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【観戦記事】 準決勝:オーストリア代表 vs. イタリア代表

【観戦記事】 準決勝:オーストリア代表 vs. イタリア代表

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Tobi Henke / Tr. Tetsuya Yabuki

2015年12月13日

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 タイ代表とフランス代表による準決勝が終結した今、名誉と賞金、ワールド・マジック・カップ優勝のタイトルとトロフィーをかけて戦うチームは残り3つになった。決勝へ進出したタイ代表、グランプリ・トップ8入賞6回を誇るヴァレンティン・マックル/Valentin Mackl率いるオーストリア代表、プロツアー『タルキール龍紀伝』トップ8入賞のマルコ・カミルッツィ/Marco Cammilluzziをキャプテンに据えたイタリア代表。

 準々決勝が終わるなり、オーストリア代表は次に当たるイタリア代表の研究を始め、各マッチアップに取り組んだ。研究結果は芳しくない。「バント『大変異』」を操るマックルは準々決勝でドラゴン型でない「エスパー」を打ち破ったが、アンドレア・メングッチ/Andrea Mengucciの「エスパー・ドラゴン」との戦いはまったく異なるものになることが判明したのだ。

 また同様に、セバスティアン・フィアラ=イビツ/Sebastian Fiala-Ibitzの「マルドゥ・ミッドレンジ」は、ウィリアム・プッチ/William Pizziの「ティムール『大変異』」に苦戦を強いられると予想された。「あのデッキ、大量にカード・アドバンテージを稼いでくるうえ、アグレッシブな戦いもできるんだ!」と、マックルは嘆く。

 また、オーストリア代表側で「エスパー・ドラゴン」を操るニコラス・エイグナー/Nikolaus Eignerも、イタリア代表キャプテン、マルコ・カミルッツィの駆る「アタルカ・レッド」との戦いに自信を持てていない。「準々決勝で当たった『赤緑上陸』よりもっと厳しいものになるだろうね。運次第かな」と、エイグナー。「相手が大きくつまずけばチャンスはある。つまり、どのゲームもダブル・マリガンとか。そうでもしなきゃ、有利に戦えるとは思えない」

 これにはマルコ・カミルッツィも同じ考えを持っていて、有利を感じていた。「このマッチアップはありがたいね。僕らがアメリカ代表やカナダ代表、ブラジル代表と練習したのはもう周知のことだと思うけれど(どのチームも『エスパー・ドラゴン』を採用している)、その練習のおかげでこのマッチアップがこっちに有利なのはよくわかっているよ」

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オーストリア代表とイタリア代表は、この戦いの相性差について同じ予想を立てている。だが、マジックはやってみないとわからない。果たして、オーストリア代表はその予想を打ち破ることができるだろうか?

A席:ヴァレンティン・マックル(バント『大変異』)vs. アンドレア・メングッチ(エスパー・ドラゴン)

 メングッチは、《シルムガルの嘲笑》2枚と土地5枚というリスクのある手札をキープ。それでも最初のドローで《ヴリンの神童、ジェイス》を引き込み、続けて《強迫》を手に入れる。《ヴリンの神童、ジェイス》は、すぐにマックルの《絹包み》に追放された。さらにマックルは《搭載歩行機械》でメングッチにプレッシャーをかけ、気づけば彼は3/3まで成長した《搭載歩行機械》に《巨森の予見者、ニッサ》、《死霧の猛禽》で盤面を固めていた。それらは《衰滅》で一掃されたものの、飛行機械・トークンが3体戦場に残り、そこへ《風番いのロック》がトークンを引き連れて加わった。メングッチは、その布陣を前に屈することになった。

 2ゲーム目、マックルは《見えざるものの熟達》を設置することに成功し、そこへ差し向けられた《完全なる終わり》も《軽蔑的な一撃》で防いだ。しかしあらゆるリソースが削がれうまく攻撃の地盤を固められないマックルを相手に、メングッチは《龍王オジュタイ》でライフ・レースに挑むことができた。序盤の《ヴリンの神童、ジェイス》に対抗するため(またメングッチが《僧院の導師》をサイド・インしてくるという不測の事態に備えて)必要だと思われた《絹包み》が、今はマックルの助けにならないまま3枚も手札に溜まっていた。

