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【観戦記事】 第4回戦:ブラジル代表 vs. デンマーク代表

【観戦記事】 第4回戦:ブラジル代表 vs. デンマーク代表

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Tobi Henke / Tr. Tetsuya Yabuki

2015年12月11日

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 デンマーク代表は、ディフェンディング・チャンピオンとして、そして優勝候補の一角として、今大会に挑んでいる。「国内王者」としてチームを率いるのは、プロツアー『タルキール龍紀伝』王者マーティン・ダン/Martin Dang。さらに昨年キャプテンを務めたマーティン・ミュラー/Martin Mullerもワールド・マジック・カップ予選を勝ち抜き、今年も再び国を代表して戦うことになった。同じく予選を勝ち抜いて代表入りしたクリストファー・ラーセン/Christoffer Larsenもグランプリ・トップ8入賞3回を記録しており、スポット・ライトを浴びることに慣れている。そしてチーム共同デッキ構築・スタンダード部門では脇を固めることになったダニエル・リンド/Daniel Lindも、頼りになるチームメイトだ。そんな彼らが今大会チーム・シールド部門を3戦全勝でここまで来ていることは、驚くほどのことではないのだろう。

 一方のブラジル代表は、今はまだ世に知られていなプレイヤー3人を擁する、どちらかと言えば「ダークホース」となるチームだ。しかしながら、そのキャプテンは他ならぬパウロ・ヴィター・ダモ・ダ・ロサ/Paulo Vitor Damo da Rosa。プロツアー優勝経験を持つ殿堂顕彰者にして、現在世界ランキング6位のダモ・ダ・ロサは、間違いなく今大会で最高の実績を持っているプレイヤーだろう。彼はまた、そのコネクションを用いて国境を超えた同盟を築き上げた。今大会に向けて、ブラジル代表はアメリカ代表、カナダ代表、そしてイタリア代表とともに練習を行い、ワールド・マジック・カップ史上最大の、そして最も恐るべきスーパー・チームを結成したのだった。

 多くのチームが、他のデッキと共通する部分がない「エルドラージ・ランプ」を用いるという無難な選択を行う中、このスーパー・チームはチーム共同デッキ構築・スタンダードという難解なパズルに独自の解法を見出した。ブラジル代表とその仲間たちは、プロツアー『アヴァシンの帰還』王者アレクサンダー・ヘイン/Alexander Hayne謹製の、「大変異」や瞬速を持つクリーチャー、そして《集合した中隊》に注目した「ティムール」デッキを選択したのだ。そこへ、主流の「エスパー・ドラゴン」と「アタルカ・レッド」を加えた編成だ。

 デンマーク代表もまた、「エルドラージ・ランプ」を回避。彼らは「白黒トークン」と「アタルカ・レッド」を組み合わせることで、もうひとつのデッキに惜しみなくカードを注ぎ込み、スタンダードで最も要求されるカードの多い「4色ラリー」の使用を実現した。このデッキは最近行われたグランプリ・ブリュッセル2015にて北欧のプレイヤーを3人トップ8へ送り込み、そのうちのひとりであったマーティン・ミュラーは、今大会で再びこのデッキを使えることに自信をのぞかせている。

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チーム共同デッキ構築・スタンダード部門第1回戦にて激突する、「巨獣」ブラジル代表と「ディフェンディング・チャンピオン」デンマーク代表

 ワールド・マジック・カップ独自の大会構成により、すでに3勝を収めている両チームは、ここで勝てば2日目進出がほぼ確実なものとなるだろう。

マーティン・ダン(白黒トークン)vs. ルーカス・エスペル・ベルソー/Lucas Esper Berthoud(アタルカ・レッド)

 ダンは《強迫》に《荒野の確保》2枚、残りは土地という手札をキープ。《強迫》により、筆者がテーブルの反対側に回ってエスペル・ベルソーの手札を確認する必要はなくなった。彼は《ケラル砦の修道院長》2枚に《乱撃斬》2枚、そして《強迫》によって捨てられた《ティムールの激闘》1枚、残りは土地という手札を公開する。

