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【戦略記事】 プロツアー『イクサラン』初日スタンダード・メタゲームブレイクダウン

【戦略記事】 プロツアー『イクサラン』初日スタンダード・メタゲームブレイクダウン

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Marc Calderaro / Tr. Tetsuya Yabuki

2017年11月3日

原文はこちら

 集計協力:コービン・ホスラー/Corbin Hosler。

 プロツアー『イクサラン』を迎えるにあたり誰もが知りたがっていたのは、「エネルギー」系のデッキがどれだけの勢力を持つかという点だろう。(「エネルギー」デッキを操るウィリアム・ジェンセン/William Jensenが制した)世界選手権2017の結果を受けて、どれだけの人数がジェンセンに続くのか。これが今大会の参加者たちの関心事だったはずだ。

 簡潔に言えば、「多い」。だが最大の関心事の答えだけでなく、他にも興味深いデータが集まった。まずは全体のアーキタイプとそれぞれの使用者数を見てみよう。

アーキタイプ使用者数使用率
ティムール・エネルギー10723.6%
ラムナプ・レッド8919.6%
4色エネルギー8919.6%
スゥルタイ・エネルギー235.1%
マルドゥ機体204.4%
黒赤アグロ204.4%
青黒コントロール163.5%
エスパー「王神の贈り物」122.6%
黒単アグロ102.2%
白青「副陽の接近」102.2%
アブザン・トークン71.5%
白単吸血鬼51.1%
エスパー・トークン51.1%
白青「王神の贈り物」71.5%
青黒「王神の贈り物」30.7%
4色トークン30.7%
白黒トークン20.4%
ジェスカイ「副陽の接近」20.4%
緑白アグロ20.4%
緑青「打撃体」20.4%
グリクシス・コントロール20.4%
バント「副陽の接近」20.4%
白青トークン20.4%
白青「サイクリング」10.2%
白青コントロール10.2%
白黒ミッドレンジ10.2%
ティムール「謎変化」10.2%
ティムール「打撃体」10.2%
スゥルタイ「打撃体」10.2%
スゥルタイ・コントロール10.2%
赤白「副陽の接近」10.2%
ジャンド・コントロール10.2%
緑白キャッツ10.2%
エスパー・テゼレット10.2%
エスパー「サイクリング」10.2%
エスパー「副陽の接近」10.2%
黒緑エネルギー10.2%

 注目すべきは、やはり「エネルギー」系のデッキだろう。はっきり言って「エネルギー祭り」だ。「ラムナプ・レッド」を除けば、上位は「エネルギー」系が占領しているのだ。「スゥルタイ・エネルギー」は「ティムール・エネルギー」や「4色エネルギー」と大きく異なる(どちらかと言えば旧環境の『巻きつき蛇』系のデッキに近い)ものの、《霊気との調和》、《牙長獣の仔》、《ならず者の精製屋》を搭載したデッキがおよそ50%を占める結果になった。

 ひと口に「ティムール・エネルギー」や「4色エネルギー」と言ってもさまざまな形があり、細かい構築は千差万別だが、「エネルギー」系はいわば安定の選択だったと言えるだろう。

 とはいえ、それは完璧というわけではない。ひとつのアーキタイプがメタゲームの17%以上を占めたことは直近5年間で10回あったが、その最大勢力が優勝できたのはわずか2回(プロツアー『霊気紛争』での「マルドゥ機体」とプロツアー『破滅の刻』での「ラムナプ・レッド」)だ。今大会で圧倒的な勢力を築いた「ティムール・エネルギー」や「4色エネルギー」だが、プロツアー優勝まで約束されたわけではないのだ。

 さらに言うなら、プロツアー『イニストラードを覆う影』では「バント・カンパニー」が会場の23%を占めながらも、トップ8には8つの異なるアーキタイプが姿を現した。近年で最も多様性にあふれた決勝ラウンドが実現したのだ! 数字の上で支配的であるのは事実だが、それはプロツアー特有のメタゲームである可能性もあるだろう。

 最大勢力の「エネルギー」系を除けば、スタンダードは驚くほど多様性に満ちている。ミッドレンジ系あり、(伝統的なものから《副陽の接近》を用いたものまで)さまざまなコントロール・デッキあり、(「ラムナプ・レッド」だけでなく)多種多様なアグロあり、「王神の贈り物」デッキあり......さらにそのどれもが、多彩な形を有しているのだ。

 次に、アーキタイプを大まかにまとめて『イクサラン』環境のメタゲーム分布をよりわかりやすくしてみよう。

アーキタイプ使用率
エネルギー系48.5%
アグロ系32.2%
「王神の贈り物」系4.8%
純コントロール系4.6%
トークン系4.2%
「副陽の接近」系3.5%
その他1.3%
「打撃体」系0.9%

注:「白単吸血鬼」は《オケチラの碑》を用いるものの、「トークン」系ではなく「アグロ」系に分類した。

 コントロール系のデッキ(純コントロールと「副陽の接近」)をひとつにまとめると、メタゲームの8%を超える。今大会では「エネルギー」系が圧倒的な勢力を誇ったものの、今後のメタゲーム上位候補は非常に多いと言えるだろう――さまざまなデッキに、今後のグランプリを制する可能性を感じられる。また明日、今度は2日目進出率を含めたデータを精査し、これらのデッキの活躍のほどを確かめよう。

 私たちとしては、黒系のアグロ・デッキの実力が未知数で楽しみだ。今大会で30人の使用者を集めたこのアーキタイプなら、「エネルギー」系同士の軍拡競争の中へ滑り込む余地がありそうだ。さながら、争い合う街のギャングを内側から崩壊させた『荒野の用心棒』のクリント・イーストウッド/Clint Eastwoodのように。(止められる前にもうひとつ。『用心棒』の三船敏郎のように。わかるかな?)大きな活躍を見せて以来、ここまでは「ラムナプ・レッド」がその役を演じてきたが、「エネルギー」側もこの砂漠を操る憎むべき相手との戦い方は学んできている。新しいアグロ・デッキなら、その警戒の目をかいくぐれる可能性があるのだ。

 上記のメタゲーム一覧からは、悪い知らせと良い知らせが読み取れる。悪い知らせは、今大会では多くのプロ・プレイヤーが冒険せず安定の「エネルギー」系を選択したこと。良い知らせは、多数派に与したくない人のためにも多くの対抗手段があるということだ。

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