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Round 16: 中島 主税(東京) vs. Ben Stark(アメリカ)

Round 16: 中島 主税(東京) vs. Ben Stark(アメリカ)

By Keita Mori


中島 主税

 プロツアーシーンにおける現役日本勢の最長老ともいうべき存在が中島 主税だ。彼は十年を超えるキャリアをほこる大ベテランであり、今シーズンになって見せる活躍ぶりは凄まじく、もはやそのプレイスキルは円熟の域に到達している。

 中島は今季のプロツアー・フィラデルフィアでは赤単親和デッキを駆って見事にベスト4入賞を果たしており、それによって彼は日本におけるモダン形式の第一人者となった。

 そして、「フィラデルフィアの快挙再び」と意気込む中島の世界選手権のモダンラウンドのデッキも当然のように赤単親和。これは、フィラデルフィアでのプレイオフ(準々決勝)では「開幕ターンに手札をすべて使い果たす」という驚異的展開力を見せつけたことでも知られる、おそるべきアーキタイプである。

 多数の禁止カード制定によりフィラデルフィアでの有力デッキが消滅ないし弱体化を余儀なくされた中、爆発力もムラもあるこの親和は、そっくりそのままこのフォーマットに生き残っているのである。

 そんな親和デッキの中島に対するのが、Channel Fireball所属のアメリカ勢Ben Stark。Starkは今季のプロツアー・パリで見事優勝を飾っている強豪で、この日の朝の段階では「四色ヤソコン」か「Zoo」か最後の最後までデッキチョイスで悩んでいたとのことだが、最終的にはZooを選択し、本日ここまで2勝1敗という成績を挙げている。

 親交のある二人は和やかな談笑からゲームを開始した。4敗ライン。どちらもベスト8入りの夢がかかっており、負けられない。


Game 1

Round 16

 ゲームは後手中島の「親和」らしい猛攻から開幕した。《墨蛾の生息地/Inkmoth Nexus(MBS)》、《羽ばたき飛行機械/Ornithopter(MRD)》《信号の邪魔者/Signal Pest(MBS)》、《オパールのモックス/Mox Opal(SOM)》《バネ葉の太鼓/Springleaf Drum(LRW)》、と一気に5枚のパーマネントを展開し、相手のターンには《感電破/Galvanic Blast(SOM)》を本体に4点叩き込んで見せた。手札は残り2枚。

 対するStarkはフェッチランドである《沸騰する小湖/Scalding Tarn(ZEN)》2枚からラヴニカ・ブロックの2色ランドを調達するという動きで、1ターン目にタップイン《踏み鳴らされる地/Stomping Ground(GPT)》、2ターン目にアンタップイン《神聖なる泉/Hallowed Fountain(DIS)》という二回の起動だけで4点のライフを失うアクションとなってしまうが、敵陣の《信号の邪魔者/Signal Pest(MBS)》にむけて放つ《稲妻のらせん/Lightning Helix(RAV)》によって帳尻をあわせにかかった。

 Starkがこのインスタント呪文を放ったのは当然中島の2ターン目の戦闘中のことで、なんとかライフを削り切りたい中島は、セットしていた《山/Mountain(M12)》とあわせて2マナを捻出して《爆片破/Shrapnel Blast(MRD)》を唱えた。

 これは2マナ5点という驚異的な効率を誇る火力呪文だが、追加コストとしてアーティファクトを1枚生贄にささげなければならないというデメリットがある。このデメリットを、《稲妻のらせん/Lightning Helix(RAV)》の対象を失わせるためにうまく活用したというわけだ。

 中島はアタック時に《墨蛾の生息地/Inkmoth Nexus(MBS)》も活用しており、通常ダメージだけでなく確実に毒カウンターをStarkに与えている。

 ここまでの攻防とフェッチランド、ラヴニカランドによるライフロスでStarkは一気に危険な状態に追いやられてしまう。本体火力だけで《爆片破/Shrapnel Blast(MRD)》の5点と《感電破/Galvanic Blast(SOM)》の4点とあわせて9点。土地がらみではフェッチランドの2回の起動で2点と、ラヴニカのギルドランドのアンタップインで2点、あわせて4点。これら、戦闘ダメージを含めない応酬だけでStarkのライフは13点も削れてしまっているのである。