 しかし、エスペル・ベルソーの果敢クリーチャーたちは《強迫》では落とせない。エスペル・ベルソーが《ケラル砦の修道院長》を2体展開しそこへ《タイタンの力》と《ドラゴンの餌》が続くと、それだけでダンは厳しい状況に追い込まれた。《荒野の確保》もエスペル・ベルソーの猛攻に対しては焼け石に水。デッキもダンの想いに応えることはなく、この状況に対処する呪文は最後まで姿を見せなかった。

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プロツアー『タルキール龍紀伝』王者マーティン・ダンとルーカス・エスペル・ベルソーの1戦は、ダンが押され続ける展開となった。

 2ゲーム目に戦端を開いたのは、2ターン目に《白蘭の騎士》を繰り出したダンだった。一方のエスペル・ベルソーはゆっくりとした立ち上がり。しかし数ターン後、ダンと彼のトークン・デッキは、対戦相手の《ドラゴンの餌》と《軍族童の突発》によりすっかり面目を失っていた。

 ここで一瞬他の試合に気を取られ、再び戻ってみると、なんとダンとエスペル・ベルソーの両者はカードを片付けていた。一体何があったのか?「コンボが決まったんだよ」と、ダンは肩をすくめて「やれやれ」という表情を作っている。そのしぐさは、《強大化》と《ティムールの激闘》の凶悪コンボを喰らったことを物語っていた。

マーティン・ダン 0-2 ルーカス・エスペル・ベルソー

マーティン・ミュラー(先祖の結集)vs. レオナルド・デ・カストロ/Leonardo De Castro(ティムール「大変異」)

 この試合の序盤は、テンポをめぐるものとなった。先攻を取ったデ・カストロは《爪鳴らしの神秘家》から《死霧の猛禽》と展開。後手のミュラーも《エルフの幻想家》から《不気味な腸卜師》と追走する。ミュラーはドローを進めることを狙ってデ・カストロの《死霧の猛禽》を《エルフの幻想家》でチャンプ・ブロックするが、デ・カストロは《不気味な腸卜師》に《焦熱の衝動》を差し向け、ミュラーの目論見を防いだ。この時点では盤面にクリーチャーを失い2体のクリーチャーを相手にすることになったミュラーが厳しい状況に立たされていた。

 しかし、デ・カストロは序盤に得たボード・アドバンテージを活かすことができない。その後の展開が続かず、ミュラーに2枚目の《不気味な腸卜師》と《シディシの信者》の展開を許してしまう。ミュラーは続けて《集合した中隊》を唱え、《ナントゥーコの鞘虫》も手に入れ、間もなくして《ヴリンの神童、ジェイス》も《束縛なきテレパス、ジェイス》へと変身した。

 とはいえデ・カストロも手が尽きたわけではない。ターンの終わりに《跳ねる混成体》を繰り出すと《凶暴な拳刃》にも速攻をつけて攻撃に送り出し、ミュラーの意表を突いてプレインズウォーカーを退場させることに成功した。しかしミュラーの展開は止まらず、彼は様々な小型クリーチャーで戦線を固め、デ・カストロの攻撃をしばらくの間牽制した。ミュラーに足りないのは、マナだ。とりわけ5枚目の土地とふたつ目の白マナ源――彼の手札では、《先祖の結集》3枚がくすぶっていた。

 そしてついにその《先祖の結集》が唱えられると、《不気味な腸卜師》2体に《ナントゥーコの鞘虫》2体、《エルフの幻想家》2体、そして《シディシの信者》3体が一度に戦場へ戻ってきた。ミュラーはデ・カストロの脅威の大半を手札に戻しながら、10枚以上のカードを引き込んだ。あとは、お察しの通りだ。

 2ゲーム目、ミュラーは《エルフの幻想家》、《ズーラポートの殺し屋》と展開し、デ・カストロの繰り出した最初のクリーチャーも《肉袋の匪賊》で対処した。すると、このゲームはデ・カストロにとってさらに厳しいものになっていく。追撃とばかりに2枚目の《肉袋の匪賊》で2体目のクリーチャーを除去したミュラーに対して、デ・カストロの《集合した中隊》からは《荒野の後継者》が1体戦場に出ただけに留まった。

