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【観戦記事】 ステージ2第2回戦:パナマ代表 vs. イタリア代表

【観戦記事】 ステージ2第2回戦:パナマ代表 vs. イタリア代表

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Tobi Henke / Tr. Tetsuya Yabuki

2016年11月19日

原文はこちら

 まったく異なるふたつのチームが、早くもトップ8入賞を決める戦いを引き起こした。パナマ代表とイタリア代表は両チームともステージ2第1回戦で勝利を収め、あとひとつ勝てば決勝ラウンド進出という状況にある。

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国の誇りを胸に対峙するセサル・セゴヴィア/Cesar Segovia(写真左)とマティア・リッツィ/Mattia Rizzi(同右)

 イタリア代表はこの戦いに、3人のプロ・プレイヤーを投入した。グランプリ・トップ8入賞3回のマティア・リッツィに、プロツアーとグランプリでそれぞれ1回ずつトップ8入賞を果たしているアレッサンドロ・ポルタロ/Alessandro Portaro、そしてプロツアー『イニストラードを覆う影』で決勝まで進み、現在世界ランキング21位にしてワールド・マジック・カップ前回大会を制したアンドレア・メングッチ/Andrea Mengucciだ。

 一方のパナマ代表も、高いレベルのマジックへの経験が浅いプレイヤーだけではない。キャプテンのサウル・アルヴァラード/Saul Alvaradoは、プロツアー出場11回、ワールド・マジック・カップ出場3回、グランプリ・トップ8入賞2回のベテランだ。しかしイタリア代表の実績と比較すると、この試合では格下だと見られても仕方がないだろう。

 この試合で激突するのは、セサル・セゴヴィアの「親和」デッキとマティア・リッツィの「感染」デッキ。マヌエル・スカーリ/Manuel Succariの革新的な「青赤『窯の悪鬼』」は、アレッサンドロ・ポルタロの「ランタン・コントロール」と対峙する。そしてアルヴァラードとメングッチによるキャプテン同士の戦いでは、「バント・エルドラージ」と「むかつき」が雌雄を決する。相性が明確な試合が揃うことになったが、メングッチいわく、「むかつき」はほぼすべてのデッキと有利に戦えるという。「『感染』だけは避けたいけどね」。

C席:サウル・アルヴァラード(バント・エルドラージ) vs. アンドレア・メングッチ(世界ランキング21位/むかつき)

 その言葉通り、この試合が最初に決着することになった。しかしそれでも、はじめからメングッチの思惑通りとはいかなかった。メングッチはしばらく2枚目の土地を引き込めず、さらに《血清の幻視》3枚と《手練》2枚を消費してもなお《むかつき》の姿を見つけられなかった。ただし、《睡蓮の花》や《天使の嗜み》、《ファイレクシアの非生》といった他のパーツは、3ゲームを通してしっかりと手に入った。

 アルヴァラードの方も、攻撃面にも妨害面にも完璧とは言えない動きだ。メングッチは《難題の予見者》を《否定の契約》で打ち消したのちに、《天使の嗜み》で敗北を回避するというプレイを見せる。そしてついに現れる《むかつき》。それが通り、メングッチはライブラリーをすべて手札に加えた。《呪文滑り》にも《殺戮の契約》を差し向けると、《稲妻の嵐》でゲームを決めた。

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サウル・アルヴァラードから素早く1ゲームを奪うアンドレア・メングッチ(写真右)とコーチ役のアレッサンドロ・カサメンティ(同左)。

 第2ゲームは高速の展開。アルヴァラードが《貴族の教主》を絡めて3ターン目に《現実を砕くもの》を繰り出し、メングッチのライフを早くも13点に落とす。メングッチに許された猶予はあと2ターン。それまでにコンボを成立させるか(可能性はある)、この状況を解決するか(期待できない)。このゲームでは《むかつき》を引き込んでおり、《睡蓮の花》も来るべきターンに備えている。しかしパズルの他のピースがまだ見つからない。次の攻撃で残りライフ7点。後がなくなったメングッチは、《大霊堂の戦利品》で《天使の嗜み》を探しにいった。ライブラリーの一番上を1枚ずつめくる。「1枚、2枚......」

 間に合った。彼は3枚目に《天使の嗜み》を引き込み、アルヴァラードは動き出したコンボを止めることができなかった。

アンドレア・メングッチが2連勝でサウル・アルヴァラードを下す。

A席:セサル・セゴヴィア(親和) vs. マティア・リッツィ(感染)

 第1ゲームは、リッツィの繰り出した《荒廃の工作員》をセゴヴィアが対処できずそのままゲームを落とした。第2ゲームの初手も土地3枚に《メムナイト》、《オパールのモックス》、《羽ばたき飛行機械》、《思考囲い》という怪しいもの。これは勝負あったか?