 しかし、3枚目の土地として《森/Forest(ZEN)》をプレイしたStarkは3/3のアタッカー《野生のナカティル/Wild Nacatl(ALA)》を召喚し、中島の後続である《大霊堂のスカージ/Vault Skirge(NPH)》を《稲妻のらせん/Lightning Helix(RAV)》で撃墜して3点のゲインライフを果たす。
 迎えた自ターンにStarkは《クァーサルの群れ魔道士/Qasali Pridemage(ARB)》を追加してからアタック宣言を行うが、《クァーサルの群れ魔道士/Qasali Pridemage(ARB)》の召喚にスタックして中島は本体火力《感電破/Galvanic Blast(SOM)》4点を叩き込み、ダメージレースに食らいつく。

 「火力さえ引ければ勝ち」という状況を演出して見せたものの、今の中島には通常のアタッカーがいない。ここで中島は《墨蛾の生息地/Inkmoth Nexus(MBS)》で毒カウンターを1つ与えるアタックを行ってから《メムナイト/Memnite(SOM)》を召喚してターンを返し、Starkの《野生のナカティル/Wild Nacatl(ALA)》と《クァーサルの群れ魔道士/Qasali Pridemage(ARB)》による5点のアタックを通した(中島の残りライフ9点)。

 中島が《メムナイト/Memnite(SOM)》と《墨蛾の生息地/Inkmoth Nexus(MBS)》でのアタックを試みると、そこにStarkが《稲妻/Lightning Bolt(M11)》を撃ち込む。対して中島はStarkの2体のアタックに対して《羽ばたき飛行機械/Ornithopter(MRD)》で《野生のナカティル/Wild Nacatl(ALA)》をチャンプブロックし、被害を2点のダメージに食い止め、残り7点。

 中島としてはStarkの攻勢をさばきながら、なんとか本体への《爆片破/Shrapnel Blast(MRD)》2発目などでゲームを終わらせにかかりたいところだったが・・・ここから火力のドローにめぐまれることはなかった。

 中島は《電結の荒廃者/Arcbound Ravager(DST)》を出してから《墨蛾の生息地/Inkmoth Nexus(MBS)》をクリーチャー化し、アタック宣言。最終的にはStarkに累計で毒カウンター5つ分の損害をあたえ、毒殺の可能性も十二分に匂わせるゲーム展開を演出した。

 しかし、いつでも《帰化/Naturalize(M12)》能力を起動できる《クァーサルの群れ魔道士/Qasali Pridemage(ARB)》がにらみをきかせており、中島は最終的にはこのクリーチャーに対する回答が見いだせなかった。

 「火力が引ければ勝てていた」シーンが何度もあった中島だったが、結局それがかなわぬまま、Ben Starkの動物軍団の打撃で瀕死のライフ状況に追い込まれてしまう。

 中島も一応は《電結の荒廃者/Arcbound Ravager(DST)》の能力を起動してみるが、当然、最終的に大きくなった対象に向けて《クァーサルの群れ魔道士/Qasali Pridemage(ARB)》の破壊能力を起動されることとなり、投了を宣言することとなった。

中島 主税 0-1 Ben Stark


Game 2

Ben Stark

 待望の先手を獲得した中島が《山/Mountain(M12)》セットからペイ2ライフとあわせて《大霊堂のスカージ/Vault Skirge(NPH)》召喚。対するStarkはおなじみの「ペイ3ライフ」から《踏み鳴らされる地/Stomping Ground(GPT)》をアンタップインし、すぐさま《稲妻/Lightning Bolt(M11)》を見舞った。

 中島の2ターン目は《オパールのモックス/Mox Opal(SOM)》、《メムナイト/Memnite(SOM)》《信号の邪魔者/Signal Pest(MBS)》、《山/Mountain(M12)》というアクション。

 対するStarkは《地平線の梢/Horizon Canopy(FUT)》をセットして2発の除去を撃ち込み、中島の戦線にクリーチャーが生き残ることを許さない。《流刑への道/Path to Exile(CMD)》と《稲妻/Lightning Bolt(M11)》というダブルの除去が見舞われた。

 3ターン目を迎えた中島はセット《墨蛾の生息地/Inkmoth Nexus(MBS)》から《頭蓋囲い/Cranial Plating(5DN)》を設置にかかる。しかし、Starkもすぐさま《古えの遺恨/Ancient Grudge(ISD)》でこの装備品を破壊した。

