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Feature: ジャッジ、世界の舞台で

Feature: ジャッジ、世界の舞台で

by Asako Seo


 今回の世界選手権で頑張った日本人は、29人のプレイヤーだけではありません。日本からのジャッジが2人参加しています。海外と日本でのイベントについて、お話を聞きました。(取材は3日目に行なっています)


牧野 充典

Makino 1
Makino 2


―― 一昨日と今日が本戦担当ですね。昨日は併催イベントにいらしたんですか?

「そうです」

―― 併催イベントってかなり夜遅くまであるんですか?

「そうですね、たとえば2日目の朝イチで始まったPTQは315人の参加者がいて、9回戦+プレーオフ3回戦に構築が2回入るので、最低でも13時間くらいはかかる予定なんですよね。実際何時に終わったかはわからないんですが」

―― それは大変ですね。海外と国内のイベントの大きな違いは何ですか?

「・・・飯がまずい(笑) というか、ちょっと何か食べたいっていうときに、海外だと食べ物に不自由しますね」

―― 今回はどんな食事をしているんですか?

「会場の外にある屋台トラックに行ったり、近くのスーパーで買ったりしてますね。
 あと、違いとしては、日本だとジャッジは一人ずつばらばらに動き回ってプレイヤーに集中してあたる感じですが、海外だと見てもらえばわかるとおり、ジャッジが2人とかくっついて動くことが多いです。それは文化交流だったり、トーナメントの相談とかをしてることもありますが。僕らはただ通訳のためにいるのではなくて、こういう場でほかの地域のトーナメントについて学んだり、あとは英語を教わったりもしてますね」

―― 国ごとにマジックの環境っていろいろと違うと思うんですが、ジャッジの間で意見が食い違うこととかはありますか?

「ルール解釈に関しては、ズレることはないですね。必ず正解があるものなので。ただ、ルールは日々変わっていくものなので、『このルールはどうあるべきか』といった議論は、まれにあります」

―― それでは最近、ルールでよくある質問とかがあれば教えてください。

「ちょっと前の話で、どこかにもう取り上げられていると思うんですが、《聖別されたスフィンクス/Consecrated Sphinx》をお互い場に出しているときに、どうしていいのかわからなくなっちゃうプレイヤーがけっこういました」

―― えーと、どうなるんですか?

「画面の前の皆さんも一緒に考えてみてください(笑)」

―― 倍々になりますけど、無限に引き続けるわけはないですよね。

「結局のところ『引いてもいい』なので、好きなところでやめられるんです。解説すると、まずこっちが1枚引いたら相手に『2枚引いていい権利』が発生してスタックに乗り、それを相手が解決したらこっちに『2枚引いていい権利』が2つ発生します。それを1つ解決したら、相手に『2枚引いていい権利』2つが乗って、それを1つ解決したら今度は自分に2つ、という感じで2つずつ積み重なっていきます。

―― なるほど、ありがとうございました。


米村 薫

Yonemura 1
Yonemura 2


―― 海外と国内のイベントの大きな違いを教えてください。

「言語障壁、と言ってしまうのは簡単すぎるのでほかのものをあげるとすれば、1つは日本のプレイヤーが会場でアナウンスで呼び出されたり、そういった手間をジャッジにかけさせるということがないですね。よく訓練されているというか。
 それと、日本のイベントには必ずいる運営の博展の人がいない。みんな黄色いジャケットを着ているからイエロージャケットなんて呼んだりしますが、彼らがいない分、イベントのクオリティを高めるのは多くがジャッジの仕事になります。時間の半分くらいはずっと椅子を片付けてるような気がしますから(笑)
 あとは、日本だと『今日はPTQ』とか一度担当の部署に割り振られたらそこから動くことはほとんどないんですが、海外だと『人手が足りないからあっちに移って』とか、ころころ変わることがよくあります。臨機応変に対応できますけど、ジャッジの身としては、大変は大変です」

―― こういう大会だと、世界各国からジャッジが来ていますよね。

「まあでも、最低みんな英語はできるんでなんとかなります」

―― ジャッジの間で意見が食い違うこととかはないんでしょうか?

「あることはありますが、こういう大会なら一番偉い人が『こうだよ』って言えばいいだけなので」

―― それでは最近、ルールでよくある質問とか、おもしろい質問とかはありますか?

「プレイヤーの観点からはちょっとずれますが、《電位式巨大戦車/Galvanic Juggernaut》がタップしていて、他のクリーチャーが死んだので本来起きているはずなのを忘れてアタックに入ってしまったら、《電位式巨大戦車/Galvanic Juggernaut(ISD)》は起きていいかどうかというのは、ジャッジの間でも意見が大きく分かれるんです。でもそれは『巻き戻って起きる』ということにさっき確定しましたので、確定したということをこの場を借りて伝えておきたいなと。
 もう1つ、両面カードが出てから起こりがちなシチュエーションとして、白や黄色のスリーブで透けてしまい、裏から見てわかる状態になってしまった時。これは『故意の違反』になって、一発DQです。『見えても大丈夫だと思ったので』、『見えてるのは気づいていたけど悪用するつもりはないので』といった発言をすると、意図的にやったことでなかったとしても『故意』になりますから、これに関しては注意してください。
 あと、日本人プレイヤーの間で『海外のジャッジに言っても話を聞いてもらえない』とか『日本人を差別している』というような意見が聞かれるんですけど、もしそういうことがあったらちゃんと言ってください。あとから私にメールを送ってもらってもいいです(メールアドレスは pao@f-o-rainbow.com )。『我々は常に分け隔てないプロフェッショナル・サービスを提供する。通訳が必要な場合はそう言ってほしいと、日本人プレイヤーにこの場を借りて伝えてくれ』と今回のヘッドジャッジ(レベル5ジャッジ・シェルドン・メネリー)が言っていたので」
(編注:伝えて欲しい、メールを送ってほしいと言っていたのは、米村さんではなくシェルドン氏だとのことです。米村さんはその通訳をする意志があるとのことです)

―― はい、わかりました。


編注: 対戦中のプレイヤーが観客と日本語で会話をした際、ジャッジに「今ゲームに関して話したのではないか?」と質問をされ、「そういった内容は何も言っていない」と言いたかったのに「I said nothing(私は何も発言していない)」と言ったため、「ジャッジに対して嘘をついた」と判断されてしまった、という事例があったそうです。こういった意思疎通上の行き違いを防ぐために、通訳を呼ぶことをためらわないようにしましょう。

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