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決勝・スタンダードYu Min Yang(台湾) vs. Gabriel Nieves(プエルトリコ)

決勝・スタンダードYu Min Yang(台湾) vs. Gabriel Nieves(プエルトリコ)

Nate Price / Tr. Yusuke Yoshikawa

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 これまでの道のりは、最初のワールド・マジック・カップの始まりを告げるにふさわしく素晴らしいものだった。この週末の間ずっと、勝利してシードを得ることがいかに重要であるかをたびたびお伝えしてきた。どうやら、プエルトリコはずっと放送に映ってこなかったらしい。トップ8プレイオフを第8シードで始めると、準々決勝と準決勝を通じて丹念に戦い、第1ゲームをすべて後手で戦わなければならないという不利にもかかわらず対戦相手を倒してきた。彼らはこのトーナメントで活躍したダークホースの逆転劇のひとつであり、トーナメントを通しての出世は大本命レベルといえる。

 彼らの決勝での対戦相手は台湾だ。こちらもダークホースであるといえるだろう。2011年、サンフランシスコで行なわれた世界選手権、台湾チームは団体戦でいきなり4位に入り旋風を巻き起こした。この年のパフォーマンスを経て、彼らはダークホースレベルの評価を脱し、非常に強力なチームであることを明白にした。このチームのキャプテン、クオ・ツーチン/Tzu Ching Kuo は、私には理由が把握しがたいが、アジア太平洋地域以外では比較的名前が知られていないプレイヤーだ。プロ・レベルで長期に渡り、非常に安定した成績を残しているプレイヤーなのに、である。事実、3年前にプロツアー殿堂にノミネートされるほど、長くそして十分な活躍をしてきている。幸いなことに、今回の素晴らしいパフォーマンスにより、彼にまつわる謎はいくらか払拭され、台湾チームの強さがより高められるはずだ。

ゲーム1

 シード順位が高かったことにより、ヤン/Yangは先攻を選ぶが、ニエベス/Nievesが《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe(NPH)》でヤンの手札をのぞくというファーストアクションをとった。双方のプレイヤーが、公開されたカードをメモ書きする。2枚の《ファルケンラスの貴種/Falkenrath Aristocrat(DKA)》、《喉首狙い/Go for the Throat(MBS)》、《ゲラルフの伝書使/Geralf's Messenger(DKA)》と2枚の土地だ。続くターンにヤンが《煙霧吐き/Fume Spitter(SOM)》をプレイするが、これが今引きのカードであることは明白だ。しかしこの生物で攻撃する機会はやってこなかった。ニエベスが《ボーラスの占い師/Augur of Bolas(M13)》を戦場に送り、絶好の壁としたからだ。これは彼に《思案/Ponder(M12)》をもたらし、次のターンにキャストされた。一方のヤンは、《魂の洞窟/Cavern of Souls(AVR)》をプレイすると手札にあった《ゲラルフの伝書使/Geralf's Messenger(DKA)》を出現させ、ニエベスのライフを18とした。


プエルトリコのガブリエル・ニエベスは、対戦相手の行動について多くの情報を得た状態でゲームをスタートさせた。

 ヤンは続くターンに攻撃を開始した。3/2の《ゲラルフの伝書使/Geralf's Messenger(DKA)》が《ボーラスの占い師/Augur of Bolas(M13)》の脇を通り抜けて、ニエベスはライフ15。戦闘後に2体目の《ゲラルフの伝書使/Geralf's Messenger(DKA)》を加え、ヤンはライフ面で確かなリードを得るとともに盤上で非常に柔軟なポジションをとった。ニエベスは自らのターン、《ムーアランドの憑依地/Moorland Haunt(ISD)》を置くだけで何もプレイしない。彼は2枚の《思考掃き/Thought Scour(DKA)》を唱え、チャンプブロックの素になる2枚のクリーチャー・カードをこの時点で墓地に得た。ヤンの攻撃によりライフは10、さらに陰鬱した《硫黄の流弾/Brimstone Volley(ISD)》でライフ5に落ち、しかも2枚の《ゲラルフの伝書使/Geralf's Messenger(DKA)》が戦場に残っている状態だ。

