マジック:ザ・ギャザリング 日本公式ウェブサイト

イベントカバレージ

国別対抗戦 決勝戦(モダン):三原 槙仁(千葉) vs. Sveinung Bjørnerud(ノルウェー)

国別対抗戦 決勝戦(モダン):三原 槙仁(千葉) vs. Sveinung Bjørnerud(ノルウェー)

by Shiro Wakayama


 日本選手権2011が終わった時に、無名の石田と藤本が日本代表に入ったことで、世界選手権における国別対抗戦の趨勢を、不安視する声は決して少なくなかった。

 だが、Round 18終了後のチーム戦スタンディングの1位の欄にあるのは「Japan」の五文字だった。

 チーム戦で行われる4回戦を全勝し、個人戦でも成績のばらつきはあったものの、お互いの不得意なフォーマットを他のプレイヤーが助けるという形で、見事に1位を獲得、日曜日のアリーナへと現れた日本チーム。

 世界を制した経験を持つ三原が司令塔となり、藤本と石田が三原をしっかりと信頼することで成立しているチームワーク。

 チャネル・ファイアボールのような目的遂行の為の集団ではなく、運命共同体として、一人の司令塔を頂点としたチームというのも、また強い。

 彼らがプレイオフに参加することが決まった時、普段からレガシーをプレイし、レーティングで日本一にもなったことがある中島 主税や高橋 優太が藤本にアドバイスし、八十岡 翔太は三原のスパーリングに付き合い、対戦相手のゲームプランがどういったものかを模索するという非常に重要な部分でサポートした。

 本戦18回戦が終了した今、会場にいる全ての日本人プレイヤーが日本代表チームをサポートし、彼らの期待を受けて、3人のプレイヤーがアリーナへと姿を現す。

 三原が駆るのは《欠片の双子/Splinter Twin》デッキ。構成はいたってオーソドックスなもので、《罰する火/Punishing Fire》を内蔵している形。

 対するビョーネルドのデッキは、ナヤカラーのZOOだ。メインボードから《ギデオン・ジュラ/Gideon Jura》、《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》、《罰する火/Punishing Fire》エンジンと搭載しており、早い環境のレガシーを考えれば比較的どっしりとした、クリーチャーデッキを強烈にメタった構成と言えるだろう。

 そのため、クリーチャーでの攻撃をフィニッシュ手段としてはいるが、基本的にはコンボデッキに分類されるであろう《欠片の双子/Splinter Twin》デッキの三原が、若干有利というのが下馬評。

 果たして、三原は下馬評通りの勝利ができるのか?

三原 vs Bjornerud


Game 1

 先攻の三原は、《呪文滑り/Spellskite》《欠片の双子/Splinter Twin》《差し戻し/Remand》《詐欺師の総督/Deceiver Exarch》《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》、土地2枚という、コンボを成立させながら、妨害手段もありという、この上ないハンドをキープ。

 ビョーネルドがワンマリガンしてゲームはスタート。

 後手の《野生のナカティル/Wild Nacatl》から始まり、2ターン目、三原は《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》をファイレクシア・マナでプレイ。ビョーネルドのハンドを確認すると、《貴族の教主/Noble Hierarch》2枚、《クァーサルの群れ魔道士/Qasali Pridemage》、《聖遺の騎士/Knight of the Reliquary》、土地という構成。

 《クァーサルの群れ魔道士/Qasali Pridemage》は危険だが、《呪文滑り/Spellskite》があるし、順調にいけばコンボは干渉されづらそうな手札だ。

 これを見て三原はプランを決める。
 《呪文滑り/Spellskite》をプレイして、ターン終了。

 《貴族の教主/Noble Hierarch》をプレイして賛美のバックアップを受けた《野生のナカティル/Wild Nacatl》攻撃は当然スルーしてライフを14とする。

 帰ってきた三原のターン、メインで《詐欺師の総督/Deceiver Exarch》をプレイして土地をアンタップ。さらに《手練/Sleight of Hand》をプレイしてターン終了。

 クァーサルを追加しながら《野生のナカティル/Wild Nacatl》で懸命にライフを削るビョーネルドだが、三原の《欠片の双子/Splinter Twin》が《詐欺師の総督/Deceiver Exarch》に無事エンチャントされ、Game 1は下馬評通りあっさりと終了。