「先手なら《ドロモカの命令》でいいんだけれど」と、マックルは試合後に語っている。「後手なら、《絹包み》を持っておきたかった」

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チームメイトふたりに見守られながら戦うアンドレア・メングッチ

 3ゲーム目は2体の《始まりの木の管理人》が序盤からダメージを稼ぎ出したが、結果的にそれらは《究極の価格》を受けることになった。再び《見えざるものの熟達》が着地し盤面に残ったものの、メングッチは2ゲーム目と同様に強力な《龍王オジュタイ》を戦場に呼び出す。マックルは「予示」クリーチャーで攻撃に向かい、《風番いのロック》を繰り出した。だがメングッチはここで《命運の核心》を放ち、マックルはすべてのクリーチャーを失うことになった。

「今引いたのか?」マックルは黒のカードを指差して声を上げた。

「そりゃもちろん」とメングッチは嬉しそうだ。

「それ以外なら何でもよかったのに」とマックルは嘆いた。「《衰滅》でもよかった。よりによって《命運の核心》か」

 《龍王オジュタイ》の攻撃に、《龍王シルムガル》も加わった。だがマックルも「変異」と「予示」に加えて《精霊信者の賢人、ニッサ》から「アシャヤ」を繰り出し、盤面を立て直す。さらに《棲み家の防御者》の「大変異」して《死霧の猛禽》の能力も誘発させ、《見えざるものの熟達》でライフを4点回復。強烈な巻き返しを見せたマックルだったが、しかしあと3点届かず。龍王たちが空からゲームを奪っていったのだった。

ヴァレンティン・マックル 1-2 アンドレア・メングッチ

C席:ニコラス・エイグナー(エスパー・ドラゴン)vs. マルコ・カミルッツィ(アタルカ・レッド)

 ニコラス・エイグナーの初手は、《大草原の川》、《平地》、《島》、《時を越えた探索》、《龍王シルムガル》、《龍王オジュタイ》、《シルムガルの嘲笑》というもの。4人目のチーム・メンバーであるクリストフ・オーケンターラー/Christoph Aukenthalerと少々吟味したのちに、エイグナーはその7枚をライブラリーへ返した。「他のデッキとの対戦だったら余裕でキープだったんだけど」と、彼はマルコ・カミルッツィに向けて言った。

 だが、そういった細かい駆け引きは問題にならなかった。カミルッツィは《鐘突きのズルゴ》から《ケラル砦の修道院長》、《軍族童の突発》、《アタルカの命令》と立て続けに唱え、わずか4ターンで対戦相手を打ち倒した。これにはエイグナーも、ただ驚くのみだ。

「それは無理」と、エイグナー。「少なくとも1ゲーム目は対応できない」

 今度はカミルッツィがマリガンを喫し、土地1枚の手札をキープ。最初に繰り出したクリーチャーが《忌呪の発動》で対処されたカミルッツィは、《アラシンの僧侶》と《龍王オジュタイ》を前に肩を落とす。なんとか《強大化》を絡めて《龍王オジュタイ》を討ち取るものの、エイグナーはすぐに2体目をプレイ。盤面では6体のゴブリンが《アラシンの僧侶》2体と《龍王オジュタイ》を前に動けず、カミルッツィは手札も尽きている。必然、それは彼にとって望ましい結果に繋がらなかった。

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予想通り、あっという間に1ゲーム目を落としたニコラス・エイグナーだったが、その後ベストを尽くしてゲームを取り返す。

 両プレイヤーとも「エイグナー不利」と予想したこのマッチアップだが、どうやらエイグナーのデッキは、不利と言われて黙っているものではなかったようだ。彼は土地2枚と《時を越えた探索》、1枚挿しの《悪性の疫病》、そして《忌呪の発動》3枚という初手をキープ。続くドローで《究極の価格》と土地を引き込むと、一気にカミルッツィを仕留める手札が完成する。

