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【戦略記事】 「チーム共同デッキ構築スタンダード」メタゲーム・ブレイクダウン

【戦略記事】 「チーム共同デッキ構築スタンダード」メタゲーム・ブレイクダウン

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Frank Karsten / Tr. Tetsuya Yabuki

2017年12月1日

原文はこちら

 ワールド・マジック・カップ2017の大会初日となる本日は、最初の3回戦が『イクサラン』チーム・シールドで行われ、そして残りのラウンドは「チーム共同デッキ構築スタンダード」で行われる。そこで私は、コービン・ホスラー/Corbin Hoslerとともに219枚のデッキリストを分析した。まずはこのフォーマットの概要を説明しよう。

デッキ構築のルール

 チーム共同デッキ構築スタンダードでは、各チームともスタンダードのデッキを3つ構築し、それらを3人に振り分ける。

 ただし、構築には制限がある。基本土地を除いて、同名のカードはひとつのデッキにしか採用できないのだ。つまりひとつのデッキに《削剥》を採用すると、そのカードは他のデッキに採用できない。2枚ずつに分けることもできない。《削剥》を使用できるのは、チーム内でひとりだけなのだ。

「被り」をいかに回避するか

 チーム全体にかかる制限により、プレイヤーたちはカードの被りが最小限になるようデッキの構成を考えなければならない。《霊気との調和》を用いるデッキひとつと《熱烈の神ハゾレト》を駆使するデッキひとつという構成は可能だが、「ティムール・エネルギー」と「スゥルタイ・エネルギー」を両立させることはできないだろう。「ラムナプ・レッド」と「マルドゥ機体」も同様だ。

 そしてこの問題は、現行スタンダードに立つふたつの巨塔――「ティムール・エネルギー」と「ラムナプ・レッド」を組み合わせる際にも影響する。

 《削剥》や《反逆の先導者、チャンドラ》、そして《栄光をもたらすもの》は、「ティムール・エネルギー」と「ラムナプ・レッド」のどちらにも採用されている。メイン・デッキから4枚必須のカードではないものの、それぞれ重要な役割を持ったカードたちだ。《削剥》を採用できなければ《王神の贈り物》や《巻きつき蛇》への対処に困ることになり、《反逆の先導者、チャンドラ》を採用できなければ《燻蒸》を使うデッキとの相性が悪くなるだろう。そして《栄光をもたらすもの》は、「スゥルタイ・エネルギー」に対する最良のカードだ。さらに、《チャンドラの敗北》や《マグマのしぶき》といった優れたサイドボード候補も、「ティムール・エネルギー」と「ラムナプ・レッド」で取り合うことになる。

 このふたつのデッキを組み合わせることは可能だが、どちらも十全ではなくなる。それでもこのふたつを使う価値があると考えるチームもあれば、代わりのデッキ、例えば「ラムナプ・レッド」と「スゥルタイ・エネルギー」の組み合わせを模索するチームもあるだろう。

 それでは、チーム共同デッキ構築スタンダードの難題に対する各チームの回答を見ていこう。

メタゲーム分析

 以下に、2チーム以上が選択したデッキ構成の一覧を掲載する。どのチームもエネルギー系のデッキとアグロ系のデッキ、そして第3のデッキという構成をとったようだ。

エネルギー系アグロ系第3のデッキ使用チーム数
スゥルタイ・エネルギーラムナプ・レッド白青「王神の贈り物」9
スゥルタイ・エネルギーラムナプ・レッド白青「副陽の接近」9
スゥルタイ・エネルギーラムナプ・レッド白青サイクリング5
ティムール・エネルギーラムナプ・レッド白青「王神の贈り物」5
ティムール・エネルギーラムナプ・レッド白青「副陽の接近」4
4色エネルギーラムナプ・レッド白青サイクリング3
4色エネルギーラムナプ・レッド白青「王神の贈り物」3
4色エネルギーラムナプ・レッド白青「王神の贈り物」3
ティムール・エネルギーマルドゥ機体白青「王神の贈り物」3
ティムール・エネルギー黒単アグロ白青サイクリング3
ティムール・エネルギーラムナプ・レッドエスパー「副陽の接近」3
4色エネルギーラムナプ・レッド緑白アグロ2
ティムール・エネルギーマルドゥ機体白青「副陽の接近」2
ティムール・エネルギーラムナプ・レッド白青サイクリング2

