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【観戦記事】 第6回戦:マレーシア代表 vs. ブラジル代表

【観戦記事】 第6回戦:マレーシア代表 vs. ブラジル代表

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Corbin Hosler / Tr. Tetsuya Yabuki

2017年12月1日

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 ブラジル代表は、今大会の優勝候補の一角と目されていた。殿堂顕彰者パウロ・ヴィター・ダモ・ダ・ロサ/Paulo Vitor Damo da Rosaに元世界王者カルロス・ロマオ/Carlos Romao、そしてプロツアー王者ルーカス・エスペル・ベルサウド/Lucas Esper Berthoudの3人で結成されたこのチームは、歴代のブラジル代表で最強との呼び声が高い。

 だが、しかし。このブラジル代表をもってしても立ち上がりから1勝3敗となり、後がない状況に追い込まれているのだから、マジックは面白い。

 ブラジル代表の苦戦には誰もが驚いたことだろう――何より、代表メンバーの3人自身が驚いているはずだ。それでも彼らは第5回戦でベラルーシ代表を下して望みをつなぐと、ここ第6回戦ではマレーシア代表との戦いに臨むこととなった。何とかして先へ進む道へ戻らなくてはならない。

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張り詰めた空気の中で行われる第6回戦。強力なメンバーを揃えたブラジル代表だが、すでに後がない状況へ追い込まれている。彼らはマレーシア代表と生き残りを懸けた戦いに臨む。

ゲーム展開

 A席で激突するのは、「白青サイクリング」を操るカルロス・ロマオと「ラムナプ・レッド」を駆るアドウィン・リム/Adwin Limだ。B席ではベルサウドがジョー・ソー/Joe Sohの「白青・副陽の接近」と当たり、C席ではダモ・ダ・ロサの「ティムール・エネルギー」とウィー・パン・ミン/Wee Pang Mingの「スゥルタイ・エネルギー」が戦いを繰り広げる。

 最初に決着したのはC席だった。マナが詰まったウィーは効果的に呪文を使えず、ダモ・ダ・ロサは電撃のごとき速さで2ゲームとも勝ち取り、チームに有利をもたらした。ブラジルが誇るスーパー・チームに落とし穴から抜け出せる希望を持たせるような、圧倒的な勝利だった。

 しかし不幸にもベルサウドとロマオが両者とも第1ゲームを失い、ブラジル代表はさらなる深みへ落ちていく。「あと1試合勝てば」という状況ながら、背後には大きな壁が迫っていた。

 ロマオはリムの攻勢を遅らせる《領事の権限》を序盤に貼ることができ、リムが持っていた2枚の《地揺すりのケンラ》を封じることに成功した。ロマオはさらに《秘法の管理者》を戦場に送り出し、リムがそれを対処するのにリソースを使い切ると、《燻蒸》で盤面を一掃し《見捨てられた石棺》を安全に設置することができた。これでロマオは墓地のサイクリングを持つカードを再利用できるようになり、余裕を持ってゲームを勝ち取る体勢を整えた。

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ロマオ(写真左)とベルサウド(同右)の間に座り、必要なときにアドバイスを送るダモ・ダ・ロサ。彼の後押しを受け、ふたりは突き進む。

 だがリムも負けていない。《削剥》で《見捨てられた石棺》を破壊すると、《熱烈の神ハゾレト》を戦場へ降り立たせた。ロマオは強力なアドバンテージ源を失い、ゲームの天秤は再びリムの側へ揺れ戻った。それでもロマオは続けて《ドレイクの安息地》を貼ると、サイクリングを繰り返しドレイクの群れを呼び出した。両者の勝ち星は並び、第3ゲームで雌雄を決することになった。

 一方、ベルサウドとソーの試合ではリソース差をめぐる戦いが繰り広げられていた。ソーは《遵法長、バラル》の能力で手札を整え、ベルサウドは《光袖会の収集者》で追加ドローを得ていく。そしてこの勝負は、ベルサウドが《スカラベの神》を着地させたことで決着した。《スカラベの神》は、ソーが《副陽の接近》を引き込む前にゲームを終わらせられるだけの脅威をベルサウドにもたらしたのだ。

