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【観戦記事】 準々決勝:Guillaume Matignon(フランス) vs. Seth Manfield(アメリカ)

【観戦記事】 準々決勝:Guillaume Matignon(フランス) vs. Seth Manfield(アメリカ)

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Marc Calderaro / Tr. Tetsuya Yabuki

2017年11月5日

原文はこちら

ギョーム・マティノン/Guillaume Matignon(ジェスカイ「副陽の接近」) vs.セス・マンフィールド/Seth Manfield(スゥルタイ・エネルギー)

 フランス、ボルドー出身のギョーム・マティノンが再びプロツアー・トップ8のスポット・ライトの下に来たことを歓迎したい。世界選手権2010王者にしてプロツアー・サンファン2010の準優勝者であるマティノンにとって、スポット・ライトの下は慣れた舞台だ。しかし今大会の権利は、「Magic Online Championship Series」にて獲得した。彼は現在プロ・レベルを持たず、チームにも属していない。それでも「副陽の接近」デッキの中でも異色の「ジェスカイ『副陽の接近』」を操り、ドラフト・ラウンド全勝を果たし、彼はここまでやって来た。勢いは間違いなくある。だがさらに先へ進むには、厳しい相手との不利な戦いを乗り越えなければならない。テーブルを挟んで対面する相手は、世界ランキング11位のセス・マンフィールドだ。

 今から言っておこう――セス・マンフィールドはいつかプロツアー殿堂顕彰者になるだろう。それは来年のことではないかもしれないし、再来年のことでもないかもしれない。だがいつか、私たちは彼が積み上げ続けた戦績を見て「この男は記録に残さなければ」と口にする日がくるはずだ。この数年、彼はいたるところでその姿を見せ、当然の義務のようにグランプリを優勝し(実際そうだ)、プロツアーでトップ8に入賞し、世界王者になり......まるで世界最高のプレイヤーのような活躍ぶりだった(実際そうだ)。そして今、彼は2大会連続のプロツアー・トップ8入賞を果たし、その圧倒的な力をまた知らしめている。

 彼が所属するチーム「Genesis」は、今大会で「スゥルタイ・エネルギー」を選択した。しかし「エネルギー」の名は、このデッキに少々合わないかもしれない。「スゥルタイ・エネルギー」は、どちらかといえば旧環境の「黒緑『巻きつき蛇』」に近い動きを見せるのだ。それでも、《森の代言者》と《不屈の追跡者》を《牙長獣の仔》と《ならず者の精製屋》で補ったこのデッキは、エネルギーを存分に活かして戦う。

「他の『エネルギー』系よりアグレッシブに立ち回るから、《顕在的防御》が無駄になりにくい」とマンフィールドはこのデッキを評する。勝率を鑑みるに、その狙いは今大会に適していたようだ。それは、マティノンの「ジェスカイ『副陽の接近』」に対しても有効だ。

 《副陽の接近》による「コンボ」的な決め手を持つ重コントロール・デッキは、現環境の遅めのデッキに対しての相性は良いが、素早く地上戦を仕掛けてくる粘り強いデッキに対しての相性は非常に悪い。この試合が厳しい戦いになることは、マティノンも承知していた。「スゥルタイに対しての備えはしてこなかった――ティムールだけを意識していたよ」

 それでもマティノンは、周りの助けもない厳しい戦いを乗り越えてここまで来ている。彼ならこの戦いも制することができるかもしれない。

ゲーム1

 世界ランキング11位のセス・マンフィールドが先手を取り、理想的なスタートを切った。彼のデッキの強さを説明するスライドショーに載せられるほどの動きだ。ギョーム・マティノンは説明会の受講者となり、マンフィールドは与えるダメージのグラフをレーザー・ポインターで示した。マティノンはそれに頷くのみだった。

 マンフィールドは開幕から《霊気との調和》を唱えると、《牙長獣の仔》、《巻きつき蛇》と展開。トントン拍子にゲームは進む。《巻きつき蛇》のおかげで《牙長獣の仔》は1回の能力起動で4/4になり、そのままマティノンを襲った。マンフィールドは続くターン、戦線の2体で攻撃し、マティノンが放った《蓄霊稲妻》も《顕在的防御》で防いだ。(6/6になった《牙長獣の仔》と《顕在的防御》2枚で強化された《巻きつき蛇》による)この攻撃でマティノンは一挙12点ものダメージを受け、4ターン目にして残りライフは4点になった。

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マンフィールドのクリーチャーを除去すべく《蓄霊稲妻》を放つギョーム・マティノン

