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【戦略記事】 チーム共同デッキ構築・スタンダード、メタゲームブレイクダウン 2日目

【戦略記事】 チーム共同デッキ構築・スタンダード、メタゲームブレイクダウン 2日目

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Frank Karsten / Tr. Tetsuya Yabuki

2015年12月12日

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 ワールド・マジック・カップは独特なトーナメントであり、中でも特に、この「チーム共同デッキ構築・スタンダード」は特徴的なフォーマットだ。このフォーマットの模様は昨日もお送りしたが、本日もステージ2のフォーマットとして行われ、トップ8入賞を決める鍵となる。

デッキ構築のルール

 このフォーマットでは、各チームともスタンダードで使用可能なデッキを3つ作成し、A席、B席、C席にそれぞれを振り分けることになる。各ラウンドで当たった国がその席順で対峙し、A席のプレイヤー同士、B席のプレイヤー同士、C席のプレイヤー同士がそれぞれ2ゲーム先取の試合を行う。そして、そのうちふたつの試合を勝ったチームが、そのラウンドの勝利ということになる。一風変わったところはここからだ。3つのデッキとそれぞれのサイドボードには、(基本土地以外)同じカードを4枚までしか使用できないのだ。

最大の問題:「フェッチ・ランド」の振り分け

 昨日のメタゲームブレイクダウンでも語ったが、今回のチーム共同デッキ構築・スタンダードにおいて鍵を握るのは、「フェッチ・ランド」の被りをいかに回避するか、ということだ。現在のスタンダードで活躍するデッキの多くは、「フェッチ・ランド」を12枚採用したものであり、このフォーマットでそれらを実現するには到底足りない。そこで、プレイヤーたちは工夫を凝らす必要があるのだ。

 その問題を解決する基本的な構成としては、「エルドラージ・ランプ」と「アタルカ・レッド」、「エスパー・ドラゴン」の組み合わせが挙げられる。それら3つは現在のスタンダードを戦えるアーキタイプでありながら、共通した部分がないため無理なく組めるのだ。しかし、この組み合わせは広く知られているため、各チームはこの組み合わせを倒せるような「もう一歩進んだ」メタゲームを目指すことになる。以上が絡み合うことで、チーム共同デッキ構築・スタンダードは実に挑戦しがいのあるパズルとなっている。

メタゲーム分析

 以下に、今大会2日目へ進出した32カ国それぞれが選択したデッキの一覧を掲載する。横列がひとつの国を表し、その中で中央のB席に配置されたデッキは太字で表現している。

《樹木茂る山麓》を用いたデッキ《溢れかえる岸辺》や
《ヴリンの神童、ジェイス》を用いたデッキ
第3のデッキ
アタルカ・レッドエスパー・ドラゴンティムール「大変異」
アタルカ・レッドエスパー・ドラゴンティムール「大変異」
アタルカ・レッドエスパー・ドラゴンアブザン・アグロ
アタルカ・レッドエスパー・ドラゴンアブザン・エルフ
アタルカ・レッドエスパー・ドラゴンアブザン「大変異」
アタルカ・レッドエスパー・ドラゴンアブザン・ミッドレンジ
アタルカ・レッドエスパー・ドラゴンアブザン・トークン
アタルカ・レッドエスパー・ドラゴン白緑エルドラージ・ランプ
アタルカ・レッドエスパー・ドラゴン緑単エルドラージ・ランプ
アタルカ・レッドエスパー・ドラゴンマルドゥ・ミッドレンジ
アタルカ・レッド4色ラリー白黒トークン
アタルカ・レッド4色ラリー白黒トークン
アタルカ・レッド4色ラリー白黒トークン
アタルカ・レッド4色ラリー白黒トークン
アタルカ・レッド4色ラリー白黒トークン
アタルカ・レッド4色ラリー白黒戦士
アタルカ・レッド4色ラリー白黒「絞殺者」
アタルカ・レッド4色ラリーアブザン・コントロール
アタルカ・レッド4色ラリー赤緑エルドラージ・ランプ
アタルカ・レッド4色ラリー黒赤ドラゴン
アタルカ・レッドエスパー・トークン青緑エルドラージ・ランプ
アタルカ・レッドエスパー・トークン青緑エルドラージ・ランプ
アタルカ・レッドエスパー・コントロール黒赤ドラゴン
アタルカ・レッドアブザン・アグロ緑単エルドラージ・ランプ
アブザン・アグロエスパー・ドラゴンマルドゥ・ミッドレンジ
アブザン・アグロエスパー・ドラゴンマルドゥ・ミッドレンジ
アブザン・アグロエスパー・ドラゴンナヤ・エルドラージ・ランプ
アブザン・アグロ4色ラリー赤単
アブザン・アグロダーク・ジェスカイ赤緑エルドラージ・ランプ
アブザン・アグロジェスカイ黒赤ドラゴン
ダーク・ティムール白黒トークン赤緑エルドラージ・ランプ
マルドゥ・トークンバント「大変異」青緑エルドラージ・ランプ