 4ターン目の中島の後続はセット《ちらつき蛾の生息地/Blinkmoth Nexus(DST)》と《電結の荒廃者/Arcbound Ravager(DST)》召喚。対するStarkは土地こそ2枚のままだが《野生のナカティル/Wild Nacatl(ALA)》を召喚してターンを返した。

 中島は《信号の邪魔者/Signal Pest(MBS)》を召喚し、2枚の土地をクリーチャー化して毒1、ダメージ1の損害をStarkに与えた。
 戦闘後、中島がここで熟考する。

中島 「・・・ここだけ、ちょっと考えさせてね。」
Stark 「この試合じゃ時間切れはないからごゆっくりどうぞ。」

 結局、中島は《電結の荒廃者/Arcbound Ravager(DST)》と《金属モックス/Chrome Mox(MRD)》を「電結」して《ちらつき蛾の生息地/Blinkmoth Nexus(DST)》を3/3に育て上げたのだが・・・そこにStarkからの《稲妻のらせん/Lightning Helix(RAV)》が突き刺さる!

 Starkは自陣に《貴族の教主/Noble Hierarch(CON)》を加えてから《野生のナカティル/Wild Nacatl(ALA)》で4点のアタックを行い、中島が《頭蓋囲い/Cranial Plating(5DN)》を《信号の邪魔者/Signal Pest(MBS)》につけてアタックを仕掛けたところで《流刑への道/Path to Exile(CMD)》を見舞ってみせた。

 Starkは盤面に二枚目の賛美もちクリーチャーである《クァーサルの群れ魔道士/Qasali Pridemage(ARB)》を追加し、《野生のナカティル/Wild Nacatl(ALA)》でアタック5点。中島はこれまでに毒カウンター3個を与えているものの、盤面ではかなり不利な状況となってしまった。

 ここで中島は《頭蓋囲い/Cranial Plating(5DN)》をクリーチャー化した《墨蛾の生息地/Inkmoth Nexus(MBS)》に装備させアタック宣言。Starkはここで《頭蓋囲い/Cranial Plating(5DN)》を《クァーサルの群れ魔道士/Qasali Pridemage(ARB)》で破壊することを選択し、毒カウンターがあらたに1個加わって、合計4つとなった。

 ここで中島はペイライフしつつ《大霊堂のスカージ/Vault Skirge(NPH)》を召喚し、《感電破/Galvanic Blast(SOM)》で《野生のナカティル/Wild Nacatl(ALA)》を破壊し、敵陣の脅威へと対処してみせた。

 ・・・しかし、ここからのStarkの展開が圧倒的だった!

 Stark《タルモゴイフ/Tarmogoyf(FUT)》連打(二連続召喚)!
 続くターンに《稲妻の天使/Lightning Angel(TSB)》!!

 中島は《爆片破/Shrapnel Blast(MRD)》で《稲妻の天使/Lightning Angel(TSB)》を除去することに成功したものの、まもなく圧倒的な緑色の洪水に飲み込まれてしまうこととなった。

中島 主税 0-2 Ben Stark


中島 「プロポイント6点、Top 32入りでプロプレイヤーレベル7に到達というのが目的でしたから残る試合もなんとか頑張りたいです。」

 そう語る中島は、やはり今回は赤単親和がかなり対策されており、メタゲーム上の仮想敵とされていることを痛感しているようだった。

中島 「全般的に赤単親和にはつらい環境になったかもしれないですね。
 たとえば、ZooはZooでもChannel Fireball勢は《緑の太陽の頂点/Green Sun's Zenith(MBS)》を失ってカウンターキャットから除去満載型Zoo生まれ変わったわけです。
 《緑の太陽の頂点/Green Sun's Zenith(MBS)》をはじめとした遅いパーツやカウンターがほとんど親和には効かないのでフィラデルフィアでは有利だったんですが、今の試合がそうだった通り、新型Zooは除去だらけになってアタック力まで向上しているので・・・不利になってしまった感じですね。」

 実際、中島は第17回戦にもOwen TurtenwaldのChannel Fireball Zooとマッチアップし、惜敗してしまっている。

中島 「それにしても、《忍び寄る腐食/Creeping Corrosion(MBS)》までバントにうたれましたからね。(マッチには勝ったものの)さすがにそのゲームはボコボコにされましたよ。フィラデルフィアではメタ外だったからこそ勝てたという意味もあったので。
 厳しい中ですが、なんとかTop32目指して頑張りたいと思います。」

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