 しかしリッツィもクリーチャーに乏しい手札をキープし、《ぎらつかせのエルフ》を《思考囲い》によって失った。残る手札は強化呪文2枚と、《墨蛾の生息地》、《ペンデルヘイヴン》を含む土地4枚だ。セゴヴィアはその後すぐに攻勢に出られるカードを引き込むことはできなかったものの、リッツィの脅威に対する最高の解答である《ギラプールの霊気格子》を手に入れた。ゲームが終わるにはそれからしばらくかかったが、勝敗は2ターン目に決していたのだ。

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セサル・セゴヴィアとパナマ代表のコーチ役を務めるセルジオ・ボニーラ/Sergio Bonillaのタッグを前にしても臆せず戦うマティア・リッツィ。

 しかし最終ゲーム、勝負はあっけない結末を迎えた。リッツィは2度のマリガンのすえに《繁殖池》、《自然のままに》、《古きクローサの力》、《強大化》、《荒廃の工作員》という手札をキープ。占術で見たカードをライブラリーの底へ送ったが、その後4ターンにわたって土地も《貴族の教主》も、《ぎらつかせのエルフ》も引けなかった。ようやく《荒廃の工作員》を繰り出したとき、そこに待っていたのは《感電破》3連発によるゲームの決着だった。

セサル・セゴヴィアがマティア・リッツィを2勝1敗で下す。

B席:マヌエル・スカーリ(青赤「窯の悪鬼」) vs. アレッサンドロ・ポルタロ(ランタン・コントロール)

 そしてこのラウンドは、最も興味深いデッキ同士の対決に委ねられた......

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このラウンドの勝利チームを決定するのは、マヌエル・スカーリ(写真右)とアレッサンドロ・ポルタロ(写真左)の戦いだ!

 第1ゲームはポルタロが土地を引きすぎて手札を素早く消費できず、接戦となった。手札が消費できないことで、《窯の悪鬼》と《僧院の速槍》が《罠の橋》をすり抜けたのだ。《ティムールの激闘》によってパワー1のクリーチャーたちが10点ものダメージを与え、ポルタロのライフは残り5点。ようやく《罠の橋》が機能したものの、火力呪文で負ける可能性がある。しかしその状況を《発明博覧会》が打開した。そして《洞察のランタン》と《写本裁断機》、《グール呼びの鈴》の布陣が揃うと、ゲームは完全にロックされた。

 ゲームを完全にコントロールしたことを確信すると、ポルタロは「解答ある?」と尋ねた。スカーリは数ターンゲームを続け、この状況を脱する手立てがないことを確認したのだった。

 第2ゲームは珍しく、激しい交換の応酬が行われた。ポルタロは思うようにゲームのコントロールを進められなかったが、《コジレックの審問》や《集団的蛮行》、それから《突然の衰微》2枚でスカーリの攻勢の第一波を防いだ。そこからしばらくは両者とも実質的に手札がない状況が続いた――ポルタロは文字通りの意味で、スカーリの手札では《蒸気の絡みつき》が腐っていた。そしてポルタロは土地を引き続け、一方のスカーリは《騒乱の歓楽者》を引き込んだ。交換が繰り返される消耗戦では最高の切り札だった。

 ゲームは最終戦にもつれ込んだ。少なくとも繰り出すカードを見るに、ポルタロは再び通常のゲーム展開に戻った。ダブル・マリガンを喫して初手が5枚になったものの、その5枚は《アカデミーの廃墟》、《洞察のランタン》、《空僻地》、《オパールのモックス》、《罠の橋》と悪くないものだ。彼はさらに《溶接の壺》を引き込み、2ターン目にしてすべてのカードを展開し切った!

