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【観戦記事】 決勝:栄光への回帰 フランス代表 vs. ハンガリー代表

【観戦記事】 決勝:栄光への回帰 フランス代表 vs. ハンガリー代表

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Josh Bennett / Tr. Tetsuya Yabuki

2013年8月4日

原文はこちら

フランス代表 vs. ハンガリー代表(チーム共同デッキ構築・スタンダード)

 すべてが、ここに集約される。ワールド・マジック・カップ2013優勝のタイトルを争うのは、ハンガリー代表とフランス代表だ。

 今年もハンガリー代表として参加するキャプテンのタマーシュ・ナジ/Tamas Nagyと、チームメイトのガボール・コチシュ/Gabor Kocsisにとって、この試合は起死回生の一発だ。両者とも過去3年間国を代表した大会に出場していて、昨年は準決勝にて、のちの優勝チーム、台湾代表を相手に涙を呑んだ。ナジはこのトップ8ラウンドの試合には参加せず、コーチとして見守ることに決めた。チームメイトと、そしてこれまでの練習を信じて。

 フランスもまた称賛の声には事欠かない。フランスは4人の殿堂顕彰者を輩出しており、再びキャプテンを務めるラファエル・レヴィ/Raphael Levyもそのうちのひとりだ。彼らの長く、物語に満ちた歴史の中でも、持ち帰れていないトロフィーがひとつだけある――それは「世界最強チーム」の称号だ。トップ8ラウンドではアドバイザー役を務めるステファン・スブリエ/Stephane Soubrierも、昨年の代表チームから再び戻ってきた選手だ。この週末、彼らの成績はすでに昨年のトップ16という悔しい結果を消し去っている。今、栄光の前にあるのはただひとつの試合だけである。


フランス代表にとって、ここでの勝利はフランスのマジックの歴史上唯一取り残したタイトルを受け取ることを意味する。ハンガリー代表にとっては、2012年の準決勝での敗戦を取り戻す勝利だ。

ヤン・グットマン/Yann Guthmann(青白赤コントロール) vs. ガボール・コチシュ(セレズニア・アグロ)

 グットマンはマリガンを強いられ、コチシュが1ターン目《東屋のエルフ》から《絡み根の霊》、《復活の声》と繋がると、早くも不利な形勢となった。グットマンのドローは思わしくなく、間もなくしてコチシュが第1ゲームを取った。

 第2ゲームでも、コチシュは序盤からグットマンにプレッシャーを与えた。2ターン目《復活の声》を通すと、《絡み根の霊》を続かせようとした。グットマンは悩み苦しみ、チームメイトのステファン・スブリエに相談を持ちかけた。グットマンは苦渋の決断で《絡み根の霊》に《雲散霧消》し、コチシュにトークンを与えた。4ターン目はメインで《修復の天使》を出さなければならず、コチシュが《荘厳な大天使》を召喚して彼のエレメンタルが6点のダメージを叩き出すと、グットマンは顔をしかめた。彼は《終末》か《至高の評決》をくれ、と心の中でデッキに祈ったが、どちらもその姿を見せなかった。コチシュの軍勢は膨らみ続け、グットマンはたちまち圧倒されてしまった。

 私はこのマッチアップについてコチシュに聞いてみた。

「うん、かなり有利なマッチアップだったと思う。《ロクソドンの強打者》もいたし、《復活の声》もあるし、《ワームの到来》もメインから3枚あったからね。実はグットマンとは昨日戦って負けてるんだ。サイドボードの選択を間違えて、彼の勝ち手段が《ルーン唱えの長槍》だからって《安らかなる眠り》をサイドインしたんだ。こいつを2ターン目に出してから気づいたよ。こっちの《復活の声》と《絡み根の霊》もダメにするんだってことに」

 また、チームの勝利へ向けて1試合を勝ち取った今の気持ちも尋ねた。


ハンガリー代表が1勝を収める。

「もちろん最高だよ。実際、僕が自分の試合に勝つことが鍵だったから。チームメイトのふたりには、それぞれ青白赤にジャンドと、最高のデッキを使ってもらってる。僕がこのデッキを使うって主張してきたんだ。みんなは赤単を使って欲しかったみたいだけど、緑白を推した。ここまで全然勝ててなかったけど、みんなには『まあ任せてよ、決勝で勝つからさ』って言ってたから、それが実現できて本当に嬉しい」