 マンフィールドはさらに《歩行バリスタ》を盤面に加え、説明会は幕を閉じた。彼はまるで授業をするように「スゥルタイ・エネルギー」の素晴らしさを示したのだった。

 次のゲームまでの間に、マティノンはSF小説を取り出して読み進めた。しおり代わりに挟んでいた《発熱の儀式》を取ると、読書に集中する。そして次のゲームの開始が告げられると、本をおいてカードを手に取り、一度頬を叩いて気合を入れ、シャッフルを始めた。

ゲーム2

 第2ゲーム、マティノンは大事な先手を得た。これで彼のコントロール・デッキは、マンフィールドの猛烈なスタートに対して1ターンでも多くの時間を使える。マティノンは2ターン目に繰り出された《牙長獣の仔》を《検閲》で止めたが、続けて2枚目が着地し、そこへ撃ち込んだ《蓄霊稲妻》も《顕在的防御》で弾かれた。とはいえ、それはマンフィールドのターン終了時のことだったため、+2/+2の修整は活かされなかった。

 マティノンは《暗記》で《牙長獣の仔》による攻勢を遅らせると、あらゆる手段を用いてライブラリーを掘り進めた。とにかく時間を稼いだ。そして7ターン目を迎えたとき、彼の残りライフは12点だった。悪くないが、しかし心許なさもある。

 マティノンは7枚目の土地を置いた――それは、彼のデッキが牙を剥くサインだ。そしてすべての土地をタップし、《副陽の接近》。これでライフは19点に回復した。《副陽の接近》はライブラリーの7枚目に置かれ、カウントダウンが始まった。7ターン目に7枚の土地、そして7枚目にある勝ち手段。トリプル7だ。

 マンフィールドは《巻きつき蛇》、《光袖会の収集者》、そしてプレイし直した《牙長獣の仔》で戦線を築いた。こちらも勝つためのツールは揃った。あとはそれらを間違いなく使うだけだ。彼は《光袖会の収集者》でドローを進めながら《牙長獣の仔》を6/6に育て、合計10点のダメージを与えた。戦闘後に《歩行バリスタ》も加え、次のターンに決着をつけることを示す。マンフィールドによる強烈なサーブが、マティノンのコートを襲ったのだ。

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マティノンを守勢に回らせ続けようとするセス・マンフィールド

 だがマティノンは素早くリターンを決めた。土地をほとんど立たせてターンを返したのだ。このターンに《蓄霊稲妻》を差し向けたマティノンだが、それは防がれた。しかし彼の手札には《残骸の漂着》が2枚あり、生き残るための道は明確だった。マンフィールドが1枚目をうまくかわしても、きっと2枚目が彼の不意を突くだろう。この盤面を一掃できれば、《副陽の接近》による勝利に届く。

 マンフィールドは戦闘前に2枚目の《歩行バリスタ》をプレイし、必要最低限の戦力で攻撃に向かった――待ち受けていたのは《残骸の漂着》。これで《牙長獣の仔》と《光袖会の収集者》が追放された。

 マティノンは2枚目の全体除去に望みをかけた。だがマンフィールドは1枚目を巧みにかわしたのと同様に、次も《歩行バリスタ》2体だけで攻撃し、《巻きつき蛇》は残した。次のターンにも致命打を放てる的確なプレイだった。

 2枚目の《残骸の漂着》が放たれると、マンフィールドは《歩行バリスタ》に置かれたすべての+1/+1カウンターを消費してマティノンのライフを残り2点まで追い詰めた。戦闘後に《ならず者の精製屋》を加え、マティノンに2体のクリーチャーの対処を迫る。そのためには除去呪文が2枚必要だが、そもそも彼の手札の枚数がそれに達していなかった。マンフィールドが2連勝で王手をかけた。

ゲーム3

 第3ゲームの主導権を握ったのはマティノンだった。マンフィールドの《光袖会の収集者》を《検閲》すると、2枚目の《光袖会の収集者》も《蓄霊稲妻》で対処する。マティノンは《遵法長、バラル》も着地させ、一気にコントロール力を上げた。サイドボードから投入された《遵法長、バラル》は、「エネルギー」系に対して有効だ――マティノンのドロー呪文や除去呪文のコストを軽くしてスピードを上げながら、パワー2のクリーチャーに対するブロッカーにもなれる。

 マティノンが握っている主導権が揺らぎかけたのは、彼が《牙長獣の仔》の能力起動に対応して《暗記》を放ったときだ。このときマンフィールドの手札には《否認》が2枚あり、彼はこの《暗記》を打ち消してダメージを通すこともできた。しかし彼は、長期戦を見据えて《暗記》を受けた――《否認》はもっと決定的な場面のために温存したのだ。

 しかしその狙いもむなしく、続くターン、マンフィールドがタップ・アウトした隙にマティノンは《明日からの引き寄せ》をX=4で放った。これで手札を補充したマティノンは万全の状態になった。