 両者が第3ゲームへ向けてシャッフルしていたそのとき、ロマオは3枚目の土地を必死に探していた。《領事の権限》が時間を稼いでくれているものの、《暴れ回るフェロキドン》によって手札の一部を無駄にされ、クリーチャーの展開も止まらない。フラストレーションに苛まれながら3枚目の土地を求めてサイクリングを続けるロマオだが、それでも土地の姿が見えず、右手を差し出すことになった。彼はすぐに気持ちを切り替え、両チームの命運を分ける最後の戦いを見守る。

 ベルサウドとソーによる最終ゲームは、まさに最後にふさわしい素晴らしいものとなった。この一進一退の見事なゲームは、言葉を尽しても正しく表現できないほどだ。両者とも最高のプレイを見せ、両者が引き合う勝利の糸は限界を超えて張り詰めていた。

 ベルサウドは《帆凧の掠め盗り》と《巧射艦隊の追跡者》を駆使し、序盤に《アズカンタの探索》を貼り長期戦を見据えていたソーのリソースを削っていった。《巧射艦隊の追跡者》を構えつつ《帆凧の掠め盗り》による攻撃を続けるベルサウドだが、ついにそこへ《農場》が差し向けられる。ベルサウドは《潜水》でそれをかわそうとしたが、ソーは《ジェイスの敗北》でこの「カウンター合戦」を制し、《不許可》を取り戻すことに成功した。

 まだ《巧射艦隊の追跡者》に悩まされているソーは、ここで攻めのプレイを決断した。アップキープに《イプヌの細流》を起動して、《水没遺跡、アズカンタ》への「変身」を達成したのだ。大きな隙ができるリスキーな決断だが、《水没遺跡、アズカンタ》は長期戦を制する鍵となる。ソーは再びカウンターの撃ち合いに勝つと《燻蒸》を解決させ、ベルサウドのクリーチャーは一掃された。しかしそれは、ほんのひと時の安息に過ぎなかった。ベルサウドの盤面に《スカラベの神》が降り立った。

 観衆の視線と自国の希望を背に、ソーは手札から2枚目の《燻蒸》を放ち《スカラベの神》をベルサウドの手札へ戻した。再び繰り出されたところを《不許可》するつもりだったが、しかしその目論見は《帆凧の掠め盗り》によって破られた。ベルサウドは再び《スカラベの神》を唱え、ソーは《水没遺跡、アズカンタ》の能力で回答を見つけることを迫られた。そして彼は見事《検閲》を引き込み、タップ・アウト状態のベルサウドは《スカラベの神》が墓地へ落ちるのを見送ることになった。

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チームの生き残りを懸けてプレイするジョー・ソーを中心に、一丸となって戦うマレーシア代表。

 こうして盤面は落ち着き、勝敗はきわどい局面となっていた。ここでソーは《排斥》をトップ・デッキし、《帆凧の掠め盗り》を除去して《不許可》を取り戻した。ベルサウドが2枚目の《スカラベの神》を唱えるのに間に合ったのだ。ソーは《水没遺跡、アズカンタ》でライブラリーを掘り進め、ベルサウドは迎えたターンにこのゲーム4度目の《スカラベの神》。しかしソーも2枚目の《不許可》でこれに対処した。

 手立てを失ったベルサウドだが、まだゲームは終わっていない。彼は続けて《豪華の王、ゴンティ》を繰り出すと、ソーに《水没遺跡、アズカンタ》の起動を迫った。打ち消し呪文は《否認》しか見つからず《豪華の王、ゴンティ》を止めることはできなかったものの、ソーはここでゲームを決める《副陽の接近》を見つけ出した。だがまだゲームは決まらない。《豪華の王、ゴンティ》はソーのデッキから《排斥》を奪い取り、ベルサウドはそれを用いて《帆凧の掠め盗り》を取り戻すとソーの手札から《副陽の接近》を抜き去った。

 こうして再び、天秤はベルサウドの方へ傾いたように見えた。しかしソーは《水没遺跡、アズカンタ》でさらにライブラリーを掘り進めると(彼はこの試合中、少なくとも6回はこの能力を起動している)、《帆凧の掠め盗り》を《排斥》し、すぐさま取り戻した《副陽の接近》を放った。そして2ターン後、再び昇る太陽を止める手立てを見出だせなかったベルサウドは右手を伸ばし、望みをつないだマレーシア代表を祝福したのだった。

 ブラジル代表、まさかの初日敗退。ワールド・マジック・カップでは何が起こるかわからない、ということを証明する形になった。

マレーシア代表 2-1 ブラジル代表

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