ラファエル・レヴィ(緑単) vs. エルヴィン・ホッス/Ervin Hosszu(青白赤コントロール)

 レヴィの出足が遅く、それはホッスには喜ばしいことだった。嬉しくないことが起きたのは4ターン目、レヴィはタップ・アウトから《情け知らずのガラク》を呼び出し、ホッスはそのとき打ち消し呪文を持っていなかった。ホッスが好ましくないドローに苦しむ中、レヴィは2/2の狼の軍勢を増やしていった。その流れを止めることができず、ホッスは第2ゲームへ向けてデッキのシャッフルを始めた。

 第2ゲームは流れが変わった。序盤の小競り合いの後、今度はホッスが切り札を出すチャンスを得たのだ。5マナで現れたのは《テューンの大天使》。続くターン、ホッスは《戦導者のらせん》でクリーチャーを除去し、《テューンの大天使》は4/5に、その後の攻撃で5/6になった。レヴィに残された唯一の希望は、《捕食》と大型クリーチャーを引き込み格闘させることだったが、そのための時間は与えられなかった。2ターン後、ゲームは幕を閉じた。

 すべてを賭けた最終ゲーム、ホッスはキープし難い7枚を引き、それらをデッキに戻した。6枚になってもほとんど改善が見られない。5枚でキープしたホッスは、それでも諦めずベストを尽くした。《火柱》2枚で《エルフの大ドルイド》を連続で取り除くと、レヴィの攻撃は4体の1/1クリーチャーだけに留まった。

 しかし、1点とはいえダメージはダメージで、マナに困る対戦相手を後目に着々と積み重なっていった。やがてホッスは土地を引き始め、《修復の天使》で待ち伏せた。ここでレヴィは《ウルフィーの銀心》を通した。ホッスが使える白マナはひとつだけで、《至高の評決》で持ちこたえるにはもう1マナ必要だった。運命は彼に味方をしなかった。ホッスが敗北を認めて手を差し出すと、この決勝は1勝1敗で並ぶことになった。

ティモシー・シモノ/Timothee Simonot(ジャンド) vs. アドリアン・コーブル/Adorjan Korbl(ジャンド)

 なんと、ジャンドのミラー・マッチ。マジックにおける、素手同士のストリート・ファイトだ。思い切り振りかぶったパンチに、さらに大きく振りかぶったパンチで返す喧嘩が、毎ターンドロー・ステップごとに起こる。

 第1ゲームの序盤はコーブルが大きく優位を取った。シモノが手札に強力なスペルをいっぱいに抱えながら、土地が3枚で止まってしまったのだ。コーブルはそこに乗じて《ラクドスの復活》をX=4で放ち、シモノの手札を2枚にした。しかし、コーブルはややマナ・フラッド気味で、盤面の脅威も少なかった。シモノがようやく4枚目の土地を引き込み《オリヴィア・ヴォルダーレン》を召喚すると、これを反撃の糸口にした。しかしコーブルはその上をいった。アンタップとドローの後、彼も《オリヴィア・ヴォルダーレン》を繰り出す。その上で5マナが残っており、コーブルは相手の《オリヴィア・ヴォルダーレン》を奪い、新たなレジェンド・ルールに基づいてそれを墓地に送ったのだ。その後シモノのデッキは空振りを続け、コーブルが第1ゲームを取った。


今大会最後の戦いで第1ゲームを落としたティモシー・シモノは、国の仲間たちのため反撃を決意する。

 第2ゲームは、最初の数ターンが静かに進んでいった。コーブルが《紅蓮の達人チャンドラ》を呼び寄せると、シモノはそれに勝る《原初の狩人、ガラク》との契約を結んだ。コーブルにはそれを楽に倒す手段が無かった。《原初の狩人、ガラク》が生み出すビーストが《紅蓮の達人チャンドラ》を倒し、次はその牙をコーブルに向けた。彼のライフがみるみる減っていく。コーブルは《ラクドスの復活》をX=4で撃ちシモノの手札を空にするが、《原初の狩人、ガラク》の忠誠度は1残り、ビーストを生み出し続けた。