注:今回のメタゲーム・ブレイクダウン記事においては、《光袖会の収集者》や《豪華の王、ゴンティ》を採用し《つむじ風の巨匠》と《蓄霊稲妻》のためだけに赤をタッチした形のデッキを「4色エネルギー」とした。《秘宝探究者、ヴラスカ》や《スカラベの神》のために黒をタッチした形はそれ以外の部分がティムール・エネルギーと同様のものであるため、「ティムール・エネルギー」に分類した。

 表を見るに、最も人気を集めたデッキ構成は「スゥルタイ・エネルギー」/「ラムナプ・レッド」/白青系のデッキというものだった。言い換えれば、多くのチームが赤のカードの被りを避けたという結果だ。青を用いるデッキがふたつあるため《否認》を取り合うことになるが、《呪文貫き》、《至高の意志》、《ジェイスの敗北》、《不許可》、《見張りによる消散》など、代用として機能するカードはいくつもある。

 「ラムナプ・レッド」と「ティムール・エネルギー」を両立させたチームは、鍵となる赤のカードを振り分ける必要があった。《削剥》は「ラムナプ・レッド」の方に搭載し、「ティムール・エネルギー」には《木端+微塵》や《人工物への興味》を採用するチームが多かった。《反逆の先導者、チャンドラ》については、「ティムール・エネルギー」に採用する場合は「ラムナプ・レッド」に《ヴァンスの爆破砲》を入れ、「ラムナプ・レッド」に採用する場合は「ティムール・エネルギー」に《生命の力、ニッサ》や《造命師の動物記》といったカードが採用されている。《栄光をもたらすもの》は基本的に「ティムール・エネルギー」に採用されているが、中にはこのカードを「ラムナプ・レッド」に与え、「ティムール・エネルギー」の使用者は《領事の旗艦、スカイソブリン》のようなカードを頼るチームもあった。

 赤のカードの被りは、「ティムール・エネルギー」と「マルドゥ機体」の組み合わせでも見受けられる。しかしこの構成の場合、例えば《削剥》を《致命的な一押し》や《俗物の放棄》と入れ替えるなど、「マルドゥ機体」側が黒や白のカードで代用しやすい。そしてマナ基盤の点においても、「マルドゥ機体」は《霊気拠点》なしでもそこまで苦労しない。《手付かずの領土》でも、1ターン目に《発明者の見習い》や《模範的な造り手》を唱えることができるのだ。

 詳細なデータとして、1チームのみが選択したデッキ構成も掲載しよう。

エネルギー系アグロ系第3のデッキ使用チーム数
4色コントロールラムナプ・レッドマルドゥ機体1
4色コントロールラムナプ・レッド白青「王神の贈り物」1
黒緑エネルギーラムナプ・レッド白青「王神の贈り物」1
黒単アグロラムナプ・レッド白青「王神の贈り物」1
青緑「打撃体」ラムナプ・レッドアブザン・トークン1
青緑「打撃体」ラムナプ・レッド青黒コントロール1
青緑「打撃体」ラムナプ・レッド白青サイクリング1
スゥルタイ・エネルギーラムナプ・レッドアブザン・トークン1
スゥルタイ・エネルギーラムナプ・レッド白青「王神の贈り物」1
スゥルタイ・エネルギー赤白機体白青「副陽の接近」1
ティムール・エネルギーデザート・レッド青黒コントロール1
ティムール・エネルギーデザート・レッド白青サイクリング1
ティムール・エネルギー緑白アグロアブザン・トークン1
ティムール・エネルギーマルドゥ機体白青モニュメント1
ティムール・エネルギーラムナプ・レッド黒単アグロ1
ティムール・エネルギーラムナプ・レッド青黒ミッドレンジ1
ティムール・エネルギーラムナプ・レッド白青「永遠」1
ティムール・エネルギー青黒「王神の贈り物」白青サイクリング1
ティムール・エネルギー青黒ミッドレンジ白青サイクリング1
スゥルタイ・リアニメイトラムナプ・レッド白青「王神の贈り物」1

