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【戦略記事】 初日全勝・市川ユウキのドラフト

【戦略記事】 初日全勝・市川ユウキのドラフト

By Sugiki, Takafumi

 グランプリ・名古屋も二日目の朝を迎え、初日のシールド戦を通過した215名のプレイヤーが本日のフォーマットであるブースタードラフトに挑む。ここでは分割されたトーナメントのうち黒ブラケットを1位で通過した、市川ユウキのドラフトピックを追いかけてみたい。

 ドラフトを開始する前にショートインタビューをしているので、まずはそちらの模様をお伝えしたい。

――まずは初日全勝おめでとうございます。

市川「ありがとうございます。初日のシールドデッキは、それほど強いわけでもなかったのですが、相手の土地事故に助けられた面が大きかったです。対してこちらは事故することが無く、ツキがあったと思います。」

――初日全勝で迎えるブースタードラフト、どのように練習されてきましたでしょうか。

市川「MO(Magic Online)ですね。MOでは勝つためというよりは、このグランプリに向けての練習といった意味合いで、様々なアーキタイプを実験的にドラフトしていました。なので、正直勝率としてはあまり良くなかったのですが、環境の把握は進みました。」

――MOは練習の場であり、グランプリが本番というわけですね。そのようなMOでの練習の中で、強いと思ったアーキタイプはどのようなものでしょうか。

市川「バントカラー(白青緑)のいずれかの組み合わせが良いと思います。赤は『神々の軍勢』で持ち直したものの、『テーロス』の弱さが響いています。黒は『神々の軍勢』が弱く、強いレアが流れてきて上の方に黒をドラフトしているプレイヤーがいないことが分かってからでないと、ドラフトしたくないですね。」

――バントカラーの中では、とくにやりたいアーキタイプはありますか?

市川「白緑ビートダウンは是非やりたい色の組み合わせです。序盤のビートダウンから《悪戯と騒乱/Mischief and Mayhem(BNG)》で押し切るような形を目指したいです。」

――なるほど。では、まもなくドラフトが始まりますが、頑張ってください。

市川「ありがとうございます。まだ、プロツアー『マジック2015』の権利を持っていないので、なんとしてもベスト8に入りたいと思います。」

ピック

 バントカラーをドラフトしたいとのことであったが、実際のドラフトは下記のように進んでいった。

 以下、ピック順.ピックしたカード:迷ったカードたちの順に表記する。

1−1

《ネシアン未開地の荒廃者/Nessian Wilds Ravager(BNG)》:《ケンタウルスの武芸者/Swordwise Centaur(BNG)》

 高得点な緑のレアを見事初手で引き当ててピック。まずは、狙っていたアーキタイプへの一歩目を無事踏み出すことができた。

1−2

《洗い流す砂/Scouring Sands(BNG)》:《セテッサの誓約者/Setessan Oathsworn(BNG)》《ニクス生まれのトリトン/Nyxborn Triton(BNG)》

 バントカラーのカードにあまり強いものがなかったため、目指していた方向性からずれたピックになった。《洗い流す砂/Scouring Sands(BNG)》は相手のデッキによっては大きな威力を発揮する。

1−3

《ケラノスの稲妻/Bolt of Keranos(BNG)》:《サテュロスの道探し/Satyr Wayfinder(BNG)》

 ここでも緑にはあまりめぼしいカードが無く、純粋なカードの得点を重視してピックした。

1−4

《高巣の崇拝者/Aerie Worshippers(BNG)》:《黄金の木立ちの蛇/Snake of the Golden Grove(BNG)》

 ここでもカードパワーを重視して《高巣の崇拝者/Aerie Worshippers(BNG)》をピックした。この時点で市川は青が空いていることを察知したようだ。

1−5

《突然の嵐/Sudden Storm(BNG)》:《潮流の合唱者/Chorus of the Tides(BNG)》

 青の空きはここで確信に変わる。

1−6

《恐るべき気質/Fearsome Temper(BNG)》:《潮流の合唱者/Chorus of the Tides(BNG)》

 このピックはやや疑問に思える。青を主張し素直に《潮流の合唱者/Chorus of the Tides(BNG)》で良かったのではないだろうか。

 ピックは以下、このように進んでいった。

1−7.《圧倒的な波/Whelming Wave(BNG)》

1−8.《エファラの啓蒙/Ephara's Enlightenment(BNG)》

1−9.《無効化/Nullify(BNG)》

1−10.《空掃き/Skyreaping(BNG)》

1−11.《スフィンクスの信奉者/Sphinx's Disciple(BNG)》

1−12.《アクロスの徴兵人/Akroan Conscriptor(BNG)》

1−13.《タッサの拒絶/Thassa's Rebuff(BNG)》

1−14.《選別の印/Culling Mark(BNG)》

 1パック目は7手目の《圧倒的な波/Whelming Wave(BNG)》などから上に青をピックしているプレイヤーがいないことがわかり、青はとりあえず固定できたと見てよいだろう。また、2色目としては《ケラノスの稲妻/Bolt of Keranos(BNG)》をピックできた赤が有力となる。