 コーブルのライフは7点まで落ち込んだ。アンタップ後ライブラリーの一番上のカードめくると――そこに現れたのは《忌むべき者のかがり火》だった! シモノはすべてを失った。コーブルも《地下世界の人脈》を2枚貼ったものの、そのコストとなるライフが心許なかった。それでもドローを繰り返すが、無情にもデッキが応えてくれない。多くのドローの中で使えるものは《漁る軟泥》1枚だけだった。《漁る軟泥》は墓地の掃除とライフの供給をしてくれたが、すぐに《戦慄掘り》を合わせられた。続く3枚のドローはすべて土地で、コーブルはそのままターンを返さざるを得なかった。シモノも《漁る軟泥》を引き、それを戦場に送った。コーブルのドローが再び良くなり、彼は《原初の狩人、ガラク》を引き込んだ。コーブルは《地下世界の人脈》からのドローはせず、先に《原初の狩人、ガラク》をプレイした。そのため彼は5マナしか残せず、その後引いた《忌むべき者のかがり火》で3/3の《漁る軟泥》を除去することができなかった。それでも、戦場にはブロックに入れるビーストがいる。次のドロー・ステップまで生き延びればいい。

 シモノはライブラリーの一番上のカードをずらし、覗き見た。


 フランス・チームが歓声を上げる。《ケッシグの狼の地》が《漁る軟泥》を後押しし、勝利への道をこじ開けたのだ!

 ここで、他の試合が終幕を迎えた。すべてがこの1ゲームに集約される。このゲームに勝ったチームが、ワールド・マジック・カップ・チャンピオンとして戴冠するのだ。両チームのメンバーが、両プレイヤーの座る椅子に集まった。

 両プレイヤーともデッキの核となる2ターン目《遥か見》を決めたが、コーブルは4枚目の土地を引き込めなかった。《漁る軟泥》を繰り出すものの、シモノの側には《高原の狩りの達人》と《スラーグ牙》が出揃い、状況は圧倒的に不利だ。コーブルが4枚目の土地を引き《高原の狩りの達人》をプレイすると、そこでシモノは凶悪な《ラクドスの復活》をX=4で突き刺した。コーブルはキャプテンのタマーシュ・ナジに相談し、《オリヴィア・ヴォルダーレン》を手札に残すことにした。アンタップ後土地を引くと、コーブルは手札を2枚とも展開した。

 なんと、シモノには《オリヴィア・ヴォルダーレン》への解答が無かった。コーブルは2ターン後には赤マナをしっかり含む6マナまで出せるようになり、《オリヴィア・ヴォルダーレン》の能力を3回使えるようになった。シモノはコーブルのライフを3点まで追い詰めたものの、手札は空で、2/2の狼2体しか残っていなかった。コーブルが攻勢に転じた。《オリヴィア・ヴォルダーレン》の攻撃で7点のダメージを与え、ターンを渡す。シモノも狼たちでやり返した。1体を《オリヴィア・ヴォルダーレン》にやられたが、これでコーブルのライフは1点になった。シモノは引いた《遥か見》を使い、ターンを返した。

 コーブルはアンタップ後、最後の狼を除去し、それから《オリヴィア・ヴォルダーレン》で攻撃した。ハンガリー代表の勝利まで、あと1ターンだ。

 シモノはデッキ・トップを軽く叩いた。決勝の舞台にいる両チーム6名のチームメイトたちが近くに寄る。ハンガリー代表のひとりが、ライブラリーの一番上のカードをめくってくれ、と声をかけた。

 シモノはカードを伏せたまま自分の前に持っていき、彼のチームメイトに見えるようにそれを掲げた。


にわかに、歓声が沸き起こる――

彼は、すべてに見せつけるように、カードを表にした。

 《ラクドスの復活》。

 観客から拍手と歓声が鳴り響いた。

 フランス代表 2-1 ハンガリー代表


おめでとう、ワールド・マジック・カップ2013の優勝はフランス代表だ!

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