三原 1-0 ビョーネルド


 シャッフルをしていると、両隣から勝利の報告が。日本、それぞれのプレイヤーが1-0として、王手をかける。


Game 2

Bjornerud

 お互いにマリガンなしで、ビョーネルドの《貴族の教主/Noble Hierarch》からスタート。《呪文滑り/Spellskite》をプレイする三原に対して、《聖遺の騎士/Knight of the Reliquary》、さらには《古えの遺恨/Ancient Grudge》で《呪文滑り/Spellskite》を破壊と、Game1とは打って変わってビョーネルドがイニシアチブを握る。

 既に《欠片の双子/Splinter Twin》が手札にある三原。《手練/Sleight of Hand》を使ってライブラリを掘り進む三原だが、相方の《やっかい児/Pestermite》と《詐欺師の総督/Deceiver Exarch》にはたどり着けない。

 そんな三原をしり目に、《聖遺の騎士/Knight of the Reliquary》を起動。フェッチランド経由で墓地へと土地を送り込み《聖遺の騎士/Knight of the Reliquary》をパンプアップ。《クァーサルの群れ魔道士/Qasali Pridemage》も戦線に追加して、賛美×2しつつのアタックで、三原のライフは一気に12へ。

 その後も《手練/Sleight of Hand》する三原だが、土地以外のカードを引くことができず、瞬殺。

三原 1-1 ビョーネルド


Game 3

 何とか先に一勝をもぎ取りたい両チーム。3ゲーム目にもつれ込み、緊張感が高まる。

 お互いにマリガンなし。三原は《鏡割りのキキジキ/Kiki-Jiki, Mirror Breaker》《手練/Sleight of Hand》《不忠の糸/Threads of Disloyalty》《詐欺師の総督/Deceiver Exarch》、土地3枚というまずまずの手札をキープ。防御手段は無いものの、コンボは揃っている。

 三原の《手練/Sleight of Hand》、ビョーネルドの《野生のナカティル/Wild Nacatl》でゲームはスタート。
 さらに《貴族の教主/Noble Hierarch》をビョーネルドが追加し、《蒸気孔/Steam Vents》スタートだった三原のライフは早くも14点に。
 だが、3ターン目に三原がは《仕組まれた爆薬/Engineered Explosives》X=1の設置と、即爆破。これで、ライフは少し失ったものの、ビョーネルドの出鼻を大きく挫く。

 しかし、後続が無いわけもなく、《クァーサルの群れ魔道士/Qasali Pridemage》が登場。これに対して何もできない三原は土地を置いてターンを返すのみ。
 《クァーサルの群れ魔道士/Qasali Pridemage》でアタックされて、ライフは11。揺さぶりをかけたいのか、ビョーネルドのターン終了時に《詐欺師の総督/Deceiver Exarch》をプレイすると、《詐欺師の総督/Deceiver Exarch》にスタックで《罰する火/Punishing Fire》が本体へと打ち込まれる。

 これで三原のライフは9。ビョーネルドのクロックを妨害するために、《クァーサルの群れ魔道士/Qasali Pridemage》に《不忠の糸/Threads of Disloyalty》をプレイ。これは後々を見て、裏切る前に、2枚目の《罰する火/Punishing Fire》で介錯をするビョーネルド。さらに三原は《手練/Sleight of Hand》をキャストするのだが、ここでゲットできたのは《鏡割りのキキジキ/Kiki-Jiki, Mirror Breaker》と微妙なカード。

 動きがぎこちない三原に対して、ライフを詰めていきたいビョーネルドは、《地平線の梢/Horizon Canopy》を生贄にささげて、追加のクリーチャーを探しにかかる。この甲斐あってか、《聖遺の騎士/Knight of the Reliquary》をプレイすることに成功する。

 だが、未だ成長過程で3/3の《聖遺の騎士/Knight of the Reliquary》。これは三原のトップデッキ《罰する火/Punishing Fire》+既に設置してあった《燃え柳の木立ち/Grove of the Burnwillows》のエンジンで撃ち落とされてしまう。

 両者のもとに《燃え柳の木立ち/Grove of the Burnwillows》が揃い、《罰する火/Punishing Fire》も手に入れたことで、1点づつの微妙な駆け引きが始まる。