市川ユウキ(写真左)
2−1

《悪夢の織り手、アショク/Ashiok, Nightmare Weaver(THS)》:《不機嫌なサイクロプス/Ill-Tempered Cyclops(THS)》

 どーん。アショク御大がパックから現れた。取る、流す、ぎりぎりまで悩んだが《悪夢の織り手、アショク/Ashiok, Nightmare Weaver(THS)》をピック。

2−2

《パーフォロスの激怒/Rage of Purphoros(THS)》:《威名の英雄/Fabled Hero(THS)》、《天馬の乗り手/Wingsteed Rider(THS)》

2−3

《稲妻の一撃/Lightning Strike(THS)》:《タイタンの力/Titan's Strength(THS)》、《未知の岸/Unknown Shores(THS)》

 ここで赤もほぼ確定だろうか。これで、目指すデッキは青赤タッチ《悪夢の織り手、アショク/Ashiok, Nightmare Weaver(THS)》のコントロール気味のデッキとなった。

2−4

《乳白色の一角獣/Opaline Unicorn(THS)》:《石殴りの巨人/Stoneshock Giant(THS)》、《はじけるトリトン/Crackling Triton(THS)》

 アショクを安定して出すために、《乳白色の一角獣/Opaline Unicorn(THS)》をピック。デッキを引き締める。

2−5.《パーフォロスの激怒/Rage of Purphoros(THS)》:《旅行者の護符/Traveler's Amulet(THS)》

2−6.《闘技場の競技者/Arena Athlete(THS)》:《石殴りの巨人/Stoneshock Giant(THS)》

2−7.《解消/Dissolve(THS)》:《阻まれた希望/Stymied Hopes(THS)》

 コントロールデッキには待望のカウンターをここでピックすることができた。

2−8.《先見のキマイラ/Prescient Chimera(THS)》

2−9.《メレティスの守護者/Guardians of Meletis(THS)》

2−10.《鞭の一振り/Lash of the Whip(THS)》

2−11.《記憶の壁/Mnemonic Wall(THS)》

2−12.《はじけるトリトン/Crackling Triton(THS)》

2−13.《記憶の壁/Mnemonic Wall(THS)》:《阻まれた希望/Stymied Hopes(THS)》

2−14.《伏魔殿のピュクシス/Pyxis of Pandemonium(THS)》

 《悪夢の織り手、アショク/Ashiok, Nightmare Weaver(THS)》をピックしたことにより、デッキの方向性がコントロールへと明確になり、その後の赤の流れ方からデッキのカラーリングも青赤に落ち着いた。あとは、これらの色の強いカードが流れてくることを祈りつつ、デッキの形を整えるピックをしていく。

 ここで、卓の色分布を見てみよう。

スガイ {W}{B}
オルジェイ {W}{R}
市川 {U}{R}
アリタ {U}{G}
テヅカ {W}{U}
キム {R}{W}
サトウ {W}{G}
カスガ {B}{G}
{W}:5名
{U}:3名
{B}:2名
{R}:3名
{G}:3名

 このような配色となった。市川の上はなんと5人ものプレイヤーが青に手をつけていないため、3パック目は強い青の流れが期待できる。また、赤についても直上のオルジェイこそ赤をピックしているものの、その上は3人空いており、またオルジェイはビートダウン志向のデッキ、市川はコントロール志向のデッキであることも相まって、それなりに赤いカードが流れてくることも考えられる。

3−1

《波濤砕きのトリトン/Wavecrash Triton(THS)》:《タッサの試練/Ordeal of Thassa(THS)》、《トリトンの戦術/Triton Tactics(THS)》

 青の濃いパックの中から、《波濤砕きのトリトン/Wavecrash Triton(THS)》をピック。純粋なカードパワーであれば《タッサの試練/Ordeal of Thassa(THS)》だと思われるが、デッキの完成形をイメージしつつより守備的なカードを選択した。

3−2

《高木の巨人/Arbor Colossus(THS)》:《未知の岸/Unknown Shores(THS)》《阻まれた希望/Stymied Hopes(THS)》