 それでもカミルッツィはベストを尽くした。これ以上ないベストを。対戦相手がタップ・アウトで《龍王オジュタイ》を繰り出すと、彼は《鐘突きのズルゴ》を「疾駆」で送り出した。《アラシンの僧侶》がブロックに入ったが、そこへ《強大化》と《ティムールの激闘》を加えてエイグナーのライフを残り2点まで追い詰めた。エイグナーは《龍王オジュタイ》で反撃し、再び《鐘突きのズルゴ》が「疾駆」で襲いかかる。エイグナーが《忌呪の発動》を唱えたところに対応して、カミルッツィは致命打となる《乱撃斬》を放ったが、エイグナーは《払拭》を手に入れていた。エイグナーの強力な引きを考慮すれば、ここまで接戦になったのは驚くべきことだ。しかしカミルッツィはついに、すべての手立てを失ったのだった。

ニコラス・エイグナー 2-1 マルコ・カミルッツィ

B席:セバスティアン・フィアラ=イビツ(マルドゥ)vs. ウィリアム・プッチ(ティムール「大変異」)

 最初に繰り出されたのが3ターン目の《荒野の後継者》と、決してベスト・スタートとは言えない動きのプッチだったが、その後毎ターン、フィアラ=イビツをテンポ面で上回ることに成功する。最初に《跳ねる混成体》を繰り出すと、続けてもう1体、そして《集合した中隊》でもう1枚。何度か1対1交換を行ううちに、フィアラ=イビツのライフは危険域まで下がり、このゲームの終わりが近づいていた。プッチは2体のクリーチャーを残して、盤面を完全に失ったフィアラ=イビツにターンを渡す。フィアラ=イビツは《ピア・ナラーとキラン・ナラー》を唱えたが、プッチはそこへ《軽蔑的な一撃》を合わせ、それが決まり手となった。

 2ゲーム目は、まったく軸の違う戦いになった。立ち上がりも進行もゆっくりとしたこのゲームでは、カード・アドバンテージが勝負を分ける。フィアラ=イビツは、プッチが序盤に展開したクリーチャーを《コラガンの命令》、《はじける破滅》、《自傷疵》、そして2発目の《はじける破滅》と、次々に交換を取っていった。そして《見えざるものの熟達》から「予示」を繰り返し、盤面でプッチを圧倒する。だがプッチも瞬速クリーチャーと《光輝の炎》で粘りを見せ、白熱したゲームは長引いた。最後には《龍語りのサルカン》まで戦いに絡む総力戦は、両プレイヤーを最終戦に導いたのだった。

 最終ゲームは再び、テンポをめぐるものになった。先攻のプッチは2ターン目《爪鳴らしの神秘家》でゲームを始め、一方フィアラ=イビツは《遊牧民の前哨地》を2枚置くのみで、最初の呪文を唱えるのは3ターン目を待たなければならなかった。さらに《ケラル砦の修道院長》で見えたのはプレイできない《コラガンの命令》で、《ケラル砦の修道院長》を《焦熱の衝動》で除去したプッチはテンポ・アドバンテージ差を広げた。この時点ですでに、《爪鳴らしの神秘家》と《跳ねる混成体》、そして《伐採地の滝》が、フィアラ=イビツのライフを8点まで削っていた。

 フィアラ=イビツは《ピア・ナラーとキラン・ナラー》でゲームの流れを取り戻そうとするが、プッチは《棲み家の防御者》を表にして《焦熱の衝動》を墓地から回収すると、フィアラ=イビツの盤面に残るのは飛行機械・トークンのみとなった。《跳ねる混成体》がさらに3点のダメージを加え、その後《はじける破滅》を受けて退場。フィアラ=イビツは《棲み家の防御者》を防ぐブロッカーが出せず、残りライフを2点に落とす。そして、フィアラ=イビツが放った《精神背信》に対応して《龍爪のスーラク》が戦場へ飛び出すと、それが戦いの終わりを告げる一手となったのだった。

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決勝へ駒を進めたのは、イタリア代表だ
セバスティアン・フィアラ=イビツ 1-2 ウィリアム・プッチ
イタリア代表がオーストリア代表を2勝1敗で下し、決勝へ!

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