 ニエベスは次のターンの大部分を長考に費やした。彼のライフは低く、ソンビのようなデッキに対してはいつか何かを引かれれば負けになる危険な状態にあった。彼は最終的に、《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets(ISD)》を出して4枚の土地を残した状態でターンを返した。ヤンは4枚目の土地を引き、これで《ファルケンラスの貴種/Falkenrath Aristocrat(DKA)》を出し始めることができるようになった。これはもともと不幸せなニエベスにとって実に残念なお知らせだ。1枚目が唱えられるのに対応して、ニエベスは2枚の《ゲラルフの伝書使/Geralf's Messenger(DKA)》の両方を《蒸気の絡みつき/Vapor Snag(NPH)》でヤンの手札に戻させた。《ファルケンラスの貴種/Falkenrath Aristocrat(DKA)》が解決されると、それと《煙霧吐き/Fume Spitter(SOM)》のみが彼のもとに残された。ヤンが攻撃に行くと、ニエベスは《ファルケンラスの貴種/Falkenrath Aristocrat(DKA)》を《はらわた撃ち/Gut Shot(NPH)》しようとして、ヤンにそれが破壊されないように《煙霧吐き/Fume Spitter(SOM)》を生け贄に捧げることを強いると、さらに2枚目の《はらわた撃ち/Gut Shot(NPH)》で対応し、これでライフは1となった。ヤンの戦線は一掃されたが、彼の手札には2枚の《ゲラルフの伝書使/Geralf's Messenger(DKA)》があり、戦場にはゾンビを宣言した《魂の洞窟/Cavern of Souls(AVR)》がある。ニエベスは次のカードをちらりと見ると、ゾンビによる不可避の虐殺劇を前に、投了を宣言した。

ヤン 1-0 ニエベス

 ゲームの間、台湾チームのプレイヤーは打ち合わせを行い、彼らに提供された注釈付きのデッキリストを参照しながら有効なサイドボード入れ替えについて議論していた。有意義な会話とちょっとした管巻きの結果、彼らは《ファルケンラスの貴種/Falkenrath Aristocrat(DKA)》の数を減らして、手札破壊によってコントロール力を高めることを狙うことにした。彼らがしたもうひとつのことは、ニエベスのサイドボードを予測することで、それに応じて彼らのプランを合わせていくことで一致した。

ゲーム2

 ニエベスは第2ゲームを、最初の土地を置く前の《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe(NPH)》で始めた。ヤンは《悲劇的な過ち/Tragic Slip(DKA)》、《ゲラルフの伝書使/Geralf's Messenger(DKA)》、《墓所這い/Gravecrawler(DKA)》、《煙霧吐き/Fume Spitter(SOM)》、《虚無の呪文爆弾/Nihil Spellbomb(SOM)》と2枚の土地からなる手札をキープしていた。ヤンの手札を確認し終えると、ニエベスは《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets(ISD)》を出した。ヤンの手札に《悲劇的な過ち/Tragic Slip(DKA)》があると知っていることを考慮すれば奇妙に映るが、ヤンが《悲劇的な過ち/Tragic Slip(DKA)》を試みたところで明かされた《精神的つまづき/Mental Misstep(NPH)》がすべてを説明した。ニエベスはもう1枚の《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets(ISD)》を戦線に加えると、最初のもので攻撃し(それは変身しなかった)、ターンを返した。ヤンは続くターンに、それまでに引いたカードの1枚を明らかにした。それは《迫撃鞘/Mortarpod(MBS)》で、《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets(ISD)》のうち1枚を狙撃した。

 ニエベスの《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets(ISD)》はまたも変身できず、これはヤンの手札の《煙霧吐き/Fume Spitter(SOM)》を考えると非常に問題のある状況となった。ニエベスは単に1点で攻撃して、注意深く2マナを残しながらヤンにターンを返す。続くターンにヤンが《煙霧吐き/Fume Spitter(SOM)》を試みたところで、ニエベスはそれを《マナ漏出/Mana Leak(M12)》で阻んだ。それを経て、ヤンができたことは《虚無の呪文爆弾/Nihil Spellbomb(SOM)》を出してターンを返すことだけだった。彼は追加の土地を引けていなかった。

 ニエベスはこの優位を利して飛行アタッカーを得られればよかったのだが、《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets(ISD)》はまだ変身を拒んでいた。彼はまたも1点で攻撃し、ヤンはライフ17、それからもう1枚の《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets(ISD)》を出した。ヤンのターン、《虚無の呪文爆弾/Nihil Spellbomb(SOM)》を起動してカードを引こうとするが、ニエベスは対応して《ムーアランドの憑依地/Moorland Haunt(ISD)》を起動してスピリットを生み出した。ヤンはここで3枚目の土地を引き当て、《墓所這い/Gravecrawler(DKA)》と2枚目の《煙霧吐き/Fume Spitter(SOM)》をキャストし、これを使ってニエベスの《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets(ISD)》を1体に減らした。

