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決勝戦: 彌永 淳也(東京) vs. Richard Bland(イギリス)

決勝戦: 彌永 淳也(東京) vs. Richard Bland(イギリス)

by Atsushi Ito


世界選手権2011 決勝戦アリーナ遠景


 あの日。2005年の日本選手権。


 当時まだ18歳の彌永 淳也という少年が、マジックの歴史の輝かしい1ページに名を残すはずだった日。


 ちょっとしたアクシデントがあって彌永は優勝を逃し、また学業を優先して代表も辞退した。

 皮肉にもその年の世界選手権は、森 勝洋(東京)の個人優勝、日本代表チーム優勝、津村 健志(広島)がPoY獲得と、マジックの歴史における「強い日本」が始まる節目の年となった。


 あれから6年が経ち。

 「日本勢は何故勝てなかったのか」など日本のプロコミュニティに警鐘が鳴らされる時代の中で。

 いくつかのグランプリトップ8や優勝を経て、少年は大人になった。


 今、彌永はマジックにおいて名実ともに最高峰の舞台の決勝戦に立っている。


 あの日つかみ損ねた栄光を求めて。

世界選手権2011 決勝戦


Game 1

 先手彌永がマリガンするものの、後手のBlandはダブルマリガンを強いられてしまう。

 彌永が順調に2ターン目、3ターン目と《不屈の自然/Rampant Growth》《真面目な身代わり/Solemn Simulacrum》でマナ加速するのに対し、Blandの初動は《刃の接合者/Blade Splicer》で既に半分諦め顔。

 だが、6マナに達した彌永が赤緑両タイタンのいずれもキャストしなかったことでやる気を取り戻したか、まずは3/3のゴーレム・トークンでアタック。

 これは彌永が《感電破/Galvanic Blast》で《刃の接合者/Blade Splicer》本体を葬りつつ、《ケッシグの狼の地/Kessig Wolf Run》で《真面目な身代わり/Solemn Simulacrum》をパンプして相打ちにとる。

Richard Bland

 しかし戦闘後にBlandの手札から繰り出されたのは《刃砦の英雄/Hero of Bladehold》。対処を誤れば詰みかねない。

 7マナ目を引けていれば《緑の太陽の頂点/Green Sun's Zenith》から《原始のタイタン/Primeval Titan》が出せた彌永だが、ここでのドローはダイレクトに《原始のタイタン/Primeval Titan》。しかしまずは冷静に《緑の太陽の頂点/Green Sun's Zenith》で《最後のトロール、スラーン/Thrun, the Last Troll》をサーチ、《忘却の輪/Oblivion Ring》による裏目をケアする。

 返すBlandが《刃の接合者/Blade Splicer》を追加するのみだったため、続くターンに彌永は満を持して《原始のタイタン/Primeval Titan》をプレイ。《墨蛾の生息地/Inkmoth Nexus》2枚をサーチする。

 結局Blandがさらに《刃の接合者/Blade Splicer》をプレイしたことで《原始のタイタン/Primeval Titan》がアタックすることはできなくなってしまったものの、素引きしていた《ケッシグの狼の地/Kessig Wolf Run》の力により 、その後わずか2ターンでBlandは毒殺されてしまったのであった。

彌永 淳也 1-0 Richard Bland


 彌永は《最後のトロール、スラーン/Thrun, the Last Troll》《極楽鳥/Birds of Paradise》《緑の太陽の頂点/Green Sun's Zenith》といったパッケージを抜き、《古えの遺恨/Ancient Grudge》などをサイドイン。

 親友である石村 信太朗(埼玉)らと直前に入念に検討したサイドボードプランで2ゲーム目に臨む。


Game 2

 Blandのマリガンに対し、彌永はまずは《金屑の嵐/Slagstorm》があるものの{R}{R}が出ず初動が遅い手札をマリガン。6枚の手札は以下のようなもの。

 《根縛りの岩山/Rootbound Crag》、《感電破/Galvanic Blast》《太陽の宝球/Sphere of the Suns》《真面目な身代わり/Solemn Simulacrum》《真面目な身代わり/Solemn Simulacrum》《古えの遺恨/Ancient Grudge》