 クリーチャーを打ち消し、次はドロー呪文と動いていたマティノンだが、《遵法長、バラル》の助けもありついにドロー呪文を唱えつつクリーチャーも打ち消せるようになった。さらに《奔流の機械巨人》で呪文を再利用し......もう1枚《奔流の機械巨人》が続いた。

 《遵法長、バラル》が率いる、《奔流の機械巨人》2体の軍勢。マティノンは瞬く間にマンフィールドから投了を引き出したのだった。

 次のゲームまでの間、両者はもうひとつの準々決勝の様子を確認した。準決勝へ進出すれば、次に戦うことになる相手を見極めるために。

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もうひとつの準々決勝の様子を見るセス・マンフィールド(写真左)と、集中を研ぎ澄ますギョーム・マティノン

 この小休止では、マティノンは本を手に取らなかった。「今はこちらの世界にいなくては。物語の世界に行くときじゃない」

ゲーム4

 あと1勝のところで先ほどのゲームを落としたマンフィールドは、勢いを失っていた。この第4ゲームも盤面の構築に欠かせない2マナ域を着地させた彼だが、マティノンは《遵法長、バラル》で《巻きつき蛇》を食い止め、戦闘に参加させなかった。

 それでもマンフィールドは、数ターンかけて盤面と対戦相手のライフを一歩ずつ攻めていった。彼はクリーチャーをしつこく展開し続け、マティノンは先ほどのゲームより早いペースでそれらを対処していった。マンフィールドは《ならず者の精製屋》、《ピーマの改革派、リシュカー》、《貪る死肉あさり》と展開し(《巻きつき蛇》は除去されている)、毎ターン3点ずつダメージを蓄積していった。決して大きなダメージではないが、マティノンは流血を止められなかった。気づけば残りライフは9点になっており、ドローも土地のみだった。いたって平凡な攻勢も、今の彼にとっては最も苦しいものだった。

 そして続くターン、マンフィールドは《残骸の漂着》を意識してクリーチャーを1体残し、致命打を放った。だが《残骸の漂着》はなく、マティノンは《明日からの引き寄せ》をX=4で唱える。その4枚の中にこの状況を打開する手段があることを願ったマティノンだが、そこに除去呪文の姿はなかった。それでも、マンフィールドの安全を重視した攻撃のおかげでもう1、2ターンの猶予があった。

 マティノンは必死にライブラリーを掘り進めたが、このデッキは粘り強く続く攻撃に耐えられるよう作られてはいない。やがて彼は右手を伸ばし、セス・マンフィールドは硬い表情でその手を握ったのだった。

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セス・マンフィールド(写真左)の勝利を祝い、潔く右手を伸ばすギョーム・マティノン(同右)
世界ランキング11位のセス・マンフィールドがギョーム・マティノンを3勝1敗で下し、準決勝へ!

Guillaume Matignon - 「ジェスカイ副陽」
プロツアー『イクサラン』 / スタンダード (2017年11月3~5日)
6 《島》
4 《氷河の城砦》
4 《灌漑農地》
4 《尖塔断の運河》
4 《感動的な眺望所》
4 《霊気拠点》

-土地(26)-

2 《奔流の機械巨人》

-クリーチャー(2)-
4 《選択》
4 《検閲》
4 《蓄霊稲妻》
2 《アズカンタの探索》
1 《本質の散乱》
4 《不許可》
4 《天才の片鱗》
4 《残骸の漂着》
2 《副陽の接近》
1 《明日からの引き寄せ》
2 《暗記+記憶》

-呪文(32)-
3 《遵法長、バラル》
2 《奔流の機械巨人》
1 《蝗の神》
2 《ジェイスの敗北》
2 《否認》
1 《本質の散乱》
3 《焦熱の連続砲撃》
1 《明日からの引き寄せ》

-サイドボード(15)-
Seth Manfield - 「スゥルタイ・エネルギー」
プロツアー『イクサラン』 / スタンダード (2017年11月3~5日)
2 《沼》
4 《森》
1 《島》
4 《花盛りの湿地》
2 《異臭の池》
4 《植物の聖域》
4 《霊気拠点》

-土地(21)-

4 《光袖会の収集者》
4 《牙長獣の仔》
4 《巻きつき蛇》
3 《歩行バリスタ》
4 《ならず者の精製屋》
2 《ピーマの改革派、リシュカー》
3 《人質取り》
1 《スカラベの神》

-クリーチャー(25)-
4 《霊気との調和》
4 《顕在的防御》
4 《致命的な一押し》
2 《ヴラスカの侮辱》

-呪文(14)-
3 《貪る死肉あさり》
1 《スカラベの神》
3 《強迫》
2 《短命》
2 《否認》
1 《本質の散乱》
1 《人工物への興味》
2 《自然に仕える者、ニッサ》

-サイドボード(15)-

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