 ニエベスはここで幸運を引き当て、ついに《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets(ISD)》を《昆虫の逸脱者/Insectile Aberration(ISD)》に変身させた。これで4点で攻撃でき、ヤンをライフ13に落とした。しかし不運なことに、ヤンは《硫黄の流弾/Brimstone Volley(ISD)》を持っており、《昆虫の逸脱者/Insectile Aberration(ISD)》は1度しか攻撃できなかった。ニエベスは《ムーアランドの憑依地/Moorland Haunt(ISD)》を使って2枚目のスピリット・トークンを得るのみで、より大きい戦力を得られないままでは戦況は悪くなりつつある。ヤンは《迫撃鞘/Mortarpod(MBS)》と《墓所這い/Gravecrawler(DKA)》を持っており、彼が望めば数ターンのうちにスピリットをマシンガンで効果的に一掃できる状態にあった。彼は《血の芸術家/Blood Artist(AVR)》と2枚目の《墓所這い/Gravecrawler(DKA)》を加え、マシンはついに組み立てられた。

 ニエベスはまだ戦意喪失はしておらず、航空戦力として3体のスピリットを送り出してヤンをライフ8に落とした。戦闘後、ニエベスは《忘却の輪/Oblivion Ring(M13)》を出し、《迫撃鞘/Mortarpod(MBS)》をその下に封じ込めた。ヤンは《墓所這い/Gravecrawler(DKA)》で攻撃し返すことでニエベスのライフを8とし、さらに《ゲラルフの伝書使/Geralf's Messenger(DKA)》で6とするが、《天界の粛清/Celestial Purge(M12)》によりそれ以上のダメージは食い止められた。ニエベスの手札はなく、すべては運命に委ねられた。

 トップデッキで舞い降りた《ボーラスの占い師/Augur of Bolas(M13)》が、彼に新たな生命の煌めきを与えた。《天界の粛清/Celestial Purge(M12)》だ。「なんてこった」台湾チーム全員が声を揃えて言った。「そういうこった」プエルトリコチームがみなニヤリと笑みを浮かべながら言う。ニエベスは3体のスピリットで攻撃し、ヤンはライフ5。すぐに《天界の粛清/Celestial Purge(M12)》を使うことはせず、ニエベスはそれを温存した。ヤンは続くターン、その格好の対象となる《ゲラルフの伝書使/Geralf's Messenger(DKA)》を出したが、これでニエベスのライフは4となり、通れば致命的となる攻撃で《血の芸術家/Blood Artist(AVR)》を《天界の粛清/Celestial Purge(M12)》することを強いた。ニエベスのライフは2だ。戦闘後、ヤンは《魂の洞窟/Cavern of Souls(AVR)》を出して《戦墓のグール/Diregraf Ghoul(ISD)》のキャストに使い、これで手札を使い切った。

 ユリシーズ・エヴェレット・マッギル(訳注:コメディ映画『オー、ブラザー!』の主人公)が言うように、ニエベスは窮地にいた。ブロック構築のマッチはすでに終わり、台湾チームが勝利していた。モダンのマッチは、このゲームが天王山にあるために一時中断していた。

 事ここに至って、ニエベスがこのゲームに勝たなければ、プエルトリコの奇跡の旅は終わってしまう。彼はスピリット1体のみで攻撃し、残りをブロッカーとして残さねばならなかった。ヤンはライフ4である。ニエベスはターンを返し、ヤンが最悪のプレイングをすることに賭けたも同然だった。ヤンはゆっくりと、その場でゲームを終わらせる何かを見つけようと、ライブラリトップのカードを見るが、《戦墓のグール/Diregraf Ghoul(ISD)》はそうした類のものではなかった。彼は手勢を攻撃に送り、その結果ニエベスのクリーチャーを全滅させ、うち1体はスピリットに換わった。盤面をさらなるクリーチャーで埋めると、ヤンはニエベスにゲームを委ねた。ライフは2、ニエベスはトップデッキしたカードをのぞき込む...。ヤンを狙撃した《はらわた撃ち/Gut Shot(NPH)》は、ニエベス自身のライフと、最初のワールド・マジック・カップのタイトルを、台湾チームにもたらしたのだった!


ヤン・ユウミンはゾンビたちを駆り、緊迫したゲーム2に勝利して、台湾のワールド・マジック・カップ優勝を確定させた。

ヤン 2-0 ニエベス

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Tzu Ching Kuo(台湾) vs. Jorge Iramain(プエルトリコ)

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