 これを少し考えてからさらにマリガンした彌永。たどり着いた5枚は・・・

 《根縛りの岩山/Rootbound Crag(M12)》
 《根縛りの岩山/Rootbound Crag(M10)》
 《感電破/Galvanic Blast(SOM)》
 《感電破/Galvanic Blast(SOM)》
 《業火のタイタン/Inferno Titan(M12)》

 というこれ以上ないハンド。

 3ターン目までドローゴーのBlandに対し、彌永は《不屈の自然/Rampant Growth》を引き込んでマナブースト。さらに土地が詰まって《戦争と平和の剣/Sword of War and Peace》を置くことしかできないBlandを尻目に、彌永は《真面目な身代わり/Solemn Simulacrum》を引き込んで《業火のタイタン/Inferno Titan》リーチ。

 返しでようやく4マナ目を引き込んだBlandだが、《陽花弁の木立ち/Sunpetal Grove》《森/Forest》《ガヴォニーの居住区/Gavony Township》とあるところに引き込んだのが《森/Forest》ではいまいち噛み合わず、《情け知らずのガラク/Garruk Relentless》でトークンを出してターンを返すことしかできない。

 果たして《業火のタイタン/Inferno Titan》が登場し、《真面目な身代わり/Solemn Simulacrum》のアタックと合わせてBlandの場が再び真っさらに。返しでBlandは引き込んだ《極楽鳥/Birds of Paradise》を出して《戦争と平和の剣/Sword of War and Peace》を装備させるが、彌永が構わず2体アタックすると、Blandは《業火のタイタン/Inferno Titan》を止めるしかなく、じわじわとライフが削られていく。

彌永 淳也

 さらに彌永が《原始のタイタン/Primeval Titan》を追加した返しでようやくBlandは《最後のトロール、スラーン/Thrun, the Last Troll》をキャスト、《極楽鳥/Birds of Paradise》アタックで《戦争と平和の剣/Sword of War and Peace》の効果を誘発させてライフを引き戻しにかかる。

 が、彌永の手札は最初に紹介した5枚から7ターンのドローを経てとんでもないことになっていた。すなわち、

 《太陽の宝球/Sphere of the Suns》をキャスト、《墨蛾の生息地/Inkmoth Nexus》をアクティベートして金属術達成してからの。

 《感電破/Galvanic Blast》×4、本体16点。

彌永 淳也 2-0 Richard Bland


 この世界選手権の決勝という舞台にあっても、彌永は普段の冷静かつ慎重なプレイスタイルを乱すことなく戦えているように見えた。

 もちろん緊張はしているのだろうが、練習による裏打ちや仲間たちの応援、そしてデッキへの信頼が、彌永をこれ以上なく支えている。


Game 3

 今度こそBlandは7枚でキープ。対する彌永は6枚からスタート。

 1ターン目の《アヴァシンの巡礼者/Avacyn's Pilgrim》を《感電破/Galvanic Blast》すると、Blandの動きがどうにもぎこちない。《迫撃鞘/Mortarpod》をプレイするが、3ターン目はその細菌・トークンでおどけてアタックすることしかできない(もちろん0点)。

 対する彌永は《不屈の自然/Rampant Growth》《真面目な身代わり/Solemn Simulacrum》の黄金パターン。

 そしてBlandの4枚目の土地はまたも{W}{W}が出ない《森/Forest》。準決勝までで完全に運を使い切ってしまったかのよう。

 他方で、6マナまではもう一度《不屈の自然/Rampant Growth》を挟んだものの、5ターン目には順調に《業火のタイタン/Inferno Titan》をキャストした彌永。《ガヴォニーの居住区/Gavony Township》をケアして丁寧に細菌・トークンを葬る。

 返しでようやく2枚目の白マナを引き込んだBland。祈るように《刃砦の英雄/Hero of Bladehold》をキャストし、《迫撃鞘/Mortarpod》を装備させてターンを返す。

 だが彌永は自分のターンに入ると、ほとんど間を置かずにそのカードをキャストした。

 《業火のタイタン/Inferno Titan》の2枚目。

彌永 淳也 3-0 Richard Bland


 スタンダードとモダンで素晴らしいオリジナルデッキを製作した彌永。

 優勝が決まったときの笑顔は、まるで大切な宝物を見つけた少年のように晴れやかなものだった。

彌永 淳也

「スタンダードのデッキ強すぎたね。」

 栄光は、今ここにある。

 世界選手権2011、優勝は彌永 淳也!!

2011年世界王者、彌永 淳也

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