 《悪夢の織り手、アショク/Ashiok, Nightmare Weaver(THS)》用の黒マナを安定させるために、《未知の岸/Unknown Shores(THS)》のピックも視野にいれたようだが、さすがにカードパワーが違いすぎる《高木の巨人/Arbor Colossus(THS)》をカットした。

3−3.《雨雲のナイアード/Nimbus Naiad(THS)》:《加護のサテュロス/Boon Satyr(THS)》、《前兆語り/Omenspeaker(THS)》

3−4.《蒸気の精/Vaporkin(THS)》:《タッサの褒賞/Thassa's Bounty(THS)》

3−5.《タッサの使者/Thassa's Emissary(THS)》:《蒸気の精/Vaporkin(THS)》

3−6.《雨雲のナイアード/Nimbus Naiad(THS)》:《前兆語り/Omenspeaker(THS)》

3−7.《波濤砕きのトリトン/Wavecrash Triton(THS)》:《ファリカの療法/Pharika's Cure(THS)》

3−8.《落岩/Boulderfall(THS)》:《トリトンの財宝狩り/Triton Fortune Hunter(THS)》

3−9.《未知の岸/Unknown Shores(THS)》

3−10.《阻まれた希望/Stymied Hopes(THS)》

3−11.《前兆語り/Omenspeaker(THS)》

3−12.《ナイレアの存在/Nylea's Presence(THS)》

3−13.《タッサの褒賞/Thassa's Bounty(THS)》

3−14.《炎放ちの車輪/Flamecast Wheel(THS)》

 3パック目は3−1での《波濤砕きのトリトン/Wavecrash Triton(THS)》に見られるように、コントロールデッキとしての完成形を意識した最終調整のようなピックとなった。

ichikawa_building.jpg

デッキ

ここから市川が構築したデッキは以下のようになった。

市川ユウキ
グランプリ・名古屋2014 ドラフト1回目
10 《島》
6 《山》
1 《未知の岸》

-土地(17)-

1 《前兆語り》
1 《蒸気の精》
2 《雨雲のナイアード》
2 《波濤砕きのトリトン》
1 《はじけるトリトン》
1 《乳白色の一角獣》
1 《高巣の崇拝者》
1 《タッサの使者》
1 《アクロスの徴兵人》
1 《記憶の壁》
1 《先見のキマイラ》

-クリーチャー(13)-
1 《稲妻の一撃》
1 《無効化》
1 《阻まれた希望》
1 《悪夢の織り手、アショク》
1 《ケラノスの稲妻》
1 《解消》
1 《突然の嵐》
1 《圧倒的な波》
2 《パーフォロスの激怒》

-呪文(10)-
1 《炎放ちの車輪》
1 《伏魔殿のピュクシス》
1 《闘技場の競技者》
1 《ナイレアの存在》
1 《洗い流す砂》
1 《空掃き》
1 《タッサの拒絶》
1 《選別の印》
1 《エファラの啓蒙》
1 《恐るべき気質》
1 《メレティスの守護者》
1 《高木の巨人》
1 《鞭の一振り》
1 《記憶の壁》
1 《スフィンクスの信奉者》
1 《ネシアン未開地の荒廃者》
1 《タッサの褒賞》
1 《落岩》

-サイドボード(18)-
ichikawa_deck.jpg

――結局、狙っていたカラーリングのデッキではなくなってしまいましたが、点数をつけるとしたら何点くらいでしょうか?

市川「70点はありますね。《悪夢の織り手、アショク/Ashiok, Nightmare Weaver(THS)》をピックしたタイミングで、デッキの方向性が青赤タッチ《悪夢の織り手、アショク/Ashiok, Nightmare Weaver(THS)》に決まり、その後はその方向性にしっかりと従ったピックができました。ちゃんと2勝はできそうなデッキが仕上がったので満足しています。」

――3−1での《波濤砕きのトリトン/Wavecrash Triton(THS)》のピックは一見疑問にも思えるのですが、どうでしょう?

市川「《波濤砕きのトリトン/Wavecrash Triton(THS)》は、『神々の軍勢』入りのドラフトにおいて、評価が上がったカードだと思います。《タッサの試練/Ordeal of Thassa(THS)》、《トリトンの戦術/Triton Tactics(THS)》と純粋なカードの点数で比べても、全く見劣りしないカードだと思いますよ。」

 自身初のグランプリトップ8に向けて、ポールポジションで折り返した市川の活躍に期待しよう。また、市川のマッチの様子は別の記事にて掲載されているので、そちらもご確認いただきたい。

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