマを中心に、《集合した中隊》や《薄暮見の徴募兵》で安定感を加え、《壌土のドライアド》や《謎の石の儀式》で速さも備えたデッキだ。一方、八十岡の選択したデッキは「エスパー・ドラゴン」。除去と打ち消し、そしてドラゴンの組み合わせは、かつての環境でメタゲームの中心を担っていた。現在ではマナ基盤に問題を抱えているが、八十岡はその解決法を見出したようだ。

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マディソンに住むマット・セヴェラが、コントロールの達人として高名な殿堂顕彰者、八十岡 翔太と対峙する。

ゲーム展開

 ダイス・ロールに勝利したのは八十岡だったが、素早く動き出したのはセヴェラの方だった。《壌土のドライアド》と《膨れ鞘》を展開すると、3ターン目にして《集合した中隊》を放つ。これは《意思の激突》を受けたが、続けて2枚目の《集合した中隊》が通り、セヴェラは《異端の癒し手、リリアナ》と《エルフの幻想家》を戦場に加えた。

 だがそこへ、ドラゴンの群れが襲いかかった。《異端の癒し手、リリアナ》は《龍王シルムガル》に奪われ、《龍王オジュタイ》が5点のライフを奪っていった。それでもセヴェラはなんとか盤面を築いていくが、狙いすました《衰滅》により八十岡の《龍王シルムガル》を残して盤面は一掃された。

 この流れは再び繰り返された。セヴェラは次々と脅威を送り出すが、《衰滅》がまたも八十岡を守る。それでも、波状攻撃と《ズーラポートの殺し屋》によって八十岡のライフは削られ続け、ついに残りわずかに。

 しかし、八十岡は《忌呪の発動》でライフを回復し、2枚目の《龍王オジュタイ》を繰り出すとセヴェラのライフを攻めた。そして2枚目の《龍王シルムガル》がセヴェラの戦場に残った《ズーラポートの殺し屋》を奪うと、1ゲーム目は決着したのだった。

 2ゲーム目、マリガンを喫したセヴェラは《ナントゥーコの鞘虫》と《集合した中隊》2枚、残りが土地という手札をキープしたが、1枚目の《集合した中隊》は《精神背信》を受けて失い、2枚目も《シルムガルの嘲笑》で防がれた。さらに《ナントゥーコの鞘虫》は《死の重み》で対処され、八十岡の盤面に《ゲトの裏切り者、カリタス》まで加わると、状況はセヴェラにとって厳しいものに見えた。

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セヴェラは長きにわたり、ウィスコンシン州を拠点にするプロ・プレイヤーたちと練習をともにしている。今大会に向けてはチーム「Ultra PRO」とプレイテストを行い、極めて強力なデッキを持ち込むに至った。

 セヴェラは3枚目の《集合した中隊》で反撃し、再び《異端の癒し手、リリアナ》と《エルフの幻想家》を繰り出した。しかし戦線にもう1体クリーチャーを加えたところで《衰滅》を受け、それらはゾンビとなって彼に牙を剥くことになる。一方の八十岡は2枚目の《ゲトの裏切り者、カリタス》を展開し、《ヴリンの神童、ジェイス》も盤面に加えた。

 だがセヴェラの取れる手はまだ潰えていない。新たに「変身」した《反抗する屍術師、リリアナ》がゾンビの群れに倒されたのは皮肉としか言えないが、それでも彼はなんとか盤面を持ち直しただけでなく、複数の《ズーラポートの殺し屋》を展開することに成功し、再びプレッシャーをかける側になった。

 《ズーラポートの殺し屋》は、瞬く間に八十岡のライフを残りひと桁まで削り取った。その後《衰滅》を受け八十岡の盤面には《束縛なきテレパス、ジェイス》が残ったものの、セヴェラの盤面にも《ナントゥーコの鞘虫》が残る。ライフは14対5でセヴェラ有利。そして《ウェストヴェイルの修道院》がトークンを生み出し始めると、クレリックたちがセヴェラに勝利をもたらしたのだった。

 このラウンドの制限時間はまだ12分残っていたが、両者は素早く最終ゲームを進めた。八十岡は《ヴリンの神童、ジェイス》を、セヴェラは《ズーラポートの殺し屋》を、互いに2ターン目に繰り出す。両プレイヤーは続けて《精神背信》を撃ち合い、八十岡は《龍王オジュタイ》を追放され、セヴェラは《ウルヴェンワルドの謎》を失った。

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この会場で最も恐るべきコントロール使いである八十岡は、「新たなスタンダード環境における『エスパー・ドラゴン』のマナ基盤」という謎を解いて見せたプレイヤーのひとりだ。

 両者はその後、セヴェラが《ナントゥーコの鞘虫》、八十岡が《龍王オジュタイ》と主力クリーチャーを展開した。ライフ・レースが始まったものの、すぐに大差がついた。八十岡の《ヴリンの神童、ジェイス》は《束縛なきテレパス、ジェイス》へ「変身」し、セヴェラの《ナントゥーコの鞘虫》は《究極の価格》を受け、セヴェラの不利が続いていく。

 《ウェストヴェイルの修道院》が多少の抵抗を見せたものの、《龍王オジュタイ》は容赦なくセヴェラを攻めたのだった。

八十岡 2-1 セヴェラ

「相性は微有利くらいだったと思うんだけど」 試合を振り返り、セヴェラはそう語った。「もっとうまくプレイしていたら、なんとかできたかも。数え切れないくらいミスをしたよ」

 《束縛なきテレパス、ジェイス》の能力でパワーが0になっているクリーチャーで攻撃したこと。《ズーラポートの殺し屋》2体を含めて3体のクリーチャーを《ナントゥーコの鞘虫》で生け贄にした際、奪えるライフは6点ではなく5点であることを八十岡に指摘されたこと。これらはまだ、ゲームを左右するようなミスではない。だが......

「《反抗する屍術師、リリアナ》の忠誠度を上げるんじゃなくて、墓地から3枚目の《ズーラポートの殺し屋》を戦場に出すべきだった」と、セヴェラはミスを反省する。「最後のゲームも、こっちが《究極の価格》を持っていることが相手に知られていて、《ヴリンの神童、ジェイス》の『変身』に対応して除去しようと意識しているのが筒抜けだったことをすっかり忘れていた」

 セヴェラの狙いはことごとく外れ、彼はこの日最初の敗北を喫することになった。一方、日本の殿堂顕彰者は、5戦全勝と記録を伸ばしたのだった。

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