 一方のスカーリは初手に《破壊放題》を持っており、のちにポルタロにとって大きな脅威となることが予想された。しかしそれを使うときはすぐにやって来た。《洞察のランタン》が、ポルタロのライブラリーの一番上にある《コジレックの審問》を公開したのだ。まだチャンスを伺いたかったところだが、スカーリはやむなく「複製」1回で《破壊放題》を放ち、《溶接の壺》による再生の上から《罠の橋》を破壊した。ポルタロはターンを迎えると《アカデミーの廃墟》を起動し、《罠の橋》を設置し直した。

 続けてスカーリは《若き紅蓮術士》を繰り出し、トークンを生み出していく(現時点で攻撃はできない)。彼は《罠の橋》への対処手段を待った。ポルタロの方もまだお互いのドローをコントロールできる状況を作れておらず、いざというときに《洞察のランタン》を起動できるよう温存していた。しかしさらに厳しいことに、スカーリは《騒乱の歓楽者》を唱え、ポルタロはスカーリが引くカードを確認することはできてもそれを止めるすべはなかった。2枚目のドローが《ハーキルの召還術》であることを知り、背筋が凍った。

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チームメイトを助けるべくテーブルに集まる両チーム。

 両チームとも、このテーブルに集まりゲームの進め方を議論した。特にイタリア代表は瞬きすら忘れるほど集中していた。だが導き出したプレイは誤りだった。ポルタロは《古きものの活性》で土地ではなく《写本裁断機》を手に入れた。

 そのため《ハーキルの召還術》後に《罠の橋》を設置し直すことができなくなり......《空僻地》も墓地へ落ちた。スカーリの方も1回の攻撃で相手を倒せるまで《ハーキルの召還術》を待ちたいところだったが、ここでは2回の攻撃でゲームを終わらせることができたのだった。

マヌエル・スカーリがアレッサンドロ・ポルタロを2勝1敗で下す。

 イタリア代表キャプテンのメングッチはミスを認めた。しかしいずれにしても、《ハーキルの召還術》でゲームを決められていたと語る。一方のパナマ代表は喜びを噛み締め、サイドボーディングのミスを笑って話した。

「これを抜くのを忘れてた!」と、マヌエル・スカーリは2ゲーム目で引き込んだ《蒸気の絡みつき》を示す。するとチームメイトのサウル・アルヴァラードも「真実です。『除去から自分のクリーチャーを守りかった』とか言っとけばいいのに」と口元を上げたのだった。

パナマ代表がワールド・マジック・カップ2015優勝チームのイタリア代表を2勝1敗で破り、1ラウンドを残してトップ8入賞を確定!

パナマ A席 - 「親和」
ワールド・マジック・カップ2016 / モダン (2016年11月18~20日)
1 《山》
4 《空僻地》
4 《ダークスティールの城塞》
4 《ちらつき蛾の生息地》
4 《墨蛾の生息地》

-土地(17)-

4 《羽ばたき飛行機械》
3 《メムナイト》
4 《信号の邪魔者》
4 《電結の荒廃者》
4 《鋼の監視者》
4 《大霊堂のスカージ》
2 《刻まれた勇者》
2 《エーテリウムの達人》

-クリーチャー(27)-
4 《オパールのモックス》
4 《バネ葉の太鼓》
4 《感電破》
4 《頭蓋囲い》

-呪文(16)-
2 《刻まれた勇者》
1 《トーモッドの墓所》
2 《呪文貫き》
2 《思考囲い》
1 《大祖始の遺産》
2 《古えの遺恨》
1 《安らかなる眠り》
1 《鞭打ち炎》
2 《ギラプールの霊気格子》
1 《摩耗+損耗》

-サイドボード(15)-
パナマ B席 - 「青赤・窯の悪鬼」
ワールド・マジック・カップ2016 / モダン (2016年11月18~20日)
3 《島》
1 《山》
2 《蒸気孔》
4 《沸騰する小湖》
3 《霧深い雨林》
4 《尖塔断の運河》

-土地(17)-

4 《僧院の速槍》
4 《窯の悪鬼》
4 《氷の中の存在》
1 《騒乱の歓楽者》

-クリーチャー(13)-
4 《ギタクシア派の調査》
4 《変異原性の成長》
4 《稲妻》
4 《血清の幻視》
2 《手練》
1 《信仰無き物あさり》
1 《蒸気の絡みつき》
4 《魔力変》
4 《ティムールの激闘》
2 《使徒の祝福》

-呪文(30)-
2 《若き紅蓮術士》
1 《騒乱の歓楽者》
2 《払拭》
2 《破壊放題》
1 《蒸気の絡みつき》
1 《ハーキルの召還術》
2 《血染めの月》
4 《貪欲な罠》

