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(翻訳記事) 多様なメタゲームへの異なったアプローチ

(翻訳記事) 多様なメタゲームへの異なったアプローチ

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Steve Sadin / Translated by Kenji Tsumura


原文はこちら

 世界選手権2011は、歴代でも屈指の多様性を持つ現在のスタンダードフォーマットを表す良い見本となった。Rashad Millerの「スタンダード・メタゲームブレイクダウン」が示すように、使用者数が17%を超えるデッキは環境にひとつもなかったが、10%を超える数のプレイヤーによって使用されたデッキは5つあった。

 これはカバレージライターの私にとっては心躍る出来事で、これによって面白い試合を観る機会も、何かを学べる機会も増える。その一方で、世界選手権参加者にとっては、マジックオンライン上でプレイされている多くのデッキに成功する可能性があるということは、非常に困難な事実として立ちはだかった。

 これを念頭に置いた上で、私は、トップチームに所属するプレイヤーたちが、どのように初日のスタンダード6回戦(決勝ラウンドに残るともう3回戦)の準備をしてきたのかについて強い関心を抱き、彼らからより多くのことを学びたいと思った。

 もっとスタンダードの上位デッキについて知りたいのであれば、Mike Floresのスタンダード概観や、Brian David-MarshallとRich Hagonのビデオ解説記事、それにこれから明らかになっていく大会模様を隈なくチェックしてほしい。(訳注:いずれもリンク先は英語記事)

 もちろん、新王者誕生の瞬間もね。

Luis Scott-Vargas

「まず最初に、環境に存在しそうな全てのデッキを作った。「赤単」、「青黒コントロール」、「トークン」デッキ、「赤緑《ケッシグの狼の地/Kessig Wolf Run》」を筆頭に、他にもたくさん。それから、それぞれのプレイヤーがどのデッキを使いたいかという先入観を無視して、各マッチを行っていった。」


Luis Scott-Vargasと「ChannelFireball」のメンバーは、最終的にデッキを数個に絞るまでに、広範囲に渡るデッキリストを試した。

 各デッキを洗練するために、チーム「ChannelFireball」はデッキの数を絞る必要があった。

「ほとんど初期の段階で、俺たちはどのビッグマナ系統のデッキも使いたくないと分かっていた。そして約2日間ほど《禁忌の錬金術/Forbidden Alchemy》の入ったコントロールデッキを試したけど、それもダメだったね。俺たちはこの大会に向けて、コントロールデッキは十分な強さではないと考えたんだ。」

 選択肢を減らせるというのは有用で、これにより自身の使いたいデッキを急速に発展させることができるようになる。

 彼らが最初に作ったデッキの中に、「白単《鍛えられた鋼/Tempered Steel》」はなかったそうだが(なぜならこのデッキは、世界選手権前のどの大会でも活躍していなかったからだ)、プロツアー・フィラデルフィア準優勝者であるJosh Utter-Leytonは、このデッキが依然として強力なデッキだと主張した。


Josh Utter-Leytonは、世界選手権において「白単《鍛えられた鋼》」が良い選択だと感じていた。

 他の多くのチームが、調整を始める前から「白単《鍛えられた鋼/Tempered Steel》」の可能性について懐疑的だった一方で、「ChannelFireball」の面々は、このデッキがメタゲーム内のデッキを打ち負かす調整結果に驚いていた。そして、世界選手権直前の1週間の時間のほとんどを、このデッキのために費やした。

「時には、メタ外だと思われるものの中からデッキを選ぶ必要がある。僕たちはかなり早い段階で「白単《鍛えられた鋼/Tempered Steel》」の調整を始め、それに取り組み続けた。そして、最終的にはチームメンバー全員がこのデッキを使うにいたったんだ。」

Sam Black

 チーム「StarCityGamess」の中心人物であるSam Blackは、彼が非常に大きなチームで調整し続けたにも関わらず、各デッキの複雑な構図全てを理解することは不可能だったと初めに説明してくれた。


プロツアーフィラデルフィアトップ4のSam Blackは、
この週末でもトップ8に入賞することを望んでいる。

「モダンの調整もあったから、スタンダードに十分な時間を割くことはできなかったんだ。何か適当なデッキを使っては問題を見つけを繰り返し、考え方を変えたんだ。」

 他の多くのチームが、最高のデッキを見つけだそうと努力する間、Samと彼のチームメイトは、別の角度からこの問題に取り組むことを決めた。

「僕たちは現環境でどのカードがぶっ壊れているのかを追求し、それらを詰め込んだデッキを作り上げたんだ。」

 Samは《捨て身の狂乱/Desperate Ravings》でチームメイトの注意を引き付けたようだが、中でもPatrick Chapinはそのカードの虜になったそうだ。

「例えば君の手札がオールランドやオールスペルのような最悪の状況なら、《捨て身の狂乱/Desperate Ravings》はそれを改善するのにうってつけだ。逆にもしも君の手札がすでに十分に強いのなら、《捨て身の狂乱/Desperate Ravings》をキャストするのを待てばいいだけさ。」


Patrick Chapinは、《捨て身の狂乱/Desperate Ravings》で手札の質を改善できることに
大いに感銘を受けた。

 チーム「StarCityGamess」は、様々な《捨て身の狂乱/Desperate Ravings》入りデッキを試した。その中には攻撃的な「赤単」に《捨て身の狂乱/Desperate Ravings》をタッチして、「フラッシュバック」するためだけに《硫黄の滝/Sulfur Falls》4枚を入れたようなデッキもあったという。「赤単」の《捨て身の狂乱/Desperate Ravings》は対ビートダウンデッキにおいては良い働きをしたが、その他のビッグマナ系のデッキや、重いカードを連打するデッキに対しては致命的に遅かったため、結局彼らはそのデッキを諦めた。

 最終的に、チームメンバーの多くの面々が、《先駆のゴーレム/Precursor Golem》のような、現在のメタゲームに合致していると思われるカードを数多く含んだ「グリクシス(青黒赤)コントロール」を選択した。

「《稲妻/Lightning Bolt》がローテーション落ちしてからというもの、多くのプレイヤーが除去呪文として《はらわた撃ち/Gut Shot》、《ショック/Shock》、《忘却の輪/Oblivion Ring》などを選ぶようになってきた。この変化が、《先駆のゴーレム/Precursor Golem》をとんでもないクリーチャーへと昇華させたのさ。」

 いくつかの試合を終えた後、両チームは彼らのデッキと調整過程に満足を示したままだった。

 これら最も有名なアメリカのチーム2つは、それぞれ根本的に違うデッキで成功し続けるのだろうか?

 今後の展開をお見逃しなく!

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