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国別対抗戦 決勝戦(レガシー): 藤本 知也(大阪) vs. Andreas Nordahl(ノルウェー)

国別対抗戦 決勝戦(レガシー): 藤本 知也(大阪) vs. Andreas Nordahl(ノルウェー)

By Takeshi Miyasaka


三原 「レガシーはかなり相性いいですね。スタンダードはまあまあ、モダンはちょっと相性がいいってところかな。」

 最終戦が始まる前にランチをしていた代表チームと都合良く同席した筆者は、三原に感触を聞いてみた。事前に配られた相手のデッキ内容を元にプレイテストをした結果、そうした結論になったという。

藤本 「緊張していないって言ったら嘘になりますけど、がんばります。」

 「かなり相性がいい」レガシーを担当する藤本 知也は、国別対抗戦のチーム成績4戦全勝。一方のノルウェー代表のレガシー担当 Andreas Nordahl も、チーム戦で4戦全勝という噂を耳にした。どちらも仲間の気持ちを背負って戦うのにめっぽう強いということなのだろう。

 個人戦と違って仲間と時折相談しながら進められるのが醍醐味ともいえるチーム戦。予選を通じて会場のあちこちで見受けられた互いに相談し合う光景は、アリーナでも再現されることとなった。

藤本 vs Nordahl

 個人で18回戦、チームで4回戦、22ラウンドに渡る予選の末に選ばれた最後の2チームが、2011年のチームチャンピオンの座を賭けていま対峙する。


Game 1

藤本 「三原さん、確認してもらえますか?」

 予選に比べて遠くなってしまった、センターに座るモダン担当「司令官」三原 槙仁に藤本が初手の是非を確認する光景も見慣れたものとなった。

 《Volcanic Island》《沸騰する小湖/Scalding Tarn》《渦まく知識/Brainstorm》《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》に《実物提示教育/Show and Tell》が3枚という内容。

三原 「(《渦まく知識/Brainstorm》とフェッチランドがあるから)いいんじゃない。相手のエンドに撃つ必要はないから。自分の2ターン目でいいよ。あと、そのカード(《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》)強いから。」

 三原のアドバイスを自分なりに咀嚼し、納得してキープした藤本。彼ら日本代表は予選1位通過を果たしており、この決勝戦で先攻後攻を決定できるアドバンテージを獲得している。当然、日本代表は全員先攻を選択する。

 藤本が設置した《Volcanic Island》をNordahlが《不毛の大地/Wasteland》して、国別対抗戦決勝が開幕する。

 当初のプランとはやや異なるが、スタックして《渦まく知識/Brainstorm》を使用してドローを調整すると《沸騰する小湖/Scalding Tarn》をセット。

 Nordahlが《ドライアドの東屋/Dryad Arbor》をセットした返しに《沸騰する小湖/Scalding Tarn》をフェッチしてライブラリをリフレッシュ。さらに《思案/Ponder》をプレイして《霧深い雨林/Misty Rainforest》と、必要牌を入手し、いらないカードはライブラリへ戻して違うカードへ換えていく。

 Nordahlは《吹きさらしの荒野/Windswept Heath》で《Savannah》をサーチすると《貴族の教主/Noble Hierarch》を召喚し、《ドライアドの東屋/Dryad Arbor》が賛美されて藤本へダメージを与える。ターン終了時に《霧深い雨林/Misty Rainforest》を《島/Island》へ換えた藤本のライフは16となる。

藤本 知也

 準備は上々。行けるときは思いきり。事前にデッキリストが配られ、対戦相手のデッキを把握している藤本は、躊躇することなく作業を開始する。

 《裏切り者の都/City of Traitors》をセットすると《実物提示教育/Show and Tell》をキャスト。
 《大祖始/Progenitus》と《聖遺の騎士/Knight of the Reliquary》がそれぞれ戦場に実物提示される。

 いきなりクライマックスとなってしまったノルウェー代表・Nordahlは、《ルーンの母/Mother of Runes》を配下に加えると《吹きさらしの荒野/Windswept Heath》をセットして様子をうかがう。

