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【観戦記事】 大一番:中国代表 vs. ウェールズ代表

【観戦記事】 大一番:中国代表 vs. ウェールズ代表

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Corbin Hosler / Tr. Tetsuya Yabuki

2017年12月2日

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 ワールド・マジック・カップ2017も2日目終盤を迎え、今大会多くの注目を集めた2チームがトップ8入賞を懸けた戦いに突入した。ここまで大きな活躍を見せてきた中国代表とウェールズ代表の両チームだが、同じくトップ8入賞を懸けて戦う他の代表チームと異なり歴戦のベテラン・プレイヤーはいない。それにも関わらず、彼らは間違いなく今大会を席巻してきた。

 ウェールズ代表は、彼らの国旗をもとにしたドラゴンのデザインの着ぐるみをまとい、多くの人の目を引いた。早々に2日目進出を決めると、彼らの衣装は「スピリット・アワード」を受賞するに至った――対戦相手たちは彼らの格好を甘く見て、敗れていったのだという。

 ここでトップ8入賞を争う中国代表は、きっと彼らのことを甘く見てくれないだろう。それでもウェールズ代表のフィリップ・グリフィス/Philip Griffiths、サム・ロルフ/Sam Rolph、アーロン・ボイハン/Aaron Boyhanのの3人は、プロツアーへの参加も合わせて5回ほどだというから驚きだ。

 一方の中国代表は、過去に世界選手権2009で団体戦優勝を果たしているものの、ワールド・マジック・カップではこれまで1度も2日目へ進出できていなかった。代表キャプテンのリウ・ユーチェン/Liu, Yuchenと中国王者のルー・チャオ/Lu, Chaoが手を組むのはこれで2度目。幾度となくあと少しのところで苦渋を味わってきた過去を乗り越え、彼らはここフランス・ニースの地へやって来た。ガオ・タン/Gao, Tanを加えた3人で、中国のマジックの歴史に新たな1ページを加えるために。

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中国代表もウェールズ代表も、ここまでの活躍を見せるとは思われていなかった。だが予選ラウンドを2試合残した現時点で、両チームはトップ8入賞まであと1勝のところに迫っている。

ゲーム展開

 ここまで感動の物語を演出してきた両チーム。大会前は期待されていなかったふたつの代表が今、あと一歩でトップ8に入賞する。1勝ずつ分け合った両チームの激戦は、リウとロルフによる最終ゲームまでもつれ、そしてそこで最も感動的なドラマが生まれた。

 ロルフの「青黒コントロール」に対して、リウが操るのは「ラムナプ・レッド」。伝統的にコントロール側にとって最悪のマッチアップだが、ロルフは細い勝ち筋をわたり切り、《奔流の機械巨人》からの《ヴラスカの侮辱》で第1ゲームを奪った。ロルフの残りライフも2点という接戦だった。

 しかし「ラムナプ・レッド」の先手で行われた第2ゲームは順当にリウが勝ち、両者の戦いは最終ゲームへ。チームメイトたちも集まり、勝負のゆくえを、そしてチームの運命を見守る。

 リウは序盤からロルフのライフを脅かしていったが、やがてロルフの除去呪文が盤面を制圧し始め、さらに《魔術遠眼鏡》で《反逆の先導者、チャンドラ》を封じられると、リウは厳しい状況に追い込まれた。それでも《陽焼けした砂漠》、《屍肉あさりの地》、《ラムナプの遺跡》と立て続けに砂漠が押し寄せ、ラルフのライフも残り5点まで落ち込んだ。勝ちの道は十分にある。

 ロルフが《奔流の機械巨人》を繰り出し《ヴラスカの侮辱》を対象に取ると、リウはそれに対応して《屍肉あさりの地》を起動してライフ回復を防いだ。だが《奔流の機械巨人》は強力なアタッカーとして戦場に降り立つ。そして攻撃に向かった《奔流の機械巨人》だが、その拳はすでに《魔術遠眼鏡》で封じられている《反逆の先導者、チャンドラ》へ向かった。

 その理由はすぐに明らかになった。ロルフは《徙家》で《魔術遠眼鏡》を手札へ戻し、再度設置すると《ラムナプの遺跡》を指定した。実に見事なプレイであり、それは彼に勝利をもたらすと思われた。しかしさらなる《陽焼けした砂漠》がロルフのライフを残り4点へと落とし、続けて《ピア・ナラー》がこの試合を決着させるべく現れた。《奔流の機械巨人》にできるのはブロックに回ることのみ。リウの飛行機械・トークンが、ロルフに次のドローで回答を引き込むことを迫る。

 最後のドローは《沼》だった。リウは少し間を置いて考え、それから飛行機械・トークンのパワーを強化した。数秒後、トップ8入賞の喜びが溢れた。

中国代表が劇的な勝利で、ワールド・マジック・カップ2017・トップ8進出。


 これまで2日目にも進出できてなかった中国代表にとって、望外の喜びだった。

「これまで一度も初日を突破できていなかったので、初日はプレッシャーがありました。ようやくそのプレッシャーから開放されて、今日はランチの時間までプレイできれば良いかと思っていたんです」 リウはそう言って、声を上げて笑った。「2日目ステージ1突破後も、もう少しプレイできると思っただけでした。こんなに勝てるなんて思っていなかった。中国で応援している人たちも、みんな本当に驚いていると思います」

 リウはプロツアーの舞台をよく知っているが、ここでの勝利によってチームメイトたちにもワールド・マジック・カップのトップ8入賞という成績以上のものがもたらされた。全員にプロツアーへの参加権利が授与され、特にガオは初めてのことだった。カメラのフラッシュに囲まれ実感が湧いてきたか、普段は表情をあまり変えない彼らもついに頬を緩めることになった。

「リウが僕らをプロツアーへ連れて行ってくれるってさ」と、喜びを分かち合う中、ルーが冗談めかして言った。「さすがキャプテン!」

中国 2-1 ウェールズ

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