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【観戦記事】 ステージ1第3回戦:日本代表 vs. メキシコ代表

【観戦記事】 ステージ1第3回戦:日本代表 vs. メキシコ代表

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Tobi Henke / Tr. Tetsuya Yabuki

2015年12月12日

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 この日は3戦目にして、早くも32チームから16チームへと足切りが行われる。一体どういうことなのか、その秘密はワールド・マジック・カップの独特な大会構造にある。国際的なスポーツの大会形式に則り、ワールド・マジック・カップはふたつのステージに分けられてグループ・リーグが行われる。ここでは、初日7回戦の成績を元に4チームでひとつのグループが組まれる。そして各グループで総当りのリーグ戦が行われ、上位2チームがステージ2へと進出できるのだ。

 この記事で注目するグループは、ドイツ、日本、メキシコ、ギリシャの4チームによるものだ。このグループの中ではドイツと日本が初日の成績で上位にあり、戦績で並んだ場合有利な立場にある。そして4つのチームが戦いを繰り広げた結果、タイブレークで進出チームが決まるということがあり得る話になった。なんと2回戦を終えて、4チームすべてが1勝1敗で並び最終戦に臨むことになったのだ。

 つまり、それぞれのチームが置かれている状況は以下のようになる。ステージ2進出のために、ギリシャはドイツを倒し、メキシコは日本を倒す必要があり、ドイツと日本は引き分けでも次のステージへ進出できる。こうした状況の中で行われる第3回戦、ここでは今大会屈指の力を持つ日本代表と、挑戦者の立場となるメキシコ代表の一戦をお届けしよう。

 ブースターパック12個を用いて行われるチーム・シールドにて、日本代表は興味深いデッキを3つ作り上げた。トークンによるシナジーを抑えて巨大エルドラージに「収斂」をタッチした黒緑デッキを操るのは、殿堂顕彰者の津村 健志だ。それから青白の強力な飛行デッキを駆るのは、2012年マジック・プレイヤー選手権優勝をはじめ数多の戦績を誇り、現在世界ランキング16位に名を連ねる渡辺 雄也。そして《竜使いののけ者》に《果てしなきもの》、2枚の《とどろく雷鳴》を擁する赤緑の「上陸」デッキを手にするのは、プロツアー『戦乱のゼンディカー』準優勝の玉田 遼一だ。

 一方のメキシコ代表は、白青の飛行戦略に赤をタッチしたデッキに、アグレッシブな赤白デッキ、そして青黒「欠色」の3つを、ホセ・メンチャーカ/Jose Menchaca、マルセリーノ・フリーマン/ Marcelino Freeman、ラモン・ヴァスケス/Ramon Vazquezがそれぞれ駆使する。

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ステージ1の最終戦、次のステージへの進出をかけたこの戦いで、日本代表とメキシコ代表が対峙する。勝ったチームがステージ2へ進出するが、引き分けでも進出が決まる日本代表が有利な状況だ。

A席:津村 健志(黒緑)vs. ホセ・メンチャーカ(白青タッチ赤)

 津村は初動《生命湧きのドルイド》から《大カマキリ》というやや遅めの立ち上がり。メンチャーカはその隙に《グリフィンの急使》、《タジームの守護者》、《幽霊の歩哨》と強力な航空戦力を整えていく。その布陣を前には《大カマキリ》1体では物足りず、さらに《タジームの守護者》によって1体も止めることが叶わないのだった。

 2ゲーム目はかなり長引き、両陣営に巨大なエルドラージが出現することになった。メンチャーカの側には《不死のビヒモス》、津村の側には《破滅の伝導者》に続き《破滅の昇華者》が繰り出される。だがメンチャーカの飛行戦力は津村にプレッシャーをかけ続け、《氷の猛進》から《ハリマーの潮呼び》、そして再びの《氷の猛進》でこの試合は決着したのだった。

津村 健志 0-2 ホセ・メンチャーカ

B席:渡辺 雄也(世界ランキング16位/白青)vs. マルセリーノ・フリーマン(赤白)