 普通なら、ゲーム序盤のビートダウンは「ティムール」側が行うはずだったのだが、デ・カストロが体勢を整える頃には、すでに彼のライフはひと桁まで落ち込んでいたのだった。

マーティン・ミュラー 2-0 レオナルド・デ・カストロ

 ほぼ一方的な展開になったことを受けて、私はこの特殊なマッチアップについて聞いてみることにした。「ティムール」は「先祖の結集」を倒せるのだろうか?「『ティムール』には打ち消しがいくつか入っている」と、試合後に教えてくれたのはパウロ・ヴィター・ダモ・ダ・ロサだ。「だから《先祖の結集》を撃たざるを得ない状況に追い込めれば、たぶん勝てると思う。とはいえ厳しいね。相性は良くないよ」

クリストファー・ラーセン(アタルカ・レッド)vs. パウロ・ヴィター・ダモ・ダ・ロサ(エスパー・ドラゴン)

 奇しくも、ダンとエスペル・ベルソーの試合と同様に、この試合も《強迫》から第1ゲームが始まった。ダモ・ダ・ロサはラーセンの手札から《ドラゴンの餌》を取り去り、残るは《ケラル砦の修道院長》と《乱撃斬》、そして《強大化》2枚と土地というものになった。

 ラーセンの盤面は、《ケラル砦の修道院長》のみという状況が延々と続いた――だが「延々と」と言っても、そこまで長い時間はもたなかった。《忌呪の発動》でそれを退場させると、ダモ・ダ・ロサは15点ものライフを残して《龍王オジュタイ》での攻撃を始める。ラーセンは《強大化》2枚を手札に抱えたまま倒されたのだった。

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掛け値なしの「世界最高」を相手に戦うラーセン

 リベンジは速やかに行われた。1ターン目に《僧院の速槍》が飛び出すと、《カラデシュの火、チャンドラ》も4ターン目にプレインズウォーカーの灯を覚醒させたのだ。《アタルカの命令》も絡めた攻勢は瞬きひとつで見逃すほど速いものであり、他のふたつの試合と同時に見届けることは叶わなかった。

 このゲームの間にマーティン・ダンが試合を終え、彼はプレイを吟味すべくラーセンの隣に座った。3ゲーム目のマリガンの判断は簡単だった。《乱撃斬》、《ドラゴンの餌》、《カラデシュの火、チャンドラ》、《軍族童の突発》、《ケラル砦の修道院長》、そして《山》2枚――完璧だ!

 しかし練り上げたプランが崩されるのは世の常だ。ダモ・ダ・ロサは《ドラゴンの餌》を《シルムガルの嘲笑》で打ち消すと、早くも3ターン目に《黄金牙、タシグル》を展開した。この動きを前に、デンマーク・チームは気圧される。体勢を立て直すには、リスクを受け入れることが必要に思えた。ダンとラーセンは、3ターン目の動きを《軍族童の突発》から《カラデシュの火、チャンドラ》へ変更した。しかしこれは当然、(《龍王オジュタイ》を公開しながらの)《忌呪の発動》ですぐに除去された。

 ゲームは長期戦の様相を見せるようになった。ラーセンはなんとかクリーチャーを5体まで並べ、ダモ・ダ・ロサのライフを少しずつ削ることに成功していた。しかし大勢は変わらない。《僧院の速槍》に《タイタンの力》を使って《黄金牙、タシグル》を退場させようとすれば、ダモ・ダ・ロサは当たり前のように《究極の価格》でそれを防いだ。ラーセンが全軍で突撃し、ドラゴン・ボーナスを得た《忌呪の発動》に対応して《アタルカの命令》でライフ回復を防ぎつつさらにダメージを与えようとすれば、ダモ・ダ・ロサは当然《シルムガルの嘲笑》を差し向けた。

 やがて、《龍王オジュタイ》がブロックに入ったところを《強大化》で仕留めたラーセンだったが、2枚目の《龍王オジュタイ》がこの試合を制し、ブラジル代表を4戦全勝へと導いたのだった。

デンマーク代表 1-2 ブラジル代表

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