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【観戦記事】 大一番:日本代表 vs. スロバキア代表

【観戦記事】 大一番:日本代表 vs. スロバキア代表

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Frank Karsten / Tr. Tetsuya Yabuki

2017年12月2日

原文はこちら

 日本代表とスロバキア代表の両チームは第2ステージの第1回戦で勝利し、ここで大一番を迎えた。この試合で勝利したチームはトップ8入賞が決まり、敗北した側は次のラウンドで勝ち残りを懸けた戦いに挑まなければならない。

 今大会を迎えるにあたり、日本代表には多くの注目が集まっていた。今回の3人の生涯獲得プロ・ポイント合計は、1195点という驚異的なものだ。その大半は渡辺 雄也、八十岡 翔太というふたりの殿堂顕彰者が稼ぎ出した数字だが、日本選手権王者の原根 健太もまた、短いキャリアながら69点のプロ・ポイントを獲得している。しかし不思議なことに、日本代表はこれまでのワールド・マジック・カップでマジック大国にふさわしい結果を残せていない。2日目に進出できたのもわずか1回なのだ。

 対照的に、スロバキア代表は2012年と2014年にトップ8入賞を果たし、ワールド・マジック・カップの歴史にその名を残してきた。どちらの年もイヴァン・フロック/Ivan Flochが代表チームにいるときのことであり、彼は今年も代表キャプテンとして今大会に参加している。「このイベントは僕に向いているのかも。毎年のように参加していますが、大好きなイベントですよ」

 フロックはワールド・マジック・カップに限らずさまざまなところで勝利を手にしているが(世界選手権2010団体戦優勝、グランプリ・リスボン2012優勝、プロツアー『マジック2015』優勝)、チームメイトのペテル・スノハ/Peter Snohaとオンドレイ・ケドロビッチ/Ondrej Kedrovicにとっては、今大会が始めての大舞台となる。

ゲーム展開

 八十岡 翔太とペテル・スノハの試合は超高速で進んだ。コントロール・マスターとして広く知られる八十岡が《ボーマットの急使》と《地揺すりのケンラ》を操る姿は新鮮だ。彼はアグレッシブに攻め立て、瞬く間にスノハのライフを残り2点まで追い詰めた。4ターン目に《王神の贈り物》を《復元》できなかったスノハは続くターンに《燻蒸》を放ったものの、八十岡はそれに対応して致命打となる《稲妻の一撃》を撃ち込んだのだった。

 その後行われたデッキチェックにて、スノハが両面カードを完全に不透明でないスリーブに入れて使用していたことがわかり、「区別できるカード」の違反により【ゲームの敗北】の懲罰が与えられた。こうしてこの試合は決着し、日本が1試合先取した。

 一方反対側のテーブルでは、八十岡の試合とよく似たマッチアップの戦いが逆の立場で繰り広げられていた。原根 健太の「白青『王神の贈り物』」と、オンドレイ・ケドロヴィクの「マルドゥ機体」の対戦だ。第1ゲーム・第2ゲームともに原根は思うような動きができず、《王神の贈り物》を戦場に出せないばかりか土地も止まっていた。ケドロヴィクは頼れるキャプテンからアドバイスを受けながら、原根に体勢を立て直す隙を与えなかった。《模範的な造り手》、《屑鉄場のたかり屋》、そして《キランの真意号》という容赦のない戦線を築くと、あっという間に勝負を決めたのだった。

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スロバキア代表のトップ8入賞は、イヴァン・フロックの手に託される。

 そしてすべては、中央席、ふたりの名手による「ティムール・エネルギー」同系戦に懸かることになった。スロバキア代表のイヴァン・フロックと日本代表の渡辺 雄也が雌雄を決する。

 第1ゲーム、フロックは《反逆の先導者、チャンドラ》を数ターン守ることに成功し、それがこのゲームを左右する鍵となった。渡辺は《反逆の先導者、チャンドラ》を退場させるために多くのリソースを消費し、フロックが続けて繰り出した《栄光をもたらすもの》への回答を用意できなかったのだ。

 第2ゲームは序盤からフロックが盤面の有利を取っていくが、やがて渡辺の盤面には《スカラベの神》が降り立った。フロックはこれを完全に退場させる手段を持っていなかったものの、《蓄霊稲妻》と《川の叱責》を駆使して乗り切った。彼は《川の叱責》をコストの重い《送還》として使い、自身の軍勢が渡辺へ致命打を与えられるだけのアドバンテージを生み出したのだった。

 渡辺が右手を伸ばし投了の意思を示すと、スノハが喜びを爆発させてフロックに抱きついた。フロックの顔にも、満面の笑みが浮かんだ。「これまで君には何度も負け続けて、たぶん初めて勝てました」と彼が渡辺に声をかけると、渡辺はフロックの勝利を祝うように頷いた。ここしかないという場面での、記念すべき勝利だった。

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日本代表はこれから、トップ8入賞を懸けた最後の戦いに挑む。トップ8入賞を確定させたスロバキア代表には、ひとときの休息が訪れた。

 そしてフロックはチームメイトの方を向く――「プロツアー出場おめでとう!」

 ペテル・スノハとオンドレイ・ケドロビッチにとって、今回のトップ8入賞で得たプロツアー参加権利が自身初のものだった。そしてスロバキアから新たにプロツアー出場者が現れるのは、大きな出来事だった。「ここ最近のプロツアーでは、スロバキア出身のプレイヤーは僕だけでしたから」とフロックは言う。「それが今度のプロツアーでは一気に4人になりました。このふたりの他に、もうひとり権利を獲得したプレイヤーがいます。小国のスロバキアにとって、これは快挙ですよ」

 最後にこの週末彼らが活躍できた秘訣を尋ねると、スノハとケドロビッチが声を揃えて「キャプテンのおかげです!」と答えた。

「いや、そんなことはまったくないです」とフロックは笑う。「ワールド・マジック・カップはチーム戦ですから――僕ひとりでは絶対に成し遂げられない」

「でもイヴァンのような最高のキャプテンの存在は大きいです」とスノハが続ける。「経験の浅い私にとっての最初のビッグ・イベントが、最高の体験になりました。本当にありがとう、イヴァン。そしてもちろんオンドレイも。たくさん勝ってくれてありがとう」

 確かに、成績の面でチームを引っ張ってきたのはイヴァン・フロックではなくオンドレイ・ケドロビッチだった。チーム戦の鍵は「全員が一丸となること」。スロバキア代表は、その精神を明日の戦いでも存分に活かしてくれるだろう。

日本 1-2 スロバキア

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