 しかし、《大祖始/Progenitus》が強力な一撃を加えたうえに、《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》が《聖遺の騎士/Knight of the Reliquary》をバウンスするに至っては、勝ち目はなかった。

藤本 知也 1-0 Andreas Nordahl


 幸先よく藤本が先勝を決めたころで、石田、三原も時を同じくして勝利を収めていた。アドバンテージを生かした日本代表が世界チャンピオンへ向けて一歩前進した。ここまでチーム戦で無敗の石田・藤本両名に俄然期待がかかる。

藤本 「知り合いにレガシーやっている人あんまおらんくて、大会に出てましたね。」

 レガシー担当の藤本は、三原からデッキリストを渡された後の練習場所を地元のレガシーイベントに設定した。十分といえる練習ができたわけではないそうだが、それでも環境を把握する手助けにはなったという。

 そして、自身で判断できない難しいシチュエーションや、出会ったことがない経験には、的確なアドバイスをくれる司令官の存在があった。

三原 「デッキ自体はなかちかさんに教えてもらったんですよ。それを完コピして始めて、使いやすいようにチューンして。レガシーやっている人にアイデア聞いたりとか。」

 いろんなフォーマットへ造詣のある三原だが、レガシーについては十分であるとは言いがたいという。その代わり、三原には相談に乗ってくれるマジック仲間たちがいた。住むところは違えども、同じ日の丸を背負って戦う仲間たちがいた。彼が託したデッキを藤本が操り、代表チームを最終日まで押し上げた。藤本の国別対抗戦の成績は、全勝である。

藤本 「自信は無いですけど、がんばるわ。」

 石田に「大丈夫ですか。」と尋ねられてそう答えた藤本は、自分よりも1ターン速く決まるコンボを相手に、きっちり勝ちを収めてチームを勝利へ導いた。

 チーム戦の勝ち頭藤本が、世界チャンピオンへ代表チームを率いるために、最後のゲームへ挑む。


Game 2

藤本と三原

 オープニングハンドをキープすべきか悩んでいるそれぞれのレガシー担当は、互いのセンターと意見を交換して自分の考えに点数をつける。

三原 「(手札を見て)悪くはないけど危ないね。《不毛の大地/Wasteland(TMP)》されるときついかな。」

 三原のアドバイスを受け手しばらくカードを伏せてプランを考えていた藤本は、やがて意を決したように短く「キープ。」と宣言する。

 ノルウェー代表が《樹木茂る山麓/Wooded Foothills》から《森/Forest》をサーチし《貴族の教主/Noble Hierarch》、日本代表が《霧深い雨林/Misty Rainforest》から《島/Island》をサーチして《思案/Ponder》というスタート。

 続くターンに《島/Island》をセットするだけの藤本に対し、Nordahlは《貴族の教主/Noble Hierarch》で攻撃し《吹きさらしの荒野/Windswept Heath》をセット、これは藤本のターン終了時に《ドライアドの東屋/Dryad Arbor》へと姿を変える。

 さらに《Savannah》をセットし《クァーサルの群れ魔道士/Qasali Pridemage》を召喚すると、ダブル賛美でサイズアップした《ドライアドの東屋/Dryad Arbor》が藤本を襲う。

 ライフを15まで減らされた藤本はターン終了時に《渦まく知識/Brainstorm》で手札を調整すると、メインに《Volcanic Island》をセットして《血染めの月/Blood Moon》を設置。ノルウェー人がコントロールする土地をごっそり《山/Mountain》へ書き換えた。

 追加の戦力を展開することは難しくなったズー使いは、現有戦力での攻撃を続行する。ダブル賛美の《クァーサルの群れ魔道士/Qasali Pridemage》で藤本のライフを11にすると、《Taiga》を《山/Mountain》としてセット。

 さらに《貴族の教主/Noble Hierarch》と《森/Forest》からそれぞれ色マナを調達して《聖遺の騎士/Knight of the Reliquary》をキャストするが、これを藤本は悩んだすえに《Force of Will》をコストにして《Force of Will》する。ライフは10となった。