 何度かの応酬の後、三原は《大祖始の遺産/Relic of Progenitus》をトップデッキするが、ビョーネルドは2枚の《罰する火/Punishing Fire》があるため、あまり意味が無い。1枚はリムーブするが、残りの1枚でさらに1点の攻防が続き、ライフは三原6:ビョーネルド9。


 このあたりで、石田がマッチに勝利し日本に王手がかかったので、1-1となっている藤本のゲームが中断され、両チームのプレイヤーの周りにチームメイトが集まる。

 ライフが少なくなっていくにつれ、無駄なアクションはそのままライフレースでの一歩後退に直結してしまうため、お互いの思考時間が増える。チームメイトと密に相談しながらゲームを進めて行くノルウェーに対して、三原の一挙手一投足を全て信頼している日本。
 今までけん引してきてくれていた三原を、二人は信じる。

 揺さぶりをかけるために三原がプレイしたのは、相方がいない状態での《鏡割りのキキジキ/Kiki-Jiki, Mirror Breaker》。これをレッドゾーンへと向かわせるが、当然《罰する火/Punishing Fire》。

 この攻防の末、世界選手権の日曜日でのトップデッキには世界的に定評がある三原、《大祖始の遺産/Relic of Progenitus》をトップデッキする。

 これには横で見ていた石田も目を見開き興奮するのだが、ビョーネルドもさるもの。即座に《古えの遺恨/Ancient Grudge》でこれを破壊。

 じわじわとお互いのライフが減り、三原5:ビョーネルド6となったところで、三原が動く。

 ビョーネルドのターン終了時に《罰する火/Punishing Fire》を2度ビョーネルドに打ち込んで4とした後、《詐欺師の総督/Deceiver Exarch》をプレイ。コンボが存在する以上、対処しないわけにはいかないビョーネルド。

 コンボの対処と罰する算の計算という非常に難解な問題を提示されたノルウェー勢は、これでもかと長考する。

 三原はポーカーフェイスでそれを見据える。

三原 槙仁

 結果、これを《罰する火/Punishing Fire》で焼き焦がし、三原は3マナ使っただけで、《罰する火/Punishing Fire》エンジン2回分のライフアドバンテージを得る。

 国を背負うという、中々ない状況で興奮状態のノルウェー勢。周りの仲間に相談しても「任せるよ。」と言ってもらえているようなのだが、中々決められない。

 これを見て、仲間の信頼を得ている三原はさらに相手を揺さぶる。《呪文滑り/Spellskite》を2体プレイ。《罰する火/Punishing Fire》の対象を増やして相手をかく乱する算段だ。

 1体は《古えの遺恨/Ancient Grudge》のフラッシュバックで墓地に置かれるものの、ここでビョーネルドは迷ってしまう。

 1回《呪文滑り/Spellskite》を対象に《罰する火/Punishing Fire》をプレイしたことで、三原は対象変更の1マナを払わなくて済み、罰する算に余裕が生まれる。

 小さく小さくダメージを積み重ね、引きがかみ合わない状況で、コンボデッキvsクリーチャーデッキとは全く違う次元の戦いに相手を引きずり込み、かく乱し、数手先まで読み切った三原が、初めて表情を崩し、素早くプレイする。

 ビョーネルドのライフは4。三原のライフは3。だが、三原の揺さぶりのおかげで、マナの数が違う。

 《罰する火/Punishing Fire》が、3度ビョーネルドへと打ち込まれ・・・

 日本をけん引した三原が、2006年に個人で世界を征した三原が、国別対抗戦の勝利を決定づけた。

三原 2-1 ビョーネルド


日本 2-0 ノルウェー


 個人戦と国別対抗戦、POYと三冠を達成した2005年。POYはOwenが獲得したものの、レベル8には3人のプレイヤーが名を連ね、世界選手権のTop64には実に11人ものプレイヤーが名を連ねた。

 日本が勝てなくなったとは、もう言わせない。
 強い日本を知る三原が、若い力をけん引して、日本を制した。

 次に行われるのは、世界選手権個人戦決勝。
 最後の戦いを控えた彌永に、一足先に世界を制した三人が、バトンを渡す。

team JAPAN

 日本代表、国別対抗戦優勝!

前の記事: 国別対抗戦 決勝戦(レガシー): 藤本 知也(大阪) vs. Andreas Nordahl(ノルウェー) | 次の記事: 決勝戦: 彌永 淳也(東京) vs. Richard Bland(イギリス)
世界選手権11 一覧に戻る