-サイドボード(15)-
パナマ C席 - 「バント・エルドラージ」
ワールド・マジック・カップ2016 / モダン (2016年11月18~20日)
1 《森》
1 《平地》
1 《寺院の庭》
1 《繁殖池》
4 《吹きさらしの荒野》
3 《低木林地》
4 《ヤヴィマヤの沿岸》
4 《魂の洞窟》
4 《エルドラージの寺院》

-土地(23)-

4 《貴族の教主》
1 《極楽鳥》
2 《呪文滑り》
4 《変位エルドラージ》
3 《空中生成エルドラージ》
2 《作り変えるもの》
4 《難題の予見者》
4 《現実を砕くもの》
4 《希望を溺れさせるもの》

-クリーチャー(28)-
4 《古きものの活性》
4 《流刑への道》
1 《四肢切断》

-呪文(9)-
4 《墓掘りの檻》
3 《頑固な否認》
3 《石のような静寂》
1 《四肢切断》
1 《引き裂く突風》
3 《仕組まれた爆薬》

-サイドボード(15)-
イタリア A席 - 「感染」
ワールド・マジック・カップ2016 / モダン (2016年11月18~20日)
2 《森》
1 《ドライアドの東屋》
2 《繁殖池》
4 《吹きさらしの荒野》
4 《樹木茂る山麓》
1 《新緑の地下墓地》
2 《ペンデルヘイヴン》
4 《墨蛾の生息地》

-土地(20)-

4 《ぎらつかせのエルフ》
4 《貴族の教主》
4 《荒廃の工作員》

-クリーチャー(12)-
4 《ギタクシア派の調査》
4 《変異原性の成長》
4 《古きクローサの力》
2 《顕在的防御》
4 《巨森の蔦》
1 《ひずみの一撃》
1 《呪文貫き》
1 《よじれた映像》
2 《使徒の祝福》
1 《四肢切断》
4 《強大化》

-呪文(28)-
1 《ヴィリジアンの堕落者》
3 《自然のままに》
2 《呪文貫き》
2 《よじれた映像》
1 《払拭》
1 《ひずみの一撃》
2 《四肢切断》
3 《貪欲な罠》

-サイドボード(15)-
イタリア B席 - 「ランタン・コントロール」
ワールド・マジック・カップ2016 / モダン (2016年11月18~20日)
1 《沼》
4 《花盛りの湿地》
1 《黒割れの崖》
3 《燃え柳の木立ち》
4 《空僻地》
2 《発明博覧会》
1 《アカデミーの廃墟》
1 《幽霊街》

-土地(17)-

1 《呪文滑り》

-クリーチャー(1)-
4 《オパールのモックス》
4 《古きものの活性》
4 《洞察のランタン》
4 《写本裁断機》
4 《グール呼びの鈴》
4 《コジレックの審問》
3 《真髄の針》
2 《外科的摘出》
2 《思考囲い》
1 《黄鉄の呪文爆弾》
2 《突然の衰微》
2 《集団的蛮行》
1 《紅蓮地獄》
4 《罠の橋》
1 《世界のるつぼ》

-呪文(42)-
2 《呪文滑り》
2 《トーモッドの墓所》
2 《溶接の壺》
2 《自然の要求》
2 《外科的摘出》
2 《古えの遺恨》
1 《突然の衰微》
1 《魂の裏切りの夜》
1 《幽霊街》

-サイドボード(15)-
イタリア C席 - 「むかつき」
ワールド・マジック・カップ2016 / モダン (2016年11月18~20日)
1 《島》
4 《闇滑りの岸》
4 《金属海の沿岸》
4 《欺瞞の神殿》
2 《啓蒙の神殿》
1 《戦慄艦の浅瀬》
4 《宝石鉱山》

-土地(20)-

4 《猿人の指導霊》
1 《研究室の偏執狂》

-クリーチャー(5)-
4 《睡蓮の花》
3 《否定の契約》
4 《天使の嗜み》
4 《血清の幻視》
4 《手練》
3 《大霊堂の戦利品》
4 《五元のプリズム》
4 《ファイレクシアの非生》
1 《稲妻の嵐》
4 《むかつき》

-呪文(35)-
1 《殺戮の契約》
3 《暗黒》
2 《強迫》
2 《ハーキルの召還術》
4 《神聖の力線》
1 《摩耗+損耗》
1 《すべてを護るもの、母聖樹》
1 《戦慄艦の浅瀬》

-サイドボード(15)-

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