 各チーム様々な組み合わせが見受けられるが、それらを結びつける共通したテーマがある。どのチームも、「《樹木茂る山麓》を用いたデッキ」と「《溢れかえる岸辺》や《ヴリンの神童、ジェイス》を用いたデッキ」、そしてフェッチ・ランドの数を絞った、あるいは一切採用しない「第3のデッキ」の3つに分類できるのだ。

《樹木茂る山麓》を用いたデッキ

 ほとんどのチームにおいて、《樹木茂る山麓》が判断の分かれ目になったようだ。すなわち、「アタルカ・レッド」(スタンダードのアグロ系デッキの代表格であるこのデッキでは、マナの安定と《強大化》の「探査」のために「フェッチ・ランド」が必要になる)か、「アブザン・アグロ」(《梢の眺望》や《燻る湿地》、あるいは1ターン目に《始まりの木の管理人》をプレイするために《森》を持ってくるのに、《樹木茂る山麓》が欠かせない)のどちらを選択するかが焦点になる。

 どちらもスタンダードのデッキすべてに対して頼りになる見事なデッキだが、上位32チームにそれらをふたつとも採用するところはほとんどなかった。多くのチームが選択したのは「アタルカ・レッド」だ。「アブザン・アグロ」と比べて、他のデッキと被るカードがさらに少ないことがその理由だろう。他と違う選択がされたものとしては、「ダーク・ティムール」や「マルドゥ・トークン」に《樹木茂る山麓》を使用したチームがある。

《溢れかえる岸辺》や《ヴリンの神童、ジェイス》を用いたデッキ

 すべてのチームがふたつ目のデッキに選んだのは、《溢れかえる岸辺》や《ヴリンの神童、ジェイス》を中心にしたもので、基本的にそれらはセットで採用されている。この枠で最も多かったのは、「エスパー・ドラゴン」と「4色ラリー」だ。このふたつは似通ったカードが必要になるのだが、あるふたつの土地をめぐる状況が大きく異なる。「エスパー・ドラゴン」を選択した場合は《乱脈な気孔》を使うことになるが、《吹きさらしの荒野》を使わずに済み、第3のデッキとして「アブザン」や「ティムール」を選択することができる。《吹きさらしの荒野》と各氏族の3色土地でマナが安定し、それらの3色デッキが使えるというわけだ。一方、「4色ラリー」を選択した場合は《吹きさらしの荒野》をここに費やすことになるが、《乱脈な気孔》の枠が空くことで、クリーチャーとしても頼りになるこの土地で白黒系のマナ基盤を強化でき、第3のデッキとして選択することが可能になるのだ。

 「エスパー・ドラゴン」と「4色ラリー」以外では代わりに「エスパー・トークン」や「ジェスカイ」を選択したチームが見受けられたものの、その数は多くない。おそらく、「アタルカ・レッド」や「エルドラージ・ランプ」の登場が予想される環境では、「エスパー・ドラゴン」や「4色ラリー」の方が相性の上で優れていると多くのチームが感じたのだろう。

第3のデッキ

 第3のデッキの選択には、議論の余地が大いにある。この枠には、すべてがそうではないものの、《搭載歩行機械》を採用し「フェッチ・ランド」を採用しないものが多く見受けられた。「エルドラージ・ランプ」という正直な選択を行ったチームもあるが、多くのチームはこのアーキタイプの採用を回避したようだ。今大会のメタゲームでは(相性最悪の「アタルカ・レッド」や《無限の抹消》を用意している相手が多いことが予想され)、厳しい戦いを強いられるためだ。

 そこで、先ほども述べた「アブザン」や「ティムール」、「白黒トークン」などが候補に挙がる。これらは「フェッチ・ランド」を多く必要としない形に仕上がっており、チーム共同デッキ構築・スタンダードならではの制限が育んだ、工夫の凝らされた優れたものだと言えるだろう。他には、「マルドゥ・ミッドレンジ」や「黒赤ドラゴン」(とりわけ、《飛行機械技師》を4枚採用した香港代表のリストが目を引く)といったデッキが、この枠に多様性をもたらしている。

中央の席をどうするか

 3つのデッキの組み合わせが決まると、最後にもうひとつ解決すべき問題が現れる――中央のB席のデッキをどうするか。この席は右のプレイヤーにも左のプレイヤーにもアドバイスを送りやすい場所であるため、ここには周りのゲームを見ながら自身のゲームも進められるようなデッキを配置するのが有効だ。そこで各チームは、B席に配置するデッキとそこで対峙するであろうデッキの見極めに挑むことになるのだ。

 表をご覧の通り、B席のデッキとして最も多く選ばれたのは「アタルカ・レッド」(32チーム中8チーム)か、あるいは「第3のデッキ」(32チーム中15チーム)だった。この選択について、イタリア代表のキャプテン、マルコ・カミルッツィ/Marco Cammilluzziがその理由のひとつを語ってくれた。「『アタルカ・レッド』は早く試合が終わるため、そのプレイヤーが他のプレイヤーのサポートに回れるよう多くのチームが中央に置いてくると予想しました。そこで僕らは、『アタルカ・レッド』と相性の良い『ティムール大変異』をB席に置いたんです」

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