 こちらには一風変わった構成が見受けられる。例えば「ラムナプ・レッド」と「マルドゥ機体」の両立だ。どちらか片方しか《熱烈の神ハゾレト》や《ボーマットの急使》を使えないのだから、決して簡単な道ではないだろう。

 また、「緑白アグロ」と「アブザン・トークン」の組み合わせにも驚かされる。《排斥》が被るものの、《イクサランの束縛》が代用カードとして機能しているようだ。そして「スゥルタイ・エネルギー」と「アブザン・トークン」が同居した構成も意外だ。これを選択したチームは、《致命的な一押し》と《強迫》を使用するプレイヤーを分けることでこの構成を実現させていた。

 「青黒『王神の贈り物』」や「青黒ミッドレンジ」を「アグロ系」と呼ぶのは少々無理があることは承知しているが、すべてのデッキ構成を同じ枠に収めて比較しようとすると最も近いものがここだった。

 それでは最後に、エネルギー系/アグロ系/第3のデッキをそれぞれ詳しく見ていこう。

エネルギー系

アーキタイプ使用チーム数
スゥルタイ・エネルギー26
ティムール・エネルギー22
4色エネルギー17
青緑「打撃体」3
4色コントロール2
黒緑エネルギー1
黒単アグロ1
スゥルタイ・リアニメイト1

 「エネルギー」は、現行スタンダードで最も強力なメカニズムのひとつだ。とりわけ「ティムール・エネルギー」、「スゥルタイ・エネルギー」、「4色エネルギー」(タッチ色が赤のもの)、「青緑『打撃体』」、「4色コントロール」(《奔流の機械巨人》と《天才の片鱗》を多く採用したもの)はすべて、このメカニズムを中心に構築されている。それぞれ動きは異なるものの、青緑の2色が中核となっている点が共通している。

 この表を見るに、ほぼすべてのチームが《霊気との調和》を使用しているようだ。このカードを使用していないのは73チーム中2チームのみであり、それらのチームは代わりに「黒単アグロ」や「スゥルタイ・リアニメイト」を選択している。だがこの2チームも《霊気拠点》を採用しているため(また「黒単アグロ」は《光袖会の収集者》も使用しているため)、ここでは「エネルギー系」に分類した。

アグロ系

アーキタイプ使用チーム数
ラムナプ・レッド58
マルドゥ機体6
黒単アグロ3
デザート・レッド2
緑白アグロ1
赤白機体1
青黒「王神の贈り物」1
青黒ミッドレンジ1

 《熱烈の神ハゾレト》は、赤を含むアグレッシブなデッキならどこにでも採用される、現行スタンダードで最も強力な脅威のひとつだ。このカードを中心にしたデッキは、「ラムナプ・レッド」と「マルドゥ機体」をはじめとしてさまざまなものが開発されている。

 特に「ラムナプ・レッド」は今大会で最も人気を集め、現行スタンダードにおけるアグロ・デッキの選択肢として最上の地位を確立したのだった。

第3のデッキ

アーキタイプ使用チーム数
白青「王神の贈り物」25
白青サイクリング17
白青「副陽の接近」16
アブザン・トークン3
エスパー「副陽の接近」3
青黒コントロール2
緑白アグロ2
青黒ミッドレンジ1
白青「永遠」1
白青モニュメント1
黒単アグロ1
マルドゥ機体1

 このカテゴリーには、他のカテゴリーでも見受けられるアーキタイプがいくつか含まれている。この表は、あくまで私が73チームそれぞれの構成の中で「第3のデッキ」と判断したものをまとめたものだ。

 表を見るに、第3のデッキでは《灌漑農地》と《氷河の城砦》を使えるものが人気を集めたようだ。だがひと口に「白青」と言っても、さまざまな形がある。

 中でも驚いたのは、ビッグネーム揃いのチームを含む17もの代表が「白青サイクリング」を選択したことだ。同じ色の「白青『副陽の接近』」や「白青『王神の贈り物』」も選択できるため、これはチーム共同デッキ構築の制限によるものではない。ただ純粋に、《ドレイクの安息地》や《見捨てられた石棺》を駆使するコントロール戦略が強い支持を得たのだ。今大会における「白青サイクリング」の復活によって、またひとつメタゲームは大きく動くことになった。チーム戦であれ個人戦であれ、スタンダード愛好家の皆さんにとっては朗報と言えるだろう。

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