 タイムリミットを突きつけられた藤本は先を急ぐ。メインフェーズに《Volcanic Island》をセットすると《直観/Intuition》で《引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul, the Aeons Torn》を手札にくわえて、次のターンで決めるぞという意思表示。

Nordahl

 応えてNordahlは《Plateau》をセットすると《貴族の教主/Noble Hierarch》を使用しての《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic(WWK)》を戦場へ。《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》をサーチして《クァーサルの群れ魔道士/Qasali Pridemage》へ装備させてアタック。藤本のライフは6となり、十手に2つカウンターが乗った。

 最後のターン。《水蓮の花びら/Lotus Petal》経由で《騙し討ち/Sneak Attack》をプレイした藤本は《引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul, the Aeons Torn》を辻斬りさせる。この最強のエルドラージが持つ滅殺は6だ。ノルウェー代表がコントロールしているパーマネントを数えてみよう。

 《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》
 《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic》
 《クァーサルの群れ魔道士/Qasali Pridemage》
 《貴族の教主/Noble Hierarch》
 《Plateau》
 《Taiga》
 《Savannah》
 《ドライアドの東屋/Dryad Arbor》
 《森/Forest》

 すべての土地と《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic》が生け贄に捧げられ、15ダメージを受けたNordahlは、エルドラージがいなくなった戦場を、《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》を装備した《クァーサルの群れ魔道士/Qasali Pridemage》でツバメ返ししてみせた。

藤本 知也 1-1 Andreas Nordahl


 自身も敗北してサイドボードをしている最中、隣で負けてしまった藤本にすぐさまアドバイスする三原。この二人は、この最後の試合に臨んでいるいまでも、いい師弟関係にあるようだ。

 それぞれサイドボードを終えて、最後の試合に挑もうとするが、ストリーミングの関係で、レガシーの最終戦に待ったがかかる。すでにスタンダードで石田が勝利し、先にモダンの対戦を配信するとの判断が下ったようだ。

 チームメイトたちは、それぞれ仲間のそばで観戦することを許され、ジャッジ、ライターを含めたアリーナにいるすべての人が、センターで対戦する試合の行方を見守っている。

 これまで自分を励まし、アドバイスし、時には叱咤した日本代表の司令官三原の試合を、石田が、藤本が、固唾を呑んで見守っている。せわしなく相談し合っているノルウェー代表に対して、どっしりと構えて自らの判断で、落ち着いて、丁寧にゲームを進めていく日本代表・三原。

 センターを務めた三原のチーム戦戦績は2勝2敗。だが、彼の両脇を固めるチームメイトが、敗北を知らないチームメイトがここまでチームを引っ張ってきた。チームチャンピオンを決める大事な一戦で、三原をここまで引き上げてきたチームメイトが、黙って三原のプレイを見守っていた。

 三原が最後の5点のライフを《罰する火/Punishing Fire》で削りきったとき、石田は思わずガッツポーズを決め、石田と藤本は三原に駆け寄って熱いハイタッチを交わした。

 おめでとう、日本代表チーム!


 藤本にとっての日の丸を背負った日本代表としての戦いは、最後のゲームをすることなく終焉を迎えた。このサンフランシスコでの、彼のチーム成績は石田と同じく4勝1分け。大事なところで勝ちを稼ぐ、日本代表にとっての両輪の一部として十二分に活躍した。

 石田が勝ち、藤本が勝ち、三原が二人にアドバイスする。このチームはそうして一つずつ勝ち星を納め、ついにはチャンピオンの座に輝いた。

 藤本は、チームチャンピオンの称号だけではなく、日本選手権と世界選手権で獲得したプロポイントによって、プロツアー闇の隆盛の参加権利も獲得した。

藤本 「世界選手権、楽しかったですね。プロツアーでまたプレイしたいです。」

藤本 知也

 藤本のプロツアーでの活躍はまだ始まったばかり。これからの藤本の活躍にも期待したい。また観戦記事で藤本の名前を見かけることを、切に願っている。

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