 チームメイトと少々意見を交わし、渡辺は《島》4枚と白の呪文3枚という手札をキープ。《平地》を引くのに苦労することはなかったが、しかし、その後も《平地》と《島》を引き続けるのを止められない。《風乗りの巡回兵》や《回生の天使》がフリーマンのクリーチャーをしばらく押し留めたものの、それらも《ヴァラクートの捕食者》2枚を前に限界を迎えたのだった。

 しかし2ゲーム目と3ゲーム目は、渡辺が彼のデッキの動きを存分に見せつける展開になった。《城砦化した塁壁》が恐るべき《ヴァラクートの捕食者》の猛攻すらも抑え、《空中生成エルドラージ》から《グリフィンの急使》、《回生の天使》と飛行クリーチャーを続々と繰り出し、《ギデオンの叱責》や《乱動魔道士の計略》といったコンバット・トリックも駆使すると、渡辺は3ゲーム目に引き込んだ《隔離の場》を使うまでもなく勝利を手にしたのだった。

渡辺 雄也 2-1 マルセリーノ・フリーマン

C席:玉田 遼一(赤緑)vs. ラモン・ヴァスケス(青黒)

 これで戦績は互いに1勝1敗。すべては玉田とヴァスケスの一戦に委ねられた。1ゲーム目、玉田はダブル・マリガンを余儀なくされ、初手を5枚まで落とすことになった。これは特に、彼の操る《ヴァラクートの捕食者》と2枚の《マキンディの滑り駆け》にとって大きな痛手だった。なぜなら通常時の7枚に比べて土地切れを起こす確率が圧倒的に高く、攻撃的に動くことができないからだ。

 一方、ヴァスケスの「嚥下/昇華者」エンジンはフルスロットルで回った。《泥這い》、《威圧ドローン》、《霞の徘徊者》、そして《荒廃を招くもの》。玉田はX=4で唱えた《果てしなきもの》とX=5で唱えた《とどろく雷鳴》のおかげで一度はなんとか体勢を立て直したものの、最終的にはヴァスケスがゲームを奪っていった。

 2ゲーム目、玉田が繰り出した最初の2体は《完全無視》と《霞の徘徊者》に阻まれたものの、戦場に《カザンドゥへの撤退》に続けて《下生えの勇者》が加わると、《進化する未開地》が途方もない強さを発揮した。だが不運にも、ヴァスケスは《荒廃の一掴み》という完璧な解答を持っていて、ゲームの流れを掴んだ。

 だがここしかない、というタイミングで《とどろく雷鳴》が響く。一度に3体のクリーチャーをなぎ払った玉田は、ゲームの流れを取り返した。《謎めいた巡行者》に追い詰められていた玉田だが、ゲームが長引くと能力を起動するためのエサがなくなり、やがて戦闘でこれを討ち取ることに成功する。その後もエルドラージは繰り出され、一進一退の攻防が続くが、しかし《ヴァラクートの発動者》によってヴァスケスはじわじわとクリーチャーを焼き払われていく。

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熱戦のすえに最終ゲームまでもつれたこの試合は、ついに時間切れを迎え、日本が大きな有利を得た。

 時間的に猶予のないヴァスケスは捨て身の攻撃に出た。しかしそれは玉田の《多勢》に阻まれ、有効打を与えられない。まだ負けではないものの、ヴァスケスは残り時間を鑑みて第3ゲームへ移ることにした。

 ここにきて、両チームとも全員がこの卓に集まり、残る最後のゲームにアドバイスを送りながら見守る。特にメキシコ代表は相談の時間も短くしたのだが、ゲーム序盤から激しい1対1交換を行ったところで、時間切れ。

 延長ターンは、お互いに対戦相手の大型の脅威をチャンプ・ブロックするのみで過ぎていった――メキシコ代表は《板岩の槌》を装備した《領地のベイロス》を防ぎ、日本代表は能力で強化された《泥這い》をブロックした。そして互いのブロッカーが尽きるより先に、延長ターンが尽きたのだった。

日本代表 1-1 メキシコ代表

 この試合が引き分けに終わったことで、シード上位の日本代表はステージ2進出が確定。一方のメキシコ代表はタイブレークでの望みも絶たれ、今大会